doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 「伊福部 昭 音楽祭」 2007年3月4日 於:サントリーホール大ホール

「伊福部 昭 音楽祭」が、2007年3月4日(日)に東京・赤坂のサントリーホール 大ホールで行われる。チケットはすでに10/21から発売中。

遅まきながら本日(11/19)、日本フィルハーモニー交響楽団のHPで「伊福部 昭 音楽祭」のチケットを買う。同HPでは座席を選んで買えるシステムとなっており(「かえるくん」参照)、とてもありがたい。

伊福部 昭先生の本格的な追悼公演が、2007年3月に東京で予定されていることを確か半年以上前に知り、個人的には2007年の最重要公演と位置付けていた。チケットが10/21から発売されていたとは不覚にも知らなかったが、納得のいく席が取れてほっとしている。

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「伊福部 昭 音楽祭」
【日時】 2007年3月4日(日) 15時開演
【会場】 サントリーホール 大ホール
【出演】 日本フィルハーモニー交響楽団
     指揮: 本名徹次
     プロローグコンサート
     野坂恵子(筝)、藍川由美(歌)、片山杜秀(司会進行)他
【主催】 伊福部昭音楽祭実行委員会
【席種・料金】S席 6,300円、A席 5,500円、B席 4,500円、C席 2,500円、P席 1,500円
【プログラム】
第1部 プロローグコンサートとトーク 伊福部昭とヴィルトーゾ
「音楽の生まれる時」
二十五絃筝甲乙奏含交響譚詩 筝:野坂恵子 小宮瑞代
アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌 歌:藍川由美 ティンパニ:高田みどり
第2部 映画の世界
「映画人、伊福部昭を語る」
映像上映とのコラボレーション
ゲスト:高畑勲 富山省吾 熊井啓(予定)
SF交響ファンタジー 第1番 
銀嶺の果て(東宝)-座頭市物語(大映)-ビルマの竪琴(日活)(新編纂)
「わんぱく王子の大蛇退治」より"アメノウズメの舞"
オーケストラのための 特撮大行進曲 (新編纂)
バンドのための「ゴジラ」マーチをオーケストラ化
第3部 管絃楽の響
「大楽必易」
管絃楽のための「日本組曲」
シンフォニア・タプカーラ
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11/16(木)に「阿寒のアイヌの歌と踊り」、11/18(土)には「自衛隊音楽まつり」(日本武道館、18:00からの第2部)を観に行く。気が向き、時間を作れたら、後日手短に備忘録として書き込んでおくつもり。
BOSEのノイズ・キャンセリング・ヘッドホンQuietComfort3が本日(11/19)届いたが、こちらも同様。
11/23&24に六本木のスーパーデラックスで行われる「MZN3+Y 北欧HOT!」(エム・ゼット・エヌ・スリー+八木美知依)も楽しみ。
R.I.P. ルース・ブラウン・・・・。






2006年11月19日(日)



 「自衛隊音楽まつり MARCHING FESTIVAL 2006」

11/18(土)に日本武道館で「自衛隊音楽まつり MARCHING FESTIVAL 2006」(2日目の第2部)を観る。
出演は陸・海・空の自衛隊音楽隊と女性自衛官演技隊、防衛大学校儀仗隊などの他、ゲスト・バンドとしてインド陸軍軍楽隊、在日米陸軍軍楽隊、米国海軍第7艦隊軍楽隊、在沖海兵隊音楽隊。
自衛隊の各音楽隊が一堂に会し、総力を挙げて取り組む年に一度のフェスティヴァルである。

自衛隊の音楽隊による演奏会は初めて観たが、褒め言葉しか出てこない。自衛隊音楽隊の技量の高い演奏はもちろんのこと、客席のあちこちで感嘆の声と拍手が上がったドリル(演奏しながら隊列をいろいろな形に変化させつつ行進する演技)は、視覚的にも見応えがある。自衛隊ならではの統制と調和がとれたもので、キビキビとした動作は気持ち良い。もちろん、独裁国家の軍事パレードやマスゲームのような異様さは欠けらもない。
オープニングは観客も起立しての「君が代」斉唱(歌い手なしの演奏のみ)。「君が代」の生演奏を聴くのは何十年ぶりだろうか。近年テレビで聴くに堪えない「君が代」独唱を唐突に聴かされることが何度かあったが、それとはまったく次元の異なる“本物”を聴かせてもらった。

