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2005年09月09日(金)
進め!「めざまし捏造隊」!

日刊スポーツの記事より。

【フジテレビ朝の情報ニュース番組「めざましテレビ」(月〜金曜午前5時25分)で「やらせ」が行われていたことが8日、分かった。「めざまし調査隊」というコーナーで、04年5月以降複数回にわたって過剰演出があったことが発覚。同局は7日放送分で同コーナーを打ち切り、やらせにかかわったフリーの担当ディレクターA氏(30代前半の男性)との契約を解除した。また同局の番組プロデューサーを含む責任者3人を減給、減俸処分とした。
 「めざまし調査隊」は、94年4月の番組開始と同時に始まった名物コーナー。6〜7分間の枠で、一般の人々の生活の悲喜こもごもを紹介し、司会の大塚範一・高島彩アナがコメントする内容だった。今回判明したやらせは、04年5月以降で少なくとも3件。実際に失恋経験がない女性に、1年前に彼氏にふられたと装わせ、1年ぶりに彼氏に電話して再会を求める演出などをしていた。
 同コーナーは、外部のディレクター7人が交代で担当。やらせにかかわったフリーディレクターA氏は、02年から参加し、過去100本以上も同コーナーの制作を担当していた、中心的存在。しかし、最近になって番組スタッフがA氏の取材方法に不審を抱き調査したところ、やらせが発覚した。
 同局広報部は「視聴者の信頼を裏切る結果となってしまい、大変申し訳ございません」とマスコミ各社に送付したファクスで謝罪した。7日放送分で同コーナーを打ち切り、A氏との契約も解除。さらに、管理責任を果たせなかったとして、同局の番組プロデューサー、情報制作局室長、担当の取締役局長の3人にも減給、減俸の処分を科した。

 同番組は放送12年目の今年6月、朝の情報番組のライバルである日本テレビ「ズームイン!! SUPER!」を月間視聴率で初めて上回ったばかり。過熱する朝の視聴率競争も、今回の不祥事と無関係ではなさそうだ。同局は、A氏が3年半も番組制作にかかわっていたため、調査を継続するといい、さらにやらせが発覚する可能性もある。

◆発覚した「やらせ」

 【04年5月17日放送 週末の出来事】草野球を趣味にしている男性が登場。聞けば25打席無安打だという。26打席目に妻からもらったお守りを身に着け打席へ。見事ヒットを打ち「妻のおかげ」と喜ぶ。しかし、お守りはA氏が用意したもので、現場で男性に交渉して身に着けさせた。

 【04年7月29日放送 あなたの暑さ対策は?】カーテン、まくら、電灯など部屋の中をブルーにすれば涼しくなるという男性、部屋を締め切ってダイエットに励む女性、部屋に複数の扇風機を置いている男性が登場。3人はすべてA氏の知人で、演出を依頼された。

 【05年4月4日放送 花見の出来事】井の頭公園で1人で花見をしている女性。前年の花見の時期にその場所で彼にふられたという。1年ぶりに彼に電話する女性。しかし彼は来られないという。登場した女性に失恋の事実はなく、A氏の演出だった。】

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 僕は朝テレビを観る時間があるときは、小島奈津子さんの時代から「めざましテレビ」を選んでいたので、この「やらせ報道」は、ものすごくショックでした。なんてひどい番組なんだ!って。

 …と言いたいところなのですが、このニュースを嬉々として報道する他のテレビ局をみていると、「このくらい、どこでもやっているんじゃないかなあ?」と感じてしまったのも事実です。というか、こんな「やらせ」がどうしてバレてしまったのだろう、誰か出演者がバラしたのか?というような疑問もありましたし。結局は「内部告発」みたいなのですけど。
 でもなあ、あの「めざまし調査隊」が、全くの「演出なし」だと思いながら観ていた人って、どのくらいいるのでしょうか?それこそ、「占いコーナー」と同レベルの「信頼性」だったような気がするし、そういう「演出っぽさ」も含めて、みんな楽しんでいたのではないでしょうか?もちろん、こうしてあらためて「やらせでした」と言われると「騙しやがって!」と憤ってみたりもするんですけどね。
 ちょっと昔、僕の大学の合格発表のときの話。地元のテレビ局が取材に来ていたのですが、彼らはしばらく合格者の番号が貼られた掲示板の前でカメラを回したり、インタビューをしていたのです。でも、テレビ的にはどうも派手さが足りなかったらしく、新入生の勧誘に来ていた先輩学生である僕たちに「君たち、胴上げとかやってくれない?」と頼んできました。結局、全然受験生ではない、僕の同級生が胴上げされる映像が、夕方の地元ニュースで流れることになったのですが、これを観ながら、「まあ、マスコミなんて、こんなものなんだよなあ」と実感したような気がします。彼らだって「お金を稼ぐための仕事」と「プライド」をいつも天秤にかけていて、それには個人差があるものの、必要に迫られれば、「事実と演出」の線引きというのは、けっこうアバウトなものなのかもしれません。むしろ、このディレクターは、最初からバラエティ番組を作っているようなつもりだったのではないでしょうか。
 どうせ、誰にも迷惑かけないんだから、このくらいの「演出」はいいだろ?って。
 そして、そのほうが、視聴者も喜んでいたりもするのだろうし。
 これを真似して、部屋の中を真っ青にした人がいたりすれば、それはそれで「悲劇」ですが。
 
 実際のところ、現実のほうが「劇場化」している昨今ですから、このくらいの「演出」なんて、「大事故の被害者家族に突撃インタビュー」とかより、はるかにマシなような気もしますけど。
 「事実の報道」「知る権利」の大義名分のもとに堂々と行われている、もっと酷いことにも、目を向けて欲しいものです。