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2005年06月11日(土)
「この番組はフィクションであり…」の起源

「監督不行届」(安野モヨコ著・祥伝社)の巻末の「オタク用語2万字解説」より。

【・この漫画はフィクションであり…

 TVドラマでよく目にするこの断り書きは、1972年放映の人気特撮番組「超人バロム1」に端を発する。番組に登場する悪役と同じ名前の子供が、学校でイジメられたことが社会問題となり、あらゆるドラマにこのテロップが出るようになった。】

参考リンク:『超人バロム1』

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 この話の詳細は、参考リンクによると、【在日外国人のドルゲという家族からバロム1のドルゲ(悪の首領)がもとで、いじめられると放送局に苦情の抗議が入り、この事は当時の新聞にも大きくとりあげられ、波紋をよんだ。結果、番組の最後に「このドラマにでてくるドルゲはかくうのものでじつざいのひとはかんけいありません」と子供にも分りやすくひらがなで書かれたテロップが入れられた。】ということのようです。
 本当に、ドルゲさんにとっては、青天の霹靂というか、とばっちりというか、笑い話ではすまされませんよね。それにしても、いくら子供でも(子供だから、なのか?)、「実在の人は関係ない」なんてことは、わかりそうなものなのですけど。
 まあ、こういうのって、「わかっていて、いじめるネタにしている」のだよなあ、きっと。
 ところで、この手の「ドラマや漫画の登場人物と同じ名前」というのは、ときに、子供時代を暗いものにしてしまいます。例えば、女の子なら「ちえ」ちゃんは「じゃりん子」にされて「テツって言えよ!」とか絡まれてしまいますし、「ひろし」君などは、あまりにメジャーな名前のために「ピョン吉はどこに行った?」とか、「ヒロシ〜」と呼びかけられながら、目の前で手袋を口で外されたりします(by「スチュワーデス物語」)。そういえば、今は、そのものズバリ「ヒロシ」もいますから、「ヒロシ」にとっては、ずっと受難の時代が続いているのかもしれません。もちろん、親はいろんな願いをこめて命名しているのでしょうけど、子供のころ、「なんでこんな名前に…」と思ったことがある人は、けっして少なくないと思います。僕にも同じような「辛い体験」があるわけで。
 それにしても、外国から来ていきなり「名前が同じというだけで悪の首領扱い」というのは、ドルゲさんにとっては災難ですよね。こういうのって、外国には無い慣習なのだろうか。子供はみんな、自分の名前で一度くらいは嫌な目にあっているはずなのに、他人事となると、けっこう残酷なところがあるものなあ。
 この「フィクションであり…」のテロップって、実際には少しは効果があるのでしょうか?放送局側の「責任逃れ」というような意味あいが大きいような気がしますが、とはいえ、まさか登場人物を全員「A君」「Bさん」のようにするわけにもいかないし、名前をつけるというのは、フィクションの世界でもなかなか難しいことのようですね。