1時間45分のプログラムは、どれも無駄のないスピーディーな展開で進行し、パフォーマンスは演出および計算し尽くされた“魅せるもの”となっている。防衛大学校儀仗隊によるファンシードリルも見所の一つだが、白眉は、総勢220名が一糸乱れずに和太鼓を叩いた「自衛太鼓」だろう。5分くらいのパフォーマンスだったと思うが、太鼓の響きは3階席の私の体全体に直接伝わるほどの力強さ。日本の風土、大地に根ざした土着的な響きで、大和民族としての私のDNAをも刺激するかのようだった。
オーロラヴィジョンや曲間のナレーションでは、国内外で任務にあたる自衛隊の宣伝が当然ながら挿入される。だが、「自衛隊音楽まつり」は単なるPRイベントとは一線を画す本格的な演奏会で、グレードもかなり高い。幅広い年代の方々、マーチング・バンドにあまり関心のない方が観ても楽しめるフェスティヴァルであった。

ところで、私が日本武道館に着いたのは開演の30分くらい前の17:30頃。観客の大半は自衛隊員の家族と知人、関係者が占めるイベントだと思い込み、客入りは少ないだろうと高を括っていたのだが、会場の入り口付近には長い列がいくつもあって焦る。
入場するため一番人の少なそうな列に並び、手荷物検査を受けるが、その厳重さに驚いた。バッグなどの持ち物は完全に手放したうえで調べられるし、ペットボトルなどの飲食物の持ち込みはダメ。手荷物検査を遠巻きに監視している屈強な男性も何人かいる。空港にある金属探知機のような物まであった。
会場に入ると、すでに8〜9割の席が埋まっており、こちらもビックリ。止むなく3階席の端の方で観るはめとなった。自衛隊の関係者でない一般の観客が1階の正面席を確保するには、何時間も前に会場に着いて並んでないと無理かもしれない。

「自衛隊音楽まつり」の入場チケットは無料である。私の場合はネットで申し込み、抽選で当たった。1枚の入場チケット(はがき)で2名まで入場できる。入場チケットを申し込んだ理由は、陸上自衛隊中央音楽隊のCD『伊福部昭 吹奏楽作品集』(2005年)を聴き、自衛隊音楽隊による演奏会をぜひ観たいと思い続けていたため。入場チケットはプレミア物で、何十倍という競争率らしいのは、演奏会が終わってから知った。
ちなみに、「自衛隊音楽まつり」では、演奏中におけるデジカメでの撮影は黙認しているようだ(フラッシュ撮影は厳禁)。こちらも演奏会が終わってから知った。

陸・海・空自衛隊合同コンサートが、2007年3月11日(日)にサントリーホールで行われる予定(『陸上自衛隊 JGSDF』「What's New」12月11日付などより)。入場無料。応募要領は2007年1月9日(火)に発表される。
“観て楽しむ”自衛隊音楽まつりとは違い、“聴いて楽しむ”コンサート形式の演奏会とのこと。こちらもぜひ観に行きたい。

「未来をひらく情熱」テーマに自衛隊音楽まつり(『自衛隊ニュース』2006年12月1日)
自衛隊音楽まつり『陸上自衛隊 JGSDF』, 同トップページ「ギャラリー」の「動画集」「自衛隊音楽集」では、視聴&試聴が出来る)
自衛隊音楽隊の情報サイト







2006年11月18日(土)



 「阿寒のアイヌの歌と踊り」

「アイヌの歌謡は、生活に楽しみを増すためといった余裕のあるものではなく、もっと切実な、生きるために善神に救いを求め、生命をおびやかす魔神を威嚇して追いはらうための、絶対絶命の叫び声から発生したものである」(詩人・更科源蔵, 北海道中川郡「本別町史 概要」より)

第2部の終わりの方で披露された「エムシ リムセ」(刀の踊り)では、阿寒のアイヌ民族の女性たちによる祈るような歌と手拍子が繰り返されるなか、アイヌの男性2人が魔を祓う(はらう)ための刀を振りかざし、掛け声を発しながら勇ましく踊る。アイヌ民族の古式舞踊は「神への踊り」である(『アイヌ民族博物館』「アイヌ文化入門」の12「神への踊り 1〜4」参照)。本来見世物ではないが、観せてもらう側にとって「エムシ リムセ」(刀の踊り)は見所の一つだろう。更科源蔵による前掲の説の具体例としても挙げられるかもしれない。

