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2004年06月20日(日)
真夜中に靴を作ってくれる「コンピューター」

「許してガリレオ!」(ゲッツ板谷著・ダイヤモンド社)より。

(この本の挿絵を描いている西原理恵子さんへの「家族に自分の仕事をどうやって理解させてますか?」という板谷さんの質問に対する、西原さんからの「返信」)

【返信・私は先日母に「コンピューター買いなさい。そしたら勝手にマンガかいてくれるぞね。」と言われました。】

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 いくらなんでも、寝ている間に靴を作ってくれるコビトさんの童話じゃないんですから…と言いたいところなのですが、この手の「誤解」は、他人事ではないんですよね。
 ワープロという道具が流行りはじめたとき、「ワープロを持っている」というだけで、「こういう資料を作って!」というような依頼を受けた経験のある人は多いと思いますし、「Macさえあれば、自分も簡単に綺麗な絵が書ける!」という希望を持ってマッキントッシュを手に入れた人も多かったのではないでしょうか?
 でも、現実としては、ワープロというのは、あくまでも「文章を綺麗に打ち出すための道具」でしかなくて、肝心の「何を書くか?」という問題を解決してくれる道具ではありませんし、マックペイントを使ったからといって、ヘタな絵が急に上手になるわけではないのです。もちろん、これらの道具は「文章が書ける人」や「絵心がある人」にとっては便利なことこの上ないのですが、だからといって、自動的に何かをやってくれる道具ではありません。
 それでも、世間には、「パソコンさえあれば何でもできる」とまではいかなくても、スライド作りとか表計算なんてのは、「パソコンさえあればほとんど人間の負担はない」なんてイメージを持っている人も少なくないのです。日頃自分でパソコンを使っている人間にとっては、所詮パソコンというのは「道具」でしかない、なんてことは常識なのですが。
 日頃パソコンを使わない人の「パソコン使えば、そのくらい簡単だろ?」という態度に不快な思いをしたことがある人もけっこう多いはず。
 「ホームページを作りさえすれば人がたくさん来てくれて、人脈が広がる」とかいうのも、たぶんこの手の幻想のうちのひとつ。

 パソコンというのは、本当に便利な道具であり、現代人の生活には手放し難いものになってきました。
 でも、やっぱり道具はあくまでも使う人あっての道具なので「自動的にマンガはかいてくれない」のです。
 それでもたぶん、今の世の中にも「パソコンなんて全然役に立たない」と思っている人と「パソコンさえあれば、何でもできる」と思っている人というのは、相当な数、存在しているんですよね、きっと。