doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 『日本吹込み事始』


日本における最初のレコーディングは、いつ行われたのか。
それは、英国グラモフォン&タイプライター社の録音技師フレッド・ガイズバーグらが、蓄音機普及のために来日した、1903年(明治36年)2月である。
東京・築地のメトロポール・ホテルの会場で、雅楽、謡曲、狂言、琵琶、義太夫、吹奏楽、演劇、浪曲、声色、落語、詩吟などの、おもに名手による273点を録音。ドイツでSP盤としてプレスし、日本でも蓄音機とともに発売されたらしい。

これら日本の史料として貴重な1903年2月の音源からごく一部(18トラック)を収録したのが本CD。音質は悪いながらも、約100年前にタイムスリップしたかのような感覚が味わえるのと、当時を代表する邦楽・芸能の一端に触れることが出来、大変興味深い。

ちなみに、本作のほぼ完全版である『全集 日本吹込み事始』(11CD, 限定盤)と、さらに遡ること3年前の1900年(明治33年)、日本人初の録音となるパリ万博における川上音二郎一座の歴史的音源『蘇るオッペケペー 1900年パリ万博の川上一座』も、CDで発売されている。

2004年03月15日(月)



 『Power Of Soul: A Tribute To Jimi Hendrix』、収録曲など正式決定

5/4発売予定のジミ・ヘンドリックス・トリビュート・アルバム『Power Of Soul: A Tribute To Jimi Hendrix』
オフィシャル・ジミ・ヘンドリックス・オンライン・ストアー『authentichendrix.com』では、プレ・オーダー受付中で、収録曲・演奏者等も記載されている。
それによると、プリンスは「4. Purple Haze (3:39) Prince / Larry Graham」となっており、当初伝えられた「Red House」のカヴァーではないようだ。

去年ジミの『Live At Berkely』の海外盤CDの発売に際し、日本のレコード店での店頭販売はかなり遅れた(2〜3週間だったか)。Berkelyのライヴ音源は、既にオフィシャルとブートですべて聴いていたものの、一日でも早く『Live At Berkely』を聴きたかった私は痺れを切らしてしまった。今回の『Power Of Soul: A Tribute To Jimi Hendrix』は、『authentichendrix.com』で予約しておいた。
『CD Journal.com』(3/31付)などによると、『Power Of Soul: A Tribute To Jimi Hendrix』は4/28日本先行発売(バップ)とのこと。4曲目のプリンスは「Purple House」らしい(「Red House」のカヴァー?)。

2004年03月22日(月)



 マイルスのブート購入


Miles Davis / The Man Is Back With The Horn(1CD-R, So What!, SW-093)
  LIVE AT AVERY FISHER HALL, NEW YORK CITY 1981/7/5(Second concert)
79分18秒。ステレオ・オーディエンス録音。音質はあまり良くない。

Miles Davis / Unissued Live 1960 / 1973(1CD-R, So What!, SW-094)
  Track: 1〜4 Unknown Venue, Unknown City in Europe March-April 1960 From The Mastertapes: Stereo[So What: Version 1 & Walkin' - fade out on Kelly's solo] Track: 5〜6 Paramount Northwest, Seattle 1973/4/5
全68分32秒(1960年は43分26秒、1973年は25分06秒)。1〜4曲目の1960年のライヴはステレオで、音質が恐ろしく良い。5〜6曲目の1973年のライヴは、音像が左に寄ったオーディエンス録音で、音質はそこそこ。

2004年03月24日(水)



 トップページに掲載した作品 Vol. 1


『doo-bop days』のトップページにジャケット画像を掲載した作品集。追記として、「」のあとに短いコメントを添えた。

・「Miles Davis / doo-bop」
 HPのタイトルとして拝借したのが本作。ちなみに、HPのタイトルは、ほぼ決まっていたザ・ドアーズのある曲からの変更だった。

・「Sun Ra / Space Is The Place」
 サン・ラのDVD『Space Is The Place』の日本盤は、P-ヴァインより6/4に発売予定。