11/16(木)に東京・代々木上原のけやきホール(古賀政男音楽博物館・JASRACビル)で「阿寒のアイヌの歌と踊り」を観る。東京音楽大学付属民族音楽研究所主催の公開講座(入場無料)として行われ、出演したのは阿寒口琴の会の皆さん(代表: 弟子シギ子さん)。阿寒のアイヌ民族に伝わる古式舞踊を中心に、ウコウク(本公開講座のパンフレットによると「座り歌」、一般的には「輪唱」の意)、アイヌ民族の口琴であるムックリの演奏、樺太アイヌの弦楽器・トンコリの演奏を、第1部と2部合わせて約1時間40分披露してくれた。

第1部の始めの方では、阿寒のアイヌ民族に伝わるウコウク(「座り歌」)が7曲歌われた。10名の女性が2つに分かれ、シントコ(和人との交易で得た漆塗りの容器, アイヌにとって大変高価な宝物)のふたを囲み、輪になって座る。シントコのふたを片手で軽く叩いて拍子をとりながら、どの座り歌も輪唱で歌う。阿寒口琴の会の床 明さんが、座り歌の始まる前にそれぞれの歌の解説をしてくれるので、聴かせてもらう方としては歌の意味をつかんだうえで聴ける。
歌われたのは、山の神様である熊が暖かい毛皮とおいしいお肉を持って山から下りてきたと歌う「カラカラ」、(かもめの鳴き声の反復を挿入しながら)子を育てる親心を歌う「エアウオ」(「カピウ ウポポ」)など、どれもゆったりとしたリズムと素朴な旋律の繰り返しのあるもので、聴いていると心が自然と和むような歌ばかりだ。
これら7曲の座り歌は、弟子(てし)シギ子さん、床みどりさん、山本栄子さん(3人とも阿寒口琴の会)他が参加したCD『Mukkuri Hawehe − ムックリの響き:アイヌ民族の口琴と歌』(2001年, 日本口琴協会)にすべて収録されているが、十勝・帯広地方のアイヌの歌を伝承する安東ウメ子さんの作品では聴けない。アイヌ民族に伝わる歌(とその歌詞、意味、旋律、節回しなど)は、地方によって異なるものが多い好例だろう。

阿寒口琴の会は、1992年に弟子シギ子さん、床みどりさん、山本栄子さんの3人が中心となって発足した会で、世界口琴大会に何度も出演するなど幅広く活動している。今回ステージに登場したのは、前記3人を含む19歳から70代までの11名(うち男性2名)。さらに床 明さん・みどりさん夫妻の娘で、トンコリ奏者のOKIや安東ウメ子さんの作品への参加などで知られるアイヌの歌い手・床 絵美(旧姓、東京在住)も特別に参加した。
質問コーナーでの床 みどりさんの回答によると、阿寒のアイヌの踊りは普段の生活のなかで受け継がれているものなので、踊りを練習することは特にないが、特別な催しがある時は皆で集まり、週に2〜3回練習することがあるという。
阿寒口琴の会の皆さんの民族衣装は、同じ地域なので似通っているのではと思いきや、デザインや色合いなどどれも随分違う。地域や集落によって歌い方が決まっているアイヌの歌とは対照的だ。

印象的だった踊りは、鶴の親が子に飛び方を教えて一緒に飛び立つまでを、アイヌの民族衣装を鶴のように羽ばたかせて踊る「サロルン リムセ」(鶴の舞い)、キツネが尾を振りながら跳ね回っている様子を模した「チロンヌプ リムセ」(きつねの踊り)、松の木が風に揺れている様を、アイヌの女性たちが長い黒髪を大きく揺らして踊る「フッタレチュイ」、お盆を交互に投げ合い、落とすか取られた方が負けという遊戯性の高い踊り「ヘクリサラリ」(盆の取り合いの踊り, 物を大事に扱うという意味もある)など。観客の反応が一番良かったのは、ユーモラスな娯楽踊りの「シネオッカイ トゥンメノコ」(色男の踊り)。仲の良い2人の女が1人の色男をめぐり、最後には取っ組み合いの喧嘩になる滑稽な様が、実際に女性2人・男性1人によって演じられ、会場は笑いに包まれた。

「阿寒のアイヌの歌と踊り」の主催である東京音楽大学付属民族音楽研究所は、東京音楽大学学長であった伊福部 昭先生によって「1975年」(本公開講座のパンフレットより)に創設された。伊福部先生は同研究所の所長、のち名誉所長に就任。アイヌ音楽の研究は、同研究所の開設以来、最優先課題として採り上げてきたという。過去にアイヌ民族の公開講座で招いた方は、1994年7月に安東ウメ子さん(と帯広カムイトウウポポ保存会?)、1999年に萱野 茂さんなど。2002年には「千歳アイヌの歌と踊り」が催されている。

