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2006年06月09日(金)
その「やらせ」を叩く資格があるのか?

毎日新聞の記事より。

【岐阜県可児市瀬田の花フェスタ記念公園を運営する財団法人・花の都ぎふ花と緑の推進センターは8日、同公園で7日行われた「恋人の聖地」の銘板除幕式で、第1号の恋人として認定証を渡されたカップルが、来園した客ではなく、カップルが見つからない場合を想定して同公園の担当者が事前に頼んだ“代役”だったことを明らかにした。同センターの澤田哲郎理事長は「誤った情報を提供して申し訳ない」と謝罪した。

 澤田理事長らによると、当初は日曜日の4日に予定されていたイベントを平日の7日に変更したことから、担当者が若いカップルを見つけて承諾を得ることができない場合を想定。同公園のパート従業員の女性に頼み、実際の恋人とともにスタンバイさせていたところ、午前9時半のイベント開始時間までに来園者のカップルを見つけることができなかったため、女性らを「恋人第1号」として除幕式を行ったという。】

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 この記事を読んで、「こんな酷い『やらせ』をするなんて!」と心の底から憤るひとって、いったいどのくらいいるのでしょうか?
 僕の率直な感想は、「本当に探してみて、いなかったんだったら、まあ、しょうがないんじゃないの?」というものなのですけど。
 いや、実際のところ、ごく一握りの人気イベントを除けば、こういう地方のイベントなんて、みんなこんなものなのではないかなあ。そんな除幕式があるからって、平日にこの公演にわざわざやってくるカップルなんて、そんなにいるとは思えないし、こんなふうな形で目立ちたいと思う人だってごく少数でしょう。
 僕の身の周りにも、「町のミス○○コンテストに、この病院(公立病院)から誰か参加させて!」というお願いがまわってきたりすることは珍しくはないですし、こういうことをしてやったりと報道するメディアだって、大学の合格発表のときにスタッフが受験生でもない在校生たちに「派手な映像が欲しいから、誰か胴上げとかしてくれない?」とか頼んでいたのを目にした記憶があるのです。誰が密告したのかは知りませんが、そのくらいのこと、放っておいてやれよ…と思うんですけどねえ。一応、本物の「恋人」だったわけですから、「誰でもいいから胴上げして」なんていう某テレビ局よりも、よっぽど「良心的」ですらあるような気もしますし。お笑い番組だって、舞台のソデでは、ADが「笑って笑って」ってやっているのだから。
 先日の松本人志さんの「防犯カメラ盗撮事件」にしてもそうなのですが、マスコミというのは、所詮「弱いものは叩き、長いものには巻かれる」という存在なのかな、と思えてなりません。こんなイベントのつまらない「やらせ」(というか「お約束」のレベルだと僕は思うけど)よりも、もっと報道すべき「やらせ」が、世の中にはたくさん溢れていると思うのですが。
 僕は、このイベントを取材に来ていた報道陣、もしカップルが見つからなかったら、絶対にこう言ったと予想しているのです。
「これじゃ絵にならないから、スタッフでも誰でもいいので、どこかからカップルを見繕ってきてくださいよ!」って。