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2002年09月16日(月)
2002年9月16日。


「同・級・生」(柴門ふみ著・小学館)の科白より。

(主人公のひとり、名取ちなみ(24)と彼女とお見合いのあと交際するようになった相手、飛鳥浩史(30)との会話より)

【飛鳥「ふつうの若いカップルなら、映画観て、プールバーにでも行くのだろうけど…」
 ちなみ「飛鳥さんだって、まだお若いくせに…」
 飛鳥「もう30です。二時間も女の人と黙って座って映画観てる余裕はない」】

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 柴門さんの初期の代表作「同・級・生」。週刊ビックコミックスピリッツに連載されていたのが1986年から88年。1991年ですから、ちょうど10年前にテレビドラマ化されています。配役は、名取ちなみが安田成美、飛鳥浩史が石田純一、あと、ちなみの大学時代の恋人、鴨居透が緒方直人、透の新しい恋人、佐倉杏子が菊池桃子でした。
 書いてて、激烈に懐かしいなあ。僕が、ちょうど大学に入学してすぐの時期に放映されたこのドラマ、当時の僕は、年齢が近いこともあって、同級生カップルが、なんとかヨリが戻らないものかと思い、この飛鳥という男のことは、あんまりいい印象がなかったです。石田純一というのも、ね…
 まあ、それはさておき、この飛鳥の「30歳なんだから、映画観てる余裕なんかない」という科白、20歳の頃の僕の印象は、「なんだよ、カッコつけちゃって、このオジサン」という反感と「やっぱり、30歳くらいの大人になったら、そんなに時間の余裕がなくなっちゃうんだなあ」という感慨が入り混じっていたような気がします。
 いまや、自分がそのオジサンになってしまっているわけで。
 でも、今から思うと、別に30になったからといって、女の人と2時間くらい映画を観る時間、あると思うんですけど…常に何かに追われているような感覚というのは、年齢というより、生来のその人の感性なのでしょうけど。
 ああ、そういえば、ちょっと年上の同僚の先生が、社員旅行のときに、「小さな子供が居たら、なかなか映画観に行く機会とかないもんなあ、何年ぶりだろう…」って言ってたっけ。やっぱり、家庭があると違う面もあるんだろうなあ。
 30歳って、少なくとも自分が20歳のときにイメージしていたほど、オトナじゃないなあ。このままだと、60歳くらいでも、自分が若い頃思ったほど年寄りじゃない、とか思ってそうで、ちょっと怖い気もします。
  
 10年前、柴門ふみに騙されたなあ…などと、今回ちょっと懐かしいような、切ないような、そんな気持ちで読み返したのでした。