「阿寒のアイヌの歌と踊り」は、アイヌ民族の踊りがたくさん観られる数少ない機会であるとともに、かなり充実した内容の公開講座であった。10/21(土)に観に行った「アイヌ文化フェスティヴァル 2006」での不満(アイヌ民族の古式舞踊は数曲しか披露されなかった)を払拭できたと思う。
ムックリは、技巧を凝らした演奏を6人の女性が聴かせてくれたものの、遂に生で聴けると期待していたムックリの名手・弟子シギ子さんのムックリは聴けなかった。エンディングの挨拶の場に唯一人出て来なかったので(最後に花束を受け取るため、ほんの少し登場した)、体調が芳しくなかったのだろうか。あるいは、床みどりさんのムックリも聴けなかったことから、後輩に演奏発表の場を譲ったのかもしれない。いずれにせよ、非常に残念であった。
節回しが難しいとされるアイヌの歌の、フチ(アイヌ民族の女性の古老)から若い世代への伝承は、阿寒口琴の会に限らず、アイヌのどの保存会にとっても差し迫った課題と思われる。

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「阿寒のアイヌの歌と踊り」

2006年11月16日(木)18:30開演
会場: けやきホール(古賀政男音楽博物館・JASRACビル)
出演: 阿寒口琴の会
主催: 東京音楽大学付属民族音楽研究所
助成: 財団法人 アイヌ文化振興・研究推進機構

【プログラム】
第1部
1.「トノト ソロパ」(酒こしの踊り)
2.ウコウク(本公開講座のパンフレットによると「座り歌」、一般的には「輪唱」の意)
 -1)「イカムッカサンケー」
 -2)「イタサンカタ」
 -3)「カラカラ」
 -4)「ウララシュエ」
 -5)「アーラフンヤー」
 -6)「サァーオィ」
 -7)「エアウオ」(「カピウ ウポポ」)
3.「ク リムセ」(弓の舞い)
4.ムックリ演奏1 − 女性3人がそれぞれ演奏
5.「サロルン リムセ」(鶴の舞い)
6.「ヘクリサラリ」(盆の取り合いの踊り)
7.「シネオッカイ トゥンメノコ」(色男の踊り)

【15分の休憩】

第2部
1.トンコリ演奏 − 女性5人による合奏で3曲演奏
 -1)「スマリ プー コ サン」(樺太アイヌのトンコリ奏者・西平ウメさん[1901-1977]による樺太アイヌの伝承曲「Sumari Puu Ko San」, 狐が山から下りて来て、蔵の中の食料を漁る)
 -2)「エトフカ マー イレッテ」(カラスの水浴び, 樺太アイヌの伝承曲で、OKIのCD『TONKORI』収録)
 -3)「トー キト ラン ラン」(樺太アイヌの伝承曲で、OKIのCD『TONKORI』収録)
2.「チロンヌプ リムセ」(きつねの踊り)
3.「シッチョチョイ」(種まきの踊り)
4.「ヘリカンホ」(「ヘレカン ホー」) 祭事などにおいて興にのった頃、踊りの輪に座っている人を入れ、一人ずつ順番に得意な踊りを出し合いながら、皆で踊りを競い楽しむ踊り。歌詞は囃子言葉。
5.ムックリ演奏2 − 女性3人がそれぞれ演奏(床 絵美も奏でる)
6.「フッタレチュイ」(松の木が風に揺れる踊り)
7.「エムシ リムセ」(刀の踊り)
8.「エッサー ホーホー」(輪踊り、踊り比べ) 踊りを競い合い、誰かが倒れるまで皆で踊る輪踊り。祭事の終わりに皆で楽しむ踊りでもある。観客が大勢参加して踊った。
9.質問コーナー

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【アイヌ民族の古式舞踊の動画】
阿寒湖アイヌコタンの劇場「オンネチセ」(アイヌ語で「古い家」)で撮影された「AINU 古式の舞 7分42秒」『yagiq』「ストリーミング映画館」における「yagiq のビデオ代表作品 2005年」より)
「神々とともに  帯広カムイトウウポポ保存会の歌と踊り」(ダイジェスト3分/本編45分, 『地域文化資産ポータル』「北海道/帯広市」)

2006年11月16日(木)



