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2002年10月26日(土)
2002年10月26日。


毎日新聞の記事より。

(横田めぐみさんの娘とされるキム・ヘギョンさんへの独占インタビューへの批判に対して)

フジテレビは26日、へギョンさんに対するインタビューが家族会側から批判されたのを受け、「これまで北朝鮮のプロパガンダにくみしたことはなく今後も一切ありません」とコメント。インタビューについて「拉致された方々、及び家族の皆様のお気持ち、お立場を十分理解し、取材・報道にあたっています」と釈明している。

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 う〜ん、フジテレビのこの釈明は、ちょっと苦しいです。
 あのインタビューが放送された日のフジテレビの各番組のはしゃぎようといったら、「拉致された方々や家族の気持ちを配慮し」というよりは、「特ダネだ!」というはしゃぎぷり満点でしたから。
 まあ、確かにいろんな意味で「話題」にはなりましたけれども。
 ただ、彼女のインタビューの内容が、あまりに教科書通りだったとしても、それはそれで理解できなくもないのです。
 まだ15歳の女の子が、母の母国で祖父母がいるからといって、今まで敵国と教育され続けてきた国に行きたいと思うだろうか?と。だいたい、ひとりで海外旅行なんて、不安だと思うんですよね。あの国ではもともと、そんなに海外旅行が一般的なものであるとも思えませんし。大人である祖父母のほうに来てもらいたいと思うのは、むしろ自然なのではないかと。
 ほんとは絶対日本に来たいはず!とか、日本で暮らしたほうが幸せだ、というのは、むしろ短絡的な発想。豊かな国のほうが幸せという人ばかりでは、ないと思いますし。
 彼女は、横田さんの娘であると同時に、北朝鮮人男性の娘でもあるわけですから。
 
 でも、その15歳の女の子に、過剰に政治的な意味を持たせてしまったという意味では、フジテレビは非難されてしかるべきです。独占インタビューといっても、あれだけ公の場でのインタビューでは、当然北朝鮮当局のなんらかの影響下で行われたに違いありませんから。おかげで、彼女は政治交渉の道具にされつつありますし。
 それにしても、第3者としては、家族の方たちが、自分の孫のことをDNA鑑定でようやく身内とみとめ、「あれは北朝鮮当局に言わされている」「洗脳されている」とか発言しなくてはならない状況というのは、なんだか、見ていて辛くなります。
 それならいっそ、お互いに干渉しないほうがいいのではないか?とすら思うのです。
 明らかなプロパガンダというよりは、スクープに固執するあまり、個人のプライバシーを無視した報道で、15歳の少女にフラッシュを浴びせかけるその神経は、ちょっとあまりにひどいなあ、と。
 結局、この国家的犯罪も感動的人間ドラマにすりかえられて、視聴率競争の道具にされてしまうんでしょうかねえ。
 
 それにしても、ロシアの劇場占拠事件にしてもそうなのですが、政策として「正しい」ことのために、何人の運の悪いだけの人々が犠牲になっていることか。

 最近の家族会の人々のややもすると過激な言動に対して、僕などは、自分の孫娘なんだから「おじいちゃん、おばあちゃんも行ってあげたいんだけど、今はまだ事情があって行けないんだよ、ごめんね」とへギョンさんに伝えてあげられないものなのかなあ、と思ったりもするのです。
 だいたい、ヘギョンさんが家族より先にマスコミと話していること自体が、異常なんですけどね。