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2004年06月19日(土)
「バカな国会議員」の無限ループ

読売新聞の記事より。

【国会議員の学歴詐称や、年金未納・未加入の続出に有権者は失笑させられた。24日に公示される参院選を前に、こうした問題には沈黙する政治家が多い。一方で「私は違う」と“潔白証明”に動き出す人も。「年金完納」の文字を事務所やホームページに掲げたり、卒業証書のコピーを用意する出馬予定者。「当然のこと」で有権者にアピールする、笑えないPR合戦が繰り広げられている。

◆HP活用

 東京選挙区に出馬表明した青島幸男さん(無所属)のホームページには、「年金完納済」の大きなマークが。国民年金手帳の写真を公開し、「自慢しちゃいますけどね」とも。その上で、年金制度のわかりづらさや、集めたお金のずさんな使われ方に対し、怒りを持って立ち上がるよう呼びかけている。

 香川選挙区の現職、山内俊夫さん(自民)も自らのホームページで、「大学卒業後、現在に至るまで年金への未加入期間および未納はございません」と高らかに。スタッフは「問い合わせが多く、身ぎれいなことを広く知らせたかった」という。

◆張り紙効果

 「国民年金を完納しています」。静岡選挙区の現職、海野徹さん(民主)は「完納」の2文字を赤で目立たせた張り紙を2枚、事務所に出した。菅直人・前代表が辞任に追い込まれた時に、「大丈夫か」といった電話が相次いだための“窮余の策”。それから問い合わせや党への批判は聞かれなくなり、陣営幹部は「効果は抜群」と胸を張った。 ◆これが証書

 私立大学の卒業証書が1枚、壁に飾られている。鳥取選挙区で立つ新人の土屋正秀さん(民主)の事務所。14日、「清廉潔白をアピールできる」と出入り口近くの目立つ場所を選び、証書のコピーを張った。

 「学歴詐称の議員と同列に見られたくない。しかし演説で『卒業してます』と訴えるのも変だから」と党県連幹部。支持者からは「ほっとした」「安心して応援できる」との声が寄せられているという。

 兵庫選挙区から出馬する新人の宮本一三さん(無所属)の事務所には、米・ハーバード大の博士号取得証書と国立大学の卒業証書のコピーがある。支持者らから求めがあれば、いつでもファクスで送れるよう用意した。「準備万端。すぐ対応します」とスタッフは腕まくりしていた。】

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 もうすぐ参議院選挙なんですねえ。なんだか最近、選挙ばっかりやっているような気がします。
 正直、僕は選挙というものにサッパリ興味が湧かなくて、それというのも「選挙に立候補するような人が嫌い」で「うるさい選挙カーが嫌い」で「どうしてわざわざ誰に入れても後悔するような投票に参加する必要があるのか、とか思ってしまうのです。まあ、「それでもいちばん後悔しないような人を選ぶべきだ」というのも、頭では理解しているのですが。
 そりゃ、死にそうになったら嫌いな食べ物でも食べないわけにはいかないしねえ。
 でも、選挙の開票速報番組を観るのは、わりと好きです。

 それにしても、「学歴詐称なし」とか「年金完済」とをアピールするような選挙って、いったい何なんだろう?とか思ってしまいます。「嘘つきじゃない」というのをアピールしたいのはわからなくもないのですが、学歴を詐称していなかったり、年金を完済していたりすれば国会議員としての適性があるのだとしたら、そこらへんのサラリーマンは議員候補だらけです。「正直であること」や「誠実であること」というのは確かに人間としての美徳だとは思いますが、政治をやる人間に本来期待されることというのは、そんな「当たり前のこと」ばかりではないはずです。

 もっとも、これは候補者側ばかりの問題ではなくて、有権者側の問題もあるのだと思います。「学歴」とか「年金未納」なんていうのは、みんな本気で怒っているというよりは、政治家同士の揚げ足のとりあいになってしまって、それを見世物のように楽しむ、というのが周囲のスタンスになってしまいました。だって、「学歴」なんて普段は全然わからないし、「東大出ているからこの人は信頼できる!」なんて思わないはず。東大のOBであれば、後輩だからと投票することもあるかもしれませんけど。
 年金未納に至っては、国民の4割の未納者は、「そんなに払ってるってのは偉いことのなのか…」と事態の推移を見守っていたと思います。そのうち「公職追放」とかいうことになったらどうしよう、とか。
 国民年金のキャンペーンとしては効果絶大だったかもしれませんが、「お前らはどうせ議員年金もらえるんだからいいよなあ」なんて「やっかみ半分」の面もあったような気がしますし。
 僕は別に、ちゃんと仕事をしてくれれば、年金くらい貰えていいと思うんだけどなあ。
 待遇を良くすることによって、もっと有能な人たちが議員になってくれるのなら、むしろもっと好待遇にしてもいいくらいです。

 最近の「牛歩戦術」とかのバカバカしい映像を観ていると、なんだか情けなくなってきます。でも、その一方で、僕はこんなことも考えるのです。
 「この人たちは、選挙に立候補して議員になることを志したときは、けっしてこんな『牛歩戦術』なんて、ほとんど効果のないパフォーマンスをやりたくて入ったわけではないんだろうな、と。
 もちろん、その「名誉」にとらわれた人もいるのかもしれませんが、その人なりに「日本の将来を憂いて」、自分がやってやろう、と思っていた人たちのほうが多いのではないでしょうか。
 でも、そんな「憂国の士」たちが、議員になったとたんに議場で居眠りし、メールを打ち、汚いヤジを飛ばし、揚げ足を取り合うのです。
 それはそれで、なんだか信じられない話。
 そもそも「牛歩戦術」だって、バカバカしいことはこの上ないけれど、あの年齢の方々が、あんなふうにずっと立ち続けてゆっくりゆっくり歩くのは、ものすごく辛いことだと思うのです。トイレにだって行きたくなるだろうしさ。
 ほんと、そんな気力・体力があるのだったら、もっと有効に使う方法はないんだろうか?
 たぶん、やっている本人たちもそう思っているはずだと信じたいのだけどなあ…

 政治家というのは、本当に怖い仕事だなあ、と感じます。
 「日本を変えよう!」と意気込む有能な若者たちが、議員になったとたんに「党議決定」とか「牛歩戦術」なんてバカバカしい4字熟語に縛られて、ああいう愚かしい集団に埋没してしまうなんて!
 心のうちでは、「今はこうして耐えて、自分たちが偉くなったら変えてやる!」とか思っている人もいるんじゃないかなあ。
 でも、そういうのって部活の「シゴキ」と一緒で、自分が先輩になったら「これが伝統だ」とか偉そうに言って、後輩に「党議決定」を押し付けたりするものなんですよね、きっと。
 「自分たちも耐えてきたから、お前らも耐えて当然」って。
 で、斬新な抵抗手段も思いつかないから、「とりあえず牛歩」「しょうがないから野次」みたいな感じ。
 それじゃあ、何も変わらないのだけど、そういう「悪しき伝統主義」みたいなものは、実際に日本中にあるわけで。
 「日本の政治家はみんな、あんなことをやってバカだ!」とか言っている人の会社では、今日もお決まりの社長講話が行われているのです。

 「政治家がバカだから、日本は良くならない」
 そうやって「バカな政治家」に責任を押し付けて「かわいそうな国民」だと自分を慰めてみても、事態は一向に変わるわけもないんだけどなあ。

 そう思いつつも、そんな禍々しいものには関わりたくないのも本心で…