doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 マイ・ベスト・アルバム2006

この時期恒例の年間ベスト・アルバム。誰に頼まれたわけでもないが、今年も挙げておく。

対象は2006年に発売された音楽作品。部門は新作と、リイシュー/発掘音源・映像の2つ。個人的に特に良かった作品をそれぞれ最大10作品までとして挙げた。新作、リイシュー/発掘音源・映像ともに順不同。
2006年発売の2005年ライヴ録音作をどちらに分けるかで迷ったが、今回はリイシュー/発掘音源・映像部門に入れることにした。

新作
ボブ・ディランの『Modern Times』
2006年の新作の中から一枚だけ選ぶとすれば本作か。

ウィリー・ウォーカー・アンド・ザ・ブタンズの『Memphisapolis』
絶賛された前作『Right Where I Belong』に引けを取らない。

コンピレーション盤『コンゴトロニクス2 − BUZZ'N'RUMBLE FROM THE URB'N'JUNGLE』
コノノ・ナンバーワンの『Congotronics』よりも多彩な音楽性が味わえ、単調さとも無縁。DVD付き。

カエターノ・ヴェローゾの『ce』
ロック寄りの作風と痩身なサウンドで飽くなき前進へと挑んだ意欲作。

エルメート・パスコアル&アリーネ・モレーナ『シマホン・コン・ハパドゥーラ』
ブラジルの奇才&マルチ奏者による新妻とのデュオ作。DVDも同時発売。

ニック・ベルチュ『Stoa』
スイス出身の作曲家/ピアニストによるミニマルな禅ファンク/「リチュアル・グルーヴ・ミュージック」。

中村明一『虚無僧尺八の世界 東北の尺八 霊慕』
伝統とモダンさを併せ持つ超絶技巧の尺八奏者による本作の1曲目は、2006年の個人的ベスト曲。中村明一は箏(こと)奏者の八木美知依&磯貝真紀と結成したKokooや、話題となった『「密息」で身体が変わる』の著者としても知られる。

キーラ&オキの『KiLA & OKI』
アイルランドのケルティック・ミクスチャー・バンドとアイヌ音楽の異端児によるコラボレーション。OKIは本作を含め2006年に3作もアルバムを発表したが、これがベスト。

ディアフーフの『Friend Opportunity』
私の最近のお気に入りアヴァン・ロック・バンドの12/15日本先行発売CD。2007年1月来日公演予定。

リイシュー/発掘音源・映像



デヴィッド・ローゼンブームの『Brainwave Music − 脳波の音楽(2006年エディション)』
2006年屈指の推薦盤。

ピシンギーニャPIXINGUINHA)の『O MAESTRO DO BRASIL − ブラジル音楽の父
“ブラジル音楽の父”の最も重要な時期の足跡が辿れる日本独自の編集盤。

グラント・グリーンの『Live At Club Mozambique』
レア・グルーヴの定番であるグラント・グリーンの『Live At The Lighthouse 』に匹敵する傑作ライヴ。

八木美知依/ インゲブリグト・ホーケル・フラーテン/ ポール・ニルセン・ラヴの『Live! at SuperDeluxe』
箏(こと)奏者とアトミックのリズム隊によるファースト・コンタクト。打ち合わせなしのほぼ全編インプロで、先がどうなるかわからない緊張感が堪らない。

ジュニア・ウェルズの『Live At Theresa's 1975』
2005年のオーティス・ラッシュの発掘ライヴ盤『All Your Love I Miss Loving - Live At The Wise Fools Pub Chicago』がお気に入りなら、こちらも必聴必携。

コンラッド・シュニッツラー『Con』
タンジェリン・ドリームとクラスターの設立メンバーであったジャーマン・アヴァン音響系音楽家/総合芸術家の代表作。

アーサー・ラッセルの『Spring Field』
アーサー・ラッセルの傑作『World Of Echo』に近い時期の未発表ダブ・ディスコ/エレクトロビート集。

ヴァン・モリソンの2枚組DVD『Live At Montreux 1980/1974』
ヴァン・モリソンの新たな定番。2006年11月には、同年9月のアメリカ公演を収録したライヴ盤がライヴ会場限定で販売された模様。

小林ハルさんのCD-R『瞽女 小林ハル 母の墓前で涙の絶唱』
(企画・制作 小林ハル瞽女唄保存会, 製造元 燕三条エフエム放送)
小林ハルさんのような歌声が、今後の日本から出てくることはありえない。タイトルは大仰。涙を流しながら歌っているようには聴こえない(事実は別として)。小林ハルさんの映画の完成も待たれる。

