空虚。
しずく。



 内面。

決意表明なんかじゃ、ないけど。

それは、独立したものなんかじゃないから。

私の、いろんな思いの塊だから。

だから、それは私が持っていなきゃいけないんだ。

「変わるのかな・・・?ううん、戻るだけだよ。」

自分の中にあれば、自分で制御できる。

それが、何か別のものなんて、もう思わない。

負けない。逃げたくない。怖い、でも、逃げない。

「守れるかな・・・?」

知っていたのに、忘れていた。

負い目だとか、同情なんかじゃなくて。

きっと、誰かの、何か、になりたかったんだと思う。


そう、自分の愛の行く末が、違ったものになっても。

2002年11月30日(土)



 弱み。

右手の傷が治らない。

塞がった傷口は、すぐ壁に叩きつけられるから。

「っ。」

すぐに血が染み出して、痛みが襲う。

音を立てて舐めながら、またあの言葉。

「あいつのソコもこんな風に舐めてんだろ?」

目を見開いて、殴る。今度は、自分の意志。

「あの人を、汚すな!」

それは、誰よりも汚しているのは私だと認めているから。


「お前も身体目当てなんだろ?かわらねえよ。」

自分の中に突っ込まれる試験管と、鍵。

それを動かしながら何分も、何時間も、執拗に傷を抉って。

自分の口調が、崩れていく。

「もう、止めて・・・ぬい、てよ・・・。」

ああ、私の大嫌いな、声が。

「そういわれてお前は抜いたのか?
 逆だよなあ?も一本突っ込んでやっただろ?」

「止めてえ!あの人を、もう、言わないで・・・。」

(畜生、畜生、畜生っ!!)


その・・・すべてが、終わってから。

また、想いが襲ってくる。

「もう、やだよ・・・。」

布団を抱え込んで、目を伏せて、

痙攣する身体を抑えながら、耐えて、眠る。

そしたら次は、夢の中。


また、心が色を失っていく。

「だけど・・・もう、嫌なんだ。自分、傷つけるの。」

そう言って笑ってみたけど、

返ってきたのは「虚しさ」ただ、それだけ。

2002年11月18日(月)



 サド・マゾ。

これで、何回目だろうか。

うっすらと血がにじんだ右拳に、笑う。

殴りつけた壁から、破片がぱらぱらと落ちた。

くぐもった音と、痛み。


手の甲に滑らせた刃は、簡単に皮膚を切り裂いた。

流れ出る血。それを、ゆっくりと味わう。

久しぶりの味と、痛み。

「ん・・・。」


傷つけることの歓びと、痛みによる快感。

「どっちだと、思う?」

そう言って笑った顔は、サディストのそれなのだけれど。

傷口から更に痛みを引き出して、

それに打ち震えるのは、マゾヒストのそれ。


誰かを傷つけたい。

だけど、自分は傷つきたくない。

けれど、痛みはとても・・・気持ちいい。


「・・・どちらでも、いいんだ。
 きっと、そうなってるんだろうから。」

静かに呟いたのは、不感の、それ。


彼女の、煽るような口調が脳裏を過ぎる。

「容赦しない。
 誰であろうと、殺す。」

そしてその裏に潜んだままの、

「誰かに傷つけられるぐらいなら、私が―――」

殺意。

2002年11月07日(木)



 くちづけ。

酔った上だとわかっていても。

とても、とても嬉しかった。

掠めるような、キスだったけれど。

ありがとう・・・最高の、誕生日プレゼントだよ。


迷いは、振り払って。

熱に浮かされた視線は、交錯して。

額と額を、あわせて。

押し倒して、あなたからのキス。

一瞬の驚きと、悲しさと、嬉しさ。

舌を絡ませて、笑む。


「せめて、君を抱く時ぐらいは。」


『邪魔なら、殺しちゃえば?』

彼女は、簡単にそう言ってのけた。

「あんたは、優しいから。」

違うよ。私、優しくなんかない。

「何でも、抱え込もうとするから。」

違う、違うの。

どうしてみんな、そんなあったかいことばっかり言うの?

私、私は・・・!


「―――、愛してる。」

彼女だけど、彼女でない名を。

あなたの罪悪感、これで少しは、薄れますか?

まだ、私は答えに向き合うことが出来ないから。

向き合える時が、来るのかもわからないけど。

その時まできっと、あなたを抱き続けるから。


本当はあなたの名を呼びたいけれど。

それは、あなたを苦しめるだけだから。


私も、私でない私になって―――。


痛みから逃れるためにね、何かを殴ってしまうの。

刃物と違って、傷が残らないから。

「黙れ」っていうけど、誰も聞かないの。

あのひとのいうように、ころしちゃったほうがいいのかな?

2002年11月06日(水)



 キューブ。

昨日が誕生日でした。

ちっとも嬉しくなかった。

変わっていないと思いたかったけど、

冬の空気は嫌なものまで運んできてしまったようです。


真四角のキューブの中に、

隙間なく色んな思いが詰め込まれていて、

小さな穴から少しずつ漏れ出している。

頭に浮かぶ、そんな感覚。


一分おきに見る夢はまるで現実のようで。

混同しては、失望する。


寒くなりましたね。

ぬくもりが欲しくなってしまいます。

だけど、「思い」に押し潰されそうになるから。

触れていたいのに、離れていこうとしている。

また・・・表情が、消えていくんです。


すみません、私も不安定なんです。

だから、今はお互い何もかわさない方がいい。


・・・綺麗事ですか?それは。

2002年11月05日(火)



 冷え。

ひとつのものを愛しすぎれば、

他のものの価値は見い出せなくなる。

あの人以外、何も要らない。


そう願っても、手にはいりなどしないのに。


考えたくない、考えられない。

何故なら、それが理由になってしまっているから。

「横暴。」

壁を背にして、しゃがみこむ。

大馬鹿者の、罪人だ・・・と、わかっているのに。


愚かな行為などわかって、天秤にかける。

意味をなさない、し、意味を見い出せない。

その先に何があるのか・・・考えない。


ある意味で吹っ切れてから、頭の中は真っ白になった。

そして、忘れた。嫌なものも、大切なものも。


存在を感じ取れなくなったのは、

私はもう、用済みという事なのかもしれない。

それとも、この方が都合がいいのだろうか。


夜の暗さに、寒さに、冷たさに、

どうしようもなく、誰かを望むけれど。

傍に来られると、要らなくなる。

笑顔も、泣き顔も、意図しない所へ言ってしまった。

宙ぶらりんになったままの、「自分」


死にたくない。生きたくない。

思いがあらわれては消えていく。

「わがまま。」


何が出来るのか?

じゃなく。

何をすべきか。

何をしていればいいのか。


それが、たまたま仕事だっただけで。

「自分」を認識しない場所ならどこだっていい。

今何か・・・そう、依存出来るものに手をつけたら。

それに、溺れてしまいそうな気がするから。

手を出すまい、と護る。


あの人以外に動かされることは無く、

寒さで冷えた身体はぬくもりを取り戻さない。


暗い瞳―――ぞっとする。

2002年11月01日(金)
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