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2006年11月22日(水)
「日本でもっとも長い駅名」の系譜

「場がド〜ンと盛り上がる、話のネタ・雑学の本」(日本雑学研究会編・幻冬舎文庫)より。

(「わが国の最短駅名と最長駅名とは?」という項から)

【日本の駅名の中でもっとも短いのはJR紀勢本線・近鉄名古屋線の「津」駅。漢字で書いても、ひらがなで書いても1文字である。ただしローマ字(ヘボン式)で表記すると、「TSU」と3文字になってしまうので、2文字の「AO」(JR加古川線の粟生駅)、「II」(JR山陰本線の飯井駅)などに抜かれてしまう。
 では最も長い駅名は、どこの駅だろう。昭和60年(1985)に開通した鹿島臨海鉄道・大洗鹿島線に「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」という駅があり、平成2年に開業したとき、それが日本一長い駅名であった。平成4年、南阿蘇鉄道に「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅が開業した。かな書きでは両駅とも同じ22文字だが、漢字まじりでは前者の駅が1文字少ないため、後者がトップに立つことになった。南阿蘇鉄道ではトップを目指して、そうした長い名前を付けたのだが、やがてトップの座を譲ることになる。
 島根県の出雲市と松江市を結んでいる一畑電鉄の「古江」駅が、平成13年に「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前」という名に改められた。「C」は「シー」と読むので、かな書きでは23文字、また「・」も1文字に数えれば漢字まじりでは18文字になり、「南阿蘇水の生まれる里白水高原」を上回る。現在、この「ルイス」駅が日本一長い駅名のチャンピオンである。】

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 「もっとも短い駅名」のほうは、言われてみればなるほどなあ、という結果なのですが、「もっとも長い駅名」のほうは、「かなりムリしてるなあ……」と思わずにはいられません。「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」というのは、なんとなく「許容範囲」のような気がするのですが、「南阿蘇水の生まれる里白水高原」の「水の生まれる里」って、明らかに、地名の一部ではなくて「修飾語」ですよね。プロレスラーやボクサーのリングネームじゃあるまいし。もちろん名前を付けたほうもそんなことは百も承知で、「日本一長い駅名狙い」で、こんな駅名にしたんでしょうけど。そして、その記録を更新した「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前」というのもかなり無理矢理感に満ち溢れています。いやまあ、それが美術館の「正式名称」なのかもしれませんが、地元の人は誰もそんな長ったらしい名前では呼ばずに「ルイス美術館」とかいうふうに省略して呼んでいると思われます。そもそも「古江」から、わざわざ改名する必要があったのかも疑問です。
 しかしながら、これらの「日本でもっとも長い駅名」の系譜をみていくと、これらの駅名って、いずれも地方の小さな鉄道の駅なんですよね(ちなみに、JRの「最長駅名」は、JR東日本の「上越国際スキー場前」で、ほとんど「引き伸ばし感」はありません)。こんな不便そうな駅名というのも、小さな鉄道会社からすれば、「自分の鉄道に『日本一の駅』が!」という「誇り」につながるのかもしれませんし、営業的には、多少なりとも鉄道マニアへのアピールに利用できる面もあるでしょう。利用者にとっては煩わしいばかりなのでしょうが、この「長い駅名競争」というのは、地方の小さな鉄道の「意地」と「苦境」が窺えるような話ではあるのです。