・「Betty Davis / Nasty Gal」
 下品で艶かしい裏ジャケのベティ・デイヴィスもよろしい。マイルス・デイヴィスの3番めの元妻の本作(1975年, 3rd)には、マイルスが「You And I」においてディレクターとトランペットで参加している(同曲には、ギル・エヴァンスもアレンジャー&指揮者で参加)。
ちなみに、マイルスはベティの影響で、ジミ・ヘンドリックスやスライ&ザ・ファミリー・ストーンを聴き始めたそうで、マイルスがジミと会ったのも、ジミと知り合い(&男女の仲)だったベティの紹介らしい。ファンク好きなら、ベティ・デイヴィスの1st『Betty Davis』と2nd『They say I'm Different』も聴いておいて損はない。

・「アイヌ文化伝承者、安東ウメ子の『ウポポ サンケ』(2003年12月発表)」
 1/31の安東ウメ子のライヴを観たあとは、安東ウメ子を始めとして、アイヌの伝統音楽、瞽女唄(ごぜうた)、高橋竹山、純邦楽、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンなどを貪るように聴いていた。その甲斐あってか、3月中頃になって、ようやく安東ウメ子のライヴ・パフォーマンスの大いなる衝撃から“ある程度”立ち直ることができた。

・「抜群の歌唱力を誇るマレイシアのNO.1歌姫、シティ・ヌールハリザの最新作『ハリ・ラヤの贈り物』 日本での販売元:オフィス・サンビーニャ」
 聴き手の心を軽やかにする純真無垢な歌声と、そのコントロールの巧みさなどが相変わらず素晴らしく、アルバムとしての出来も良い。これだけの歌の上手さと美貌を誇るシティなのだから、世界的な名声をもっと得られてもおかしくない。日本での単独公演が実現したら、ぜひ観に行きたい。

・「"宇宙人DJ"の異名を持つテクノ・ゴッド、ジェフ・ミルズのDVD『Exhibitionist』(1/9発売)」
 映像を見て初めてわかったこと多し。ジェフ・ミルズの手さばきの美しさは芸術的でさえある。

・「2003年のベストDVDと絶賛の『The American Folk Blues Festival 1962-1966 Vol.1&2』」
 ブルーズ・ファンなら一家に一枚の家宝物。『〜Vol.1&2』の日本盤は4/21に発売予定。『〜Vol.3』の日本盤は6月発売の予定とか。

・「アイリッシュ・トラッドの最新形、キーラの新作『Luna Park』(1/18発売)」
 夏に来日予定。単独公演を観てみたい。

2004年03月27日(土)



 トップページに掲載した作品 Vol. 2


『doo-bop days』のトップページにジャケット画像を掲載した作品集。追記として、「」のあとに短いコメントを添えた。

・「デトロイト・テクノなどに多大な影響を与えたジャーマン・ニュー・ウェイヴ(ノイエ・ドイチェ・ヴェレ)の 伝説のアルバム、リエゾン・ダンジュルーズの『Liaisons Dangereuses』(オリジナルは1981年発表)」
 斬新な作風とサウンドは、今聴いても衝撃的。かつては入手困難であった。リマスター(2002年)により音質も良好。

・「“ボサ・ノヴァの神様”ジョアン・ジルベルトの昨年9月の初来日公演 2日目を収録した『JOAO GILBERTO in Tokyo』(2/21 日本先行発売)」
 ライヴをぜひとも観たかった。次回こそ。

・「1970年代における最も重要なロック・ミュージシャン、デヴィッド・ボウイの最高傑作『LOW』(1977年発表)」
 10代の頃から何百回も聴いたアルバム。聴いて救われた想いがしたことは数知れない。

・「ユッスー・ンドゥールの新たな境地を切り開く、アラブ/イスラム色濃厚な問題作『SANT』(2003年11月セネガルにて発売。2004年ノンサッチより世界配給予定)」
 2003年or2004年を代表する傑作アルバムの一つ。イスラム教徒のユッスーが以前から発表するつもりでいたらしい宗教アルバムではあるが、排他的な感じはまったくしない。この時期に本作を発表した背景には、昨今の世界情勢があるのはファンなら容易に推察できる。

・「デトロイト・ハウスの鬼才、セオ・パリッシュのローテーティング・アセンブリー名義による注目作『Natural Aspirations』(2/20 日本先行発売)」
 凡庸な作品とは思えないが、もう少し手ごたえが欲しかった。デトロイトものでは、5月発売予定のムーディーマンの新譜にかなり期待している。→[追記]ムーディーマンの新譜は当初3/20日本先行発売予定だったので、その前日の夜、渋谷のレコード店に買いに行ったのだが、まだ売ってなかった。家に帰ってネットで調べたところ、日本盤は5月に延期との情報を得たが、実際には3/27に発売されたようだ。