安東ウメ子さんのDVD『けうとぅむ』(北海道幕別町教育委員会)
安東ウメ子さんの歌声を後世に遺すために企画されたウポポ(アイヌ語で歌)全集で、安東ウメ子さんの真の遺作。制作数800枚。
DVD本編の映像は、北海道十勝地方の四季の自然風景を中心に構成されているが、ウメ子さんの歌う姿とトークのみで構成・編集すべきだったとの考えは、4月中旬の入手当初から今でもまったく変わらない(本編にはウメ子さんの歌う姿の映像は1秒たりとも登場せず。一方、追加収録的な「ウポポ録音風景」ではウメ子さん登場)。
ウメ子さんの歌声に関しても、後世に伝えるため永久保存するのなら、リヴァーブを施したり鳥のさえずりなどを被せるのではなく、『日向の琵琶盲僧 永田法順』(6CD+DVD)のように「編集時に、原音の収録レベルや音色などに余分な修正を加えることを極力避け」るべきだった。
闘病中における録音ながら、安東ウメ子さんのウポポそのものには何の問題もない。

2006年12月31日(日)



 JB死去

ジェイムズ・ブラウンが12/25(月)、肺炎のため入院していた米ジョージア州アトランタの病院で死去した。73歳だった。詳しい死因は現時点ではわからないらしい。

とにかくショック。動揺が収まらない。
追悼の意を込めて、1998年12月6日(多分)にタワーレコード新宿店で行われたJBのトークショー&サイン会において、私の目の前でJBに書いてもらったサインの画像を掲載しておく。

心からご冥福をお祈りします。

“ファンクの父”ジェームス・ブラウン氏死去(『産経新聞』2006/12/25 19:02)
おくやみ ジェームス・ブラウン氏=米国のソウル歌手 (『読売新聞』2006年12月25日21時51分)

[12/29追記2件: 特に上はJBファン必読]
Was This James Brown's Final Japanese Tour? 【ジェームス・ブラウンの今回の日本ツアーは最後だったのか】(音楽評論家・吉岡正晴の『Soul Searchin' Blog』 March 12, 2006)
James Brown Update: Last Minute Of James Brown 【ジェームス・ブラウン死去・続報〜3日前までチャリティーに出席】(音楽評論家・吉岡正晴の『Soul Searchin' Blog』 December 27, 2006)

2006年12月25日(月)



 BOSEのノイズ・キャンセリング・ヘッドホン QuietComfort3 雑感

不自然に強調された低音にがっくり。この音質ではQuietComfort2の方がバランスが取れているし、BOSEの開発担当者たちは一体どんな耳をしているのかと不満に思っていた。
けれども、BOSEのノイズ・キャンセリング・ヘッドホンQuietComfort3を通勤時に使い始めてから3週間が経った頃、耳たぶが完全に隠れるようにイヤーパッドを耳に当てるなどのQuietComfort3を装着するコツがある程度つかめてからは、その不満はかなり解消されたと言ってよい(コツはどこかのブログで知る)。
もっとも、イヤーパッドの装着位置は、ベスト・ポジションから少しずれていても音質に影響すると思われ、今でも試行錯誤の最中ではある。

3年弱使ったQuietComfort2に比べ、遮音性は明らかに向上している。QuietComfort2でのいつもの音量のレベルだと音が大きく感じられるので、QuietComfort3では、QuietComfort2よりもヴォリュームを15パーセントくらい下げて音楽を聴いている。しかも、そういう小さめな音量であっても、音の細部まで聴き取りやすい。このため、今までQuietComfort2では聴くのを控えていたインプロ系の音楽もたまに聴くようになった。

QuietComfort2の大きな不満は、携帯電話による通話&メールの送受信が近くで行われた時に生じる不快なノイズであった。電車内では携帯電話によるメールの送受信をする人が大抵近くにいるものだが、通勤時にQuietComfort3を使い始めて1ヶ月が過ぎたというのに、1度もそのような不快なノイズがしていない。電車内で音楽を聴いている最中、耳障りなノイズが突然耳の中にねじ込まれる度に閉口していた者としては、特筆すべき嬉しい点である。

QuietComfort2は、ヘッドホンを装着して1分もしないうちに、耳の皮膚にわずかながらアレルギー反応による刺激が走った。これはQuietComfort2を購入した当初からであるが、QuietComfort3のイヤーパッドでは、今のところそのようなアレルギー反応は起きていない。

QuietComfort2は約38時間、QuietComfort3は約20時間。バッテリーの使用時間が18時間も減ってしまったのは痛い。ちなみに、QuietComfort3のバッテリーは完全放電させる必要はなく、継ぎ足し充電ができるタイプ。インジケーターが点滅を始めても約4時間使用できる。

QuietComfort3はイヤーパッドの構造上、装着位置がずれやすい。電車内で座席に腰掛け、下を向いている時など特にそうだ。無意識のうちに両手をイヤーパッドにやり、装着位置の微調整を何度も行っている。

QuietComfort2のイヤーパッドの表面が綻び、イヤーパッドを買い換えるつもりでいた時にQuietComfort3の発売を知った。QuietComfort3は、潔癖症のためBOSEの直営店などでの試聴をせずに思い切って購入。通勤時に電車内などの騒々しい環境で使うヘッドホンとしては、ほぼ満足している。

