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2006年06月08日(木)
「ブックオフ」新社長の涙

日刊スポーツの記事「ブックオフ新社長・橋本真由美さん〜レジで経営考える」より。

(6月24日付で中古書店最大手「ブックオフコーポレーション」の新社長に就任する橋本真由美さんの話)

【橋本さんがブックオフでパート勤務を始めたのは41歳の時だった。結婚後18年間は専業主婦。子供に手が掛からなくなった時期に、新聞の折り込みチラシの求人広告が目に留まった。
「自転車で家から10分ほどのところにブックオフの第1号店(神奈川県相模原市)ができることになったんです。好きな時間でいいというので、主婦の私でもできるかなと応募したんです」。最初の仕事は古本の磨き上げ。ホコリはひどく、本は重かったが、一から店舗をつくり上げていく面白さに取りつかれた。
「専業主婦だったので主人の出世とか、子供の成績が上がったとかが喜びだったでしょ。それが、パートを始めてね。仕事を達成する喜びを知ったんです。褒められることもうれしかった。主婦の仕事って誰も褒めてくれないじゃなですか」。

 前向きな仕事が評価され、9ヶ月後にはパートのまま第2号店の店長を任される。時給は50円アップして650円に。だが、一生懸命働いたものの1人で空回り。アルバイト店員の士気は低く、売り上げは下がり、1年もたたずに撤退を通告された。
「せっかく店を任されたのに。悔しくて悔しくて」。
 店舗の外で涙を流してしまった。それを20歳以上も下の男性アルバイトに見られてしまう。「おれたちがなんとかするよ」。パート店長の苦悩を知ったアルバイトたちが1つになり、店は一変した。
「私はただビービー泣いていただけなんですけど」。】

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 時給600円のパートから、東証1部上場企業の社長へ。僕は「トリビアの泉」で、タレント・清水国明さんの実姉として紹介されていたのを見て、橋本さんのことを知りました。橋本さんは現在57歳ですから、パートとして働き始めてから16年での「偉業」ということになります。
 僕も「ブックオフ」は、かなり頻繁に利用しているのですが、ブックオフそのものも、わずか16年間ですごく大きな会社になっているのだなあ、とこの記事を読んであらためて感じます。
 橋本さんがブックオフでパートを始めたきっかけというのは、「家の近くだし、子供にも手が掛からなくなってきたから、外で働いてみようかな」というものだったそうです。ところが、実際に仕事をはじめてみると、「店を作り上げる面白さ」にハマってしまい、いつのまにか正社員になり、ブックオフの社長にまで上り詰めていったのです。あまりに仕事熱心だったため、夫には「おれとブックオフのどっちが大事なんだ」と声を荒げられたこともあったのだとか(今は、「良き理解者」だそうですので、念のため)。
 ところで、僕がこれを読んでいて興味深かったのは、「第2号店の挫折と、その後の復活」の話でした。なんだかドラマの1シーンみたいな話。「ブックオフ」の営業形態を考えると、店舗の成功・不成功というのは、個々のスタッフのやる気というよりは、システムとか立地などに依存しているのではないかなあ、と思わなくもないのですが、このエピソードが事実であるとするならば、やはり「人」というのは大事なのだなあ、と痛感させられます。それも、同じスタッフなのに、やる気を出して頑張るというだけでも、全然違うものなのですね。
 それにしても、「ビービー泣いているだけ」で周りをやる気にさせてしまった橋本さんには、すごいカリスマ性があるのかもしれません。もちろん、普段しっかり頑張っていたからこそ、ではあるのでしょうけど。