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2006年05月23日(火)
「探偵」に向いている人って、どんな人?

「裏ハローワーク」(アンダーワーカー・サポーター・編、永岡書店)より。

(探偵に必要な資質について、都内にある探偵事務所の所長、探偵歴10年の大谷氏(仮名)に聞いた話の一部です)

【路頭に迷った依頼人が助けを求めるのが探偵だ。決して安価ではない報酬を支払うほど切羽詰まった依頼人が来るため、1時間置きに電話してくる電話魔や、用もないのに事務所に来たがる人など、変わった人が多いという。
「悩みすぎておかしくなっちゃってるのかな。ダンナの浮気調査で依頼してきた女性が自殺しちゃったときは落ち込みましたよ。
 でも、インターネットの普及で、事業所のHPを見てやってくる10〜20代の依頼者も増えました。若い子は金や浮気調査の依頼ばかりじゃなくて”昔の恩師に会いたい”とか”ケンカ別れした人に謝りたい”とかね。依頼者も探された方も幸せになるような仕事をするとボクも少し世間の役に立てたかな、と心が温まります(笑)」
 では、探偵の適性とは何か? と尋ねると我慢強さ、精神力、何事も楽天的に捉えることという答えが返ってきた。
「たとえば住宅街に10時間立ち続けたりしてるから、変人扱いは日常茶飯事(笑)。人目を気にせず、そういうプレッシャーに耐えられることも大事だと思います。
 張り込みをしてると、調査している相手に見つかって”何やってるんだ!”ってキレられることもあるけど、自分が探偵だとは決して明かしません。そんなときは”金貸しで債権者を張ってる。こっちも仕事なんだ”って言うんですよ」
 探偵の仕事内容や行動には謎が多い。仕事道具にも興味を引かれたので聞いてみると、愛用している薄型の黒いカバンからいろいろな物を出して見せてくれた。
「財布とケータイとバイクくらいしか使わないですよ。あとは数人と組んでやる場合にトランシーバーを使ったり、尾行や張り込みに使う短眼鏡、メモ代わりに使うボイスレコーダーくらいですかね。盗聴器を探す機械も依頼によっては使うけど、秋葉原あたりで揃えられる道具ばかりです(笑)。
 移動手段はバイクがいちばん! 歩行者でも、自転車、バイク、車に乗っている人でも追跡可能だし、追跡者が急に電車に乗ったとしても駅に乗り捨てられますからね」】

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 「探偵の適性とは何か?」という質問への答えが、「我慢強さ、精神力」まではよくわかるのですが、「何事も楽天的に捉えること」というのは、最初にこれを読んだときに、かなり意外な感じがしました。「探偵」って、どちらかというと、「物事に対して注意深く慎重で、苦虫を噛み潰したような表情がよく似合う渋い人」ってイメージなんですよね、僕にとっては。
 古典ミステリの「名探偵ホームズ」とか、「名探偵ポアロ」とか、あるいは松田優作の「探偵物語」の世界とは、現実の「職業探偵」というのは、かなりかけ離れた存在のようです。
 でも、この理由を読んでいると、確かに、他人の目が気になる人にとっては、探偵っていうのは辛い仕事だろうなと思います。張り込みの姿がカッコイイのは映画やドラマや小説の世界の中だけで、日常の風景にもし「探偵」がいたとしたら、それはもう、単に「不審な人」でしかないんですよね。10時間立ち続けるためには、すごく体力も要りそうだし、「探偵」というのは、世間のイメージ以上に「体育会系」の仕事なのかもしれません。
 対象者だけではなくて、依頼人にもいろいろと困った方もいるようですが、確かに「探偵を雇おう」という心境になるというのは、かなり追い詰められた状態でしょうから、「お客様」に逆ギレすることもできないでしょうしねえ。最近は、人探しなどに利用されることも多いみたいで、これは、「探偵!ナイトスクープ」の影響もありそうです。
 
 いやほんと、けっこう危ない目にもあいそうだし、興味本位でやれるような仕事ではないみたい。もっとも、少しはこういう世界に興味がない人じゃないと、やりたいとは思わないような気もしますけど。