小さくても騒音はしっかりキャンセル 利用者層を広げる!? 小型バージョン ボーズ「QuietComfort 3」(『AV Watch』「週刊デバイス・バイキング」第161回 2006年9月1日)
Bose QuietComfort 3(『The Apple Store(Japan)』)
不要な音は聴かない、という贅沢。(『BOSE』QuietComfort)

2006年12月23日(土)



 トップページに掲載した作品 Vol. 21

『GEMMATIKA RECORDS』の「NEW RELEASE」12/19付によると、ジョアン・ジルベルト初のDVD『The Bossa Nova Live In Tokyo』は、ジョアン・ジルベルトの意向により発売中止となった。

カエターノ・ヴェローゾとJOSE MIGUEL WISNIKが、ブラジルの身体芸術集団Grupo Corpoのステージのために作ったサントラ盤『onqoto』(2005年11月?発売のブラジル盤, 購入先:『LATINA WEB SITE』など, 試聴
クリフォード・ジョーダンの1972年発表作の世界初CD化、『In The World』11/17にP-Vineから発売予定, 画像は「CDミスプリントでメーカー回収」となった10/20発売&同日入手の紙ジャケ日本盤, 1969年録音, オリジナル・マスターからのリマスター盤)
豊竹山城少掾(1878−1967)の『人間国宝 義太夫 豊竹山城少掾』11/1発売, 「蘆屋道満大内鑑〜葛の葉子別れの段〜」収録)
7/8に急逝したピアニスト、Brian Trainorの遺作で、Jimmy Scott、Jon Lucien、Steve Marcusなどが参加したBrian Trainor & Friendsの『Why Try To Change Me Now?』(9/12発売のUS盤, 2004〜2006年録音, 試聴
アーサー・ラッセルの米オーディカ・レーベルによるリイシュー・シリーズ第4弾『Spring Field』(10/6発売の直輸入盤, P-Vine, 全曲未発表, 試聴
フランク・ザッパ(1940-93)が生前完成させていたとされる未発表アルバムで、ギター・ソロ集第3弾『Trance-Fusion』(11/7発売のUS盤, Zappa Records

ニール・ヤング&クレイジー・ホースの『Live At The Fillmore East March 6&7, 1970』(11/14発売のUS盤, CD+DVDオーディオ版も11/14に発売, 日本盤
ハーバートの1996年発表の1stアルバム『100 lbs』 (11/18発売の直輸入盤, ボーナス・ディスク付き, 試聴
マイルス・デイヴィスの『Pangaea(パンゲアの刻印)』(11/22発売の日本盤, 銀蒸着CD/2006年DSDマスタリング, オリジナル・スタッフによる復刻, ディスク2は1996年発売の同作の「16chリミックス/完全版」よりも約2分40秒短い, 試聴
マイルス・デイヴィスの『Miles Davis At Fillmore』(11/22発売の日本盤, 銀蒸着CD/2006年DSDマスタリング)
“近代日本音楽界の巨人”で、“日本における西洋音楽の父”といわれる作曲家・山田耕筰(1886-1965)を取り上げたNAXOSの「日本作曲家選輯」シリーズVol.18、『山田耕筰 / 長唄交響曲「鶴亀」・明治頌歌』(10/27発売の香港プレス直輸入盤, 【演奏】東音宮田哲男[長唄、人間国宝]、東音味見 亨[三味線]、溝入由美子[篳篥=ひちりき]、東京都交響楽団ほか, 【指揮】湯浅卓雄, 【録音】2005.10.16 東京・ルネこだいら大ホール)
インドネシア・バリ島のグヌン・サリ楽団が1952年に欧米で公演を行った際、ニューヨークとロンドンのスタジオで録音したガムランの貴重な音源集『Dancers Of Bali: Gamelan Of Peliatan, 1952 − ダンサーズ・オブ・バリ バリ島プリアタン村のガムラン 1952』(10/15発売のUS直輸入盤, 原盤ライナーの完全翻訳付き, 試聴

トンコリ奏者のオキ率いるダブ・アイヌ・バンドの『OKI DUB AINU BAND』(12/3発売, 試聴, OKIインタビュー
筑前琵琶の第一人者、山崎旭萃さん(1906-2006)の『人間国宝 琵琶(筑前)山崎旭萃』(11/29発売, 試聴
実験・電子音楽家、デヴィッド・ローゼンブームが1976年に発表した“バイオフィードバック音楽の金字塔”、『Brainwave Music − 脳波の音楽(2006年エディション)』em recordsから4/20発売, オリジナル・ジャケット仕様, 日本語による詳細な解説付き, 本人の意向により2001年のライヴ音源を1曲追加, 試聴
ブーツィ・コリンズのクリスマス・アルバム『Christmas Is 4 Ever ブーツィ・コリンズの灼熱のファンクリスマス』(11/17発売の日本盤, Bootsy Collinsインタビュー, 試聴
トン・ゼーのレーベル移籍第一弾『ダンセーサー Danc-Eh-Sa Danca Dos Herdeiros Do Sacrificio』(12/10発売の直輸入盤, ライス・レコード, 試聴

2006年12月20日(水)
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