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2002年07月12日(金)
2002年7月12日。

毎日新聞の記事より抜粋。

【大手予備校「代々木ゼミナール」の横浜校(横浜市神奈川区)で、同ゼミナールの人気講師である古文の男性講師(35)が、授業中に私語をした生徒を殴ってけがを負わせていたことが、10日分かった。神奈川署は近く傷害容疑で書類送検する方針。
 同ゼミナールによると、男性講師は6月8日午後4時20分ごろ、同校で授業中に同市内の私立高3年の男子生徒が他の受講生と私語を交わしていたため「私語をするな」と注意したが、生徒が態度を改めなかったため「お前だよ」などと言いながら生徒の顔を手で数回にわたって殴ったという。生徒は顔に5日間の軽傷を負った。
 この講師は暴走族出身の予備校教師として知られ、受験生の間でも人気がある。
 同ゼミナールは事態を受けて、男性講師に厳重注意処分と減給処分にしたほか、同ゼミナールの役員と横浜校の統括局長を厳重注意処分にした。同ゼミナール広報企画部は「あってはならないことで、今後このようなことが起きないよう厳重に管理していきたい」と話した。】

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今朝のテレビでこのニュースを観たのですが「暴力教師」「いつかはやると思っていた」という声がある一方、一緒に授業を受けていた生徒からは、「一度注意しても私語を続けていたし、他の人のジャマしてたんだから、仕方がない」という意見もありました。
 この先生、暴走族の頭目としてさんざん悪さをしていたのですが、20歳のときに彼女に「大学も出ていない人と結婚できない」という理由でフラレ、一念発起して猛勉強して4ヶ月で大学に合格。それから、暴走族出身のユニークな講師として人気となり、本もたくさん出している、代ゼミの看板講師の一人です。
この話を聞いて最初に思ったのは、「あの先生だったら、いかにもやりそうな話だなあ」ということなのですが、よくよく状況を聞くにつれ、この先生が悪いわけではないような気がしてきました。基本的には、暴力反対ではあるのですが。
この先生、授業の最初に「授業中に居眠りをしたり、私語をしたりして、他人の迷惑になることをするヤツはぶん殴る!」と宣言しているらしいです。
 で、この生徒は、授業中に私語で他の人に迷惑をかけ、先生は宣言どおりに制裁を加えた、と。
 僕は、これが学校の授業であれば、やっぱり暴力は暴力だし、処罰されて当然だと思います。だって、基本的に生徒は先生を選べませんから。でも、この代ゼミで殴られた生徒は、おそらく自分でこの暴走族先生の講座を選択したはずです。もちろん、その先生が「怒らせたら暴力にうったえるかもしれない人」ということを承知の上で。
そして、他の生徒もこの人気講師の授業を受けるために、安くはないお金を払って、さらに席をとるために並んだりしているわけです。

 殴られた生徒は、先生の警告を無視した上、勉強したい、しなければならない他の生徒に迷惑もかけているわけですから、処罰は当然なのでは。
 もちろん、暴力を容認するわけではないですし、テレビの「ガチンコ」というタイトルのバイオレンス・フィクションのおかげで、なんとなく真剣勝負の場には、暴力があっても必然、というような、どうしようもないムードが流れていることは事実なのですが。
 ラーメン作るのに、いちいち殴りあわなくてもよかろうに。
 まあ、「教室からの強制退去」くらいで、よかったような気はしますが、この先生自身にとっても。
 でもなあ、そこには地雷があるって、再三警告を受けているにもかかわらず、自分で地雷原に踏み込んでいき、地雷を踏んだからって「こんなところに地雷を埋めとくヤツが悪い!」という人、どう考えても正常ではないけれど。
 それはさておき、この先生のこと、マスコミは「不良から更正」「熱血指導」とかさんざん持ち上げておいて、いざ警察沙汰になると「暴力教師!」などと書き立てるのは、どうなんでしょう?
彼が自信を持って暴力をふるえたのは、メディアに祭り上げられたことによる自己肥大もひとつの要因だと思うのですが。