 高橋竹山、三味線との一人旅

5枚組CD『復元 幻の「長時間レコード」山城少掾 大正・昭和の文楽を聞く』が、10/28に紀伊國屋書店から発売された。
【演奏者】浄瑠璃 二世 豊竹古靱太夫(のちの山城少掾、当時49〜50歳)/ 三味線 四世 鶴澤清六(当時38〜39歳)
【製作年代】大正15年〜昭和2年発売
【価格】12,000円

何日か前に『TOWER.JP』でチェックしたところ、本作が20パーセント引きで売っていた。2割引きなら今月下旬辺りに購入しようと思っていたのだが、本日(11/10)『TOWER.JP』で改めてチェックしたら、「販売していません」との表示。今さら定価で『Amazon.co.jp』などで買うのも損した気がするし、購入は当分先となりそう。

「つらいことは忘れない。楽しいことは忘れるものですよ」

ボサマ(坊様, 盲目の男性の門付け芸人)のホイト(乞食)芸から出発した津軽三味線の名人・高橋竹山(1910−98)は、事あるごとに門付け(旅において家を一軒一軒まわり、門の前で三味線芸を見てもらい、報酬として米やお金を貰う)のつらさを語っている。

17歳から始めた門付けは、生まれ故郷の(青森県東津軽郡中平内村字)小湊から始めたのですかとの鈴木健二の質問に、「小湊だけは歩きません。17、18の若者で外見を気にする年頃なのに、『竹山、袋下げて米やお金をもらって歩いているわ』と笑われ、恥ずかしいだけ。【ここで鈴木健二が失礼にも笑い、冗談のつもりか「お国土産」とも言う】 そんなもんじゃありませんよ。香水の匂いのする年頃の娘さんがいる家に門付けに行き、(物乞い芸で得た物を入れる)袋下げてお金もらうんですから。あんたら今聞けば面白いとか可笑しいって笑うかもしれませんが、そういう身になってごらんなさい。どんなに話をしたって分かりませんよ。並大抵のものじゃない。つらいものですよ」

11/4(土)AM11:40〜11:50にNHK総合テレビで放映された『NHK映像ファイル あの人に会いたい 「高橋竹山」』を偶然にも途中から見る。NHKが所有するいくつかの映像を編集して構成されたこの番組では、『気くばりのすすめ』の著者で、元NHKアナウンサーの鈴木健二への受け応えが特に印象的だった。
この高橋竹山を囲んでのインタビュー映像は、DVD『高橋竹山その人生 音は枯野をかけ廻り』&『高橋竹山独り語り 三味線は津軽の匂い』(共に2001年発売)にも一部収録されているが、鈴木健二の映像と発言&失礼な笑いはカットされている。

2006年11月10日(金)



 ジョアン・ジルベルト − 東京国際フォーラムホールA公演

ギターによる繊細な響きとリズムの揺らめき、40何年も前から変わらぬ囁くようなヴォーカルに静かなる高揚へと誘われる。
約2時間25分、たった一人でのライヴ。パフォーマンスは開演から20分くらいで一段と集中力が増したよう。DVD収録公演に相応しい出来となった。
11/8(水)に東京国際フォーラムホールAで観たジョアン・ジルベルトの来日公演。“ボサノヴァの神様”のライヴを拝聴した余韻は、何日間か続きそう。

ジョアン・ジルベルトの11/8(水)と翌9(木)の来日公演は、ジョアン・ジルベルト初の映像作品『The Bossa Nova Live In Tokyo』としてDVD化され、2007年春に『GEMMATIKA Records』から日本先行で発売される。収録時間は80分の予定。
DVDの限定版に関しては、2007年3月7日の発売で、価格は7,800円。こちらは一般店頭販売なし。予約(申し込み)締め切りは12/29(金)とのこと。詳細は『GEMMATIKA Records』まで。『e+』でも予約受付中。
[→12/20追記] DVDは、ジョアン・ジルベルトの意向により発売中止となった(『GEMMATIKA Records』の「NEW RELEASE」12/19付より)。ジョアン自身「どうしても当日のパフォーマンスに自分として納得がゆかない」とのこと。

今回のジョアン・ジルベルトのチケットは、「ほぼ日」先行予約特別枠でS席を入手。ジョアン・ジルベルトといえばこの方、中原 仁氏のそばという、1階席の前方中央のかなり良い席で観られた。
ちなみに中原 仁夫妻(?)の隣りは、東大卒のタレント・高田万由子 / ヴァイオリン奏者・葉加瀬太郎夫妻。高田万由子は2〜3曲目で早くもこっくり。ライヴの大半を寝ていた一方、夫の葉加瀬太郎も一時大きないびきをかき、周りの観客の多くが後ろを振り向くほどの顰蹙を買っていた。

