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2003年01月05日(日)
最高級キャビアの値段


日本航空グループの機内誌「winds」の浅田次郎氏のエッセイより。

(ロンドンのヒースロー空港で、家族と秘書へのお土産として最高級キャビア250グラム+50グラムを購入したときのエピソード)

【キャビアの250グラム缶というのは食いでがある。飯のおかずにならぬせいもあるのだろうが、いざ開けてみるとメンタイコやイクラの一樽くらいの食いでが合あった。
 で、当初は家族4人でクラッカーの上に載せ、オニオンなどを添えて上品に食べていたのだが、しまいにはスプーンで丸食いをし、飽きてからは猫どもにくれてやった。九匹の猫はうまそうに一粒残らずたいらげた。
 事件が起こったのは翌月のことであった。
 配達されてきたカード会社の請求書をひとめ見て、私の目はキャビアのような点になってしまったのである。
 1096ポンド。日本円換算で21万2624円。
 とっさに考えたことはただひとつ〜店員が一ケタまちがえて勘定をし、私もレシートを確認せずにサインをした。】

〜〜〜〜〜〜〜

 結局、このお話は、この1096ポンドが正規の価格である、というファックスが送られてきて、一件落着(お金を払った方としては、無念きわまりないでしょうけれど。猫にも食べさせてますし)となるのです。
 それにしても、世間には高い食べ物というのは、あるものなんですねえ。
 300グラムで21万!とは。
 高いと言えば、マグロのトロなんかも、信じられないくらい高価ですよね。
 あれをひとつ食べるだけで、並が一人前食べられるくらいの値段のことも多いです。
 世界3大珍味として、キャビア・フォアグラ・トリュフというのが挙げられているのですが、僕もこういうのは結婚式やら何かのパーティーの折などに口にするくらいで、「高い」という印象はあっても、実際にどのくらいするのかというのはよくわからないのです。自分では買わないなあ、ということだけははっきりしていますが。
 しかし、年を重ねて困ることというのは、子供のころはトロなんて油っぽくて苦手だったのに、いつのまにか赤身より美味しいと思うようになってしまうこととか、マツタケを良い香りだと思えるようになってしまうことでしょうか。
 残念なことに、オトナになればなるほど、値段が高いものが美味しく思えてしまう傾向があるみたいで。

 まあしかし、値段を知らなければ猫に食べさせてしまうくらいですから、「高い!」ということを考えなければ、値段ほど美味しいものでもないのかも…という気もしなくはないですね。