・「ギニアのグリオ(世襲制芸能集団)系歌手の最高峰、クヤーテ・ソリ・カンディアの 超人的な歌声が堪能できるアフリカ音楽の歴史的名盤、 Kouyate Sory Kandiaの『Grand Prix du Disque 1970(アフリカの声)』 (2004年1月25日、オフィス・サンビーニャより国内配給)」
 1曲めの第一声から、今までに聴いたことがないほどの圧倒的なヴォーカルに驚かされる。サウンド面での充実ぶりも見事で、特にバラフォン(アフリカの木琴)の演奏と音色に惹かれる。

・「ルー・リードの2003年6月のロス公演を収録した強力ライヴ盤『Animal Serenade』(2CD, 3/23発売)」
 去年、2日間とも観に行ったルーの新宿厚生年金会館公演での光景が、聴いていると浮かんでくる。どこを取ってもルーの凄みがダイレクトに伝わってくる傑作ライヴ。ルーの初心者には薦められないかも。

2004年03月28日(日)



 ウルトラヴォックス

パンク/ジャーマン・ロック、ロキシー・ミュージック、デヴィッド・ボウイなどの影響が見て取れる英国のエレクトロニック系ロック・バンドで、ニュー・ウェイヴの先駆けとなったジョン・フォックス率いるウルトラヴォックス。彼らが1978年に発表したテクノポップの名盤の誉れが高い3rdアルバム『Systems Of Romance』の日本盤が、「2004年リマスター」「ボーナス・トラック1曲」追加で3/24に発売された。以前の『Systems Of Romance』のCDは音質に不満があったが、ようやくまともな音で聴けるようになったこともあり、最近このリマスター盤をよく聴いている。
一方、リーダーのジョン・フォックス脱退後、リッチ・キッズやヴィサージ、シン・リジィ(ツアー中に失踪・脱退したゲイリー・ムーアの代役ギタリスト)でも知られるミッジ・ユーロをフロントマンとして迎えて制作された第二期ウルトラヴォックスの傑作『Vienna』(1980年発表, 2000年発売のリマスターEU盤)も聴き直している。

ところで、私がウルトラヴォックスを聴きだしたのは、御多分に漏れず、1981年頃放映されたファッション・デザイナーの三宅一生がヘリコプターに乗って登場するサントリー・ウイスキー角瓶のテレビCMがきっかけだった。大きな反響を呼んだこのCMに使われた曲で、日本でのみシングルカットされたウルトラヴォックスの「New Europeans」(『Vienna』収録)の冒頭は、映像との相乗効果もあってか、洋楽初心者だった私に強烈な印象を与えたものだ。
これ以降の私は、数回のウルトラヴォックスのライヴとミッジ・ユーロのソロとしての初来日公演を観に行ったり、生まれて初めてのアナログ・ブートとしてウルトラヴォックスのライヴ盤を購入するなど、『Lament』(1984年発表)までのウルトラヴォックスの熱心なファンであった。

ちなみに、坂本龍一が持参したウルトラヴォックスの『Systems Of Romance』を聴いた細野晴臣は、制作中だったY.M.O.の2ndアルバム『Solid State Survivor』のベースを録音し直したらしい。Y.M.O.の『BGM』収録の「Cue」は、第二期ウルトラヴォックスのシングルB面曲「Passionate Reply」を大いに参考にしているのもファンには有名だ。

2004年04月02日(金)



 「海外盤CD輸入禁止に反対する」

国会で審議中の「著作権法の一部を改正する法律案」が、早ければ来週中(4月第4週)にも参議院を通過する可能性があるらしい。
6月に衆議院を通過すると、同法案が成立。去年12月に私の旧HPで紹介した記事(輸入盤を「非合法化」する著作権法改正)が現実となってしまうかもしれない。

海外盤CD輸入禁止に反対する
輸入盤CD規制問題(2)輸入盤CD規制問題(3)輸入盤CD規制問題(5) by 音楽評論家・小野島 大の不定期コラム『newswave on line(personal edition)』

2004年04月14日(水)
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