ジョアン・ジルベルト3度目の来日となる今回も、ジョアン・ジルベルトの意向により空調停止。私の席ではライヴの後半辺りからやや暑さを感じたが、汗をかくことはなかったし、特に不快ではなかった。
それに比べ、前回来日の2004年10月11日の東京国際フォーラムホールA公演では、1階席ほぼ最後列(『チケットぴあ』の先行予約で入手)。その時は、4時間近くにも及ぶライヴの途中から不快となり、酸素が欠乏しているように感じられ、汗をかくほどに暑い。集中力もそがれるし、眠気と気持ち悪さをもよおしてしまった。1階席の後ろの方は2階席が覆い被さるようになっているため、天井までの空間が狭くなっており、空調停止によって空気環境は最悪だったと思われる。

2006年11月08日(水)



 琵琶盲僧・永田法順、11/12 有楽町朝日ホールで「釈文神名帳」披露

日向の琵琶盲僧・永田法順師が出演するシンポジウムに今ごろ気付く。申し込みの受付はすでに終了。永田法順師による演目「釈文 神名帳」(約38分)が生で聴ける貴重な機会を逸してしまった。

伝統文化活性化シンポジウム 日本人の死生観(財団法人『伝統文化活性化国民協会』)
平成18年度 伝統文化活性化シンポジウム(『読売新聞』2006年10月19日)

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平成18年度  伝統文化活性化シンポジウム

11月12日(日)午後1時30分〜午後5時
有楽町朝日ホール(東京・有楽町マリオン11階)

【テーマ】 日本人の死生観

◇ コーディネーター=小島美子(国立歴史民族博物館名誉教授)

◇ パネリスト=薗田稔(京都大学名誉教授)、崔吉城(東亜大教授)、内藤正敏(東北芸術工科大教授)、山折哲雄(宗教学者)

芸能鑑賞=盲僧琵琶「釈文神名帳」(永田法順)

【申し込み】略、先着順、定員580名になり次第締め切り、入場無料
【主催】  (財)伝統文化活性化国民協会
【後援】  文化庁、NHK、読売新聞東京本社
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日本の伝統音楽とその周辺の情報収集に関しては、前々からチェックの甘さを自覚していた。ロックなどの音楽情報に比べると、情報を集めにくいうえ、見逃しやすいことも経験上知っている。今後も掘り下げて聴いていくつもりの盲僧琵琶で、個人的には重要無形文化財保持者(人間国宝)だと思っている“最後の琵琶盲僧”永田法順師(71歳)出演ゆえ、今回の情報を知らなかったのは実に痛い。日本の伝統音楽・伝統芸能関係の有意義な情報が得られるサイトやブログ、掲示板の開拓に少しずつ努めたい。

第九回「琵琶盲僧」(前編)(『続・職業外伝』秋山真志)
永田法順師による盲僧琵琶の弾き語りの動画が1分間ながら見られる『文化デジタルライブラリー』(「舞台芸術教材1」→「日本の伝統音楽 楽器編」→「楽器図鑑」→「盲僧琵琶」(一番右上)→永田法順師の画像をクリック)


東京・中野で行われている毎年恒例の沖縄とアイヌ民族の祭り、チャランケ祭 が、11/4(土)と翌5(日)に中野北口広場(JR中野駅北口)で開催される。
今年は浦河アイヌ文化保存会がゲスト出演するとのこと(中野にあるアイヌ料理店『レラ・チセ』のHPなどより)。

第13回 チャランケ祭
11/4(土) 13:00〜 カムイノミとイチャルパ、交流会
11/5(日) 10:00〜 各団体によるアイヌと沖縄の芸能
【ゲスト出演】 浦河アイヌ文化保存会
【主催】    チャランケ祭り実行委員会
【後援】    中野区・中野教育委員会

沖縄とアイヌ民族の祭典、チャランケ祭(『市民メディア・インターネット新聞JANJAN』2005/11/10)
右の画像は、チャランケ祭を立ち上げた中心人物の一人、アイヌ民族の広尾 正氏のCD『ケゥトゥム・ピリカ〜 子どもたちと愉しむアイヌ舞踊 〜』(2000年, パストラル・レコード)

2006年11月02日(木)
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