doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 『ETHNOMUSICOLOGY』, OKI etc.

ここ1ヶ月の備忘録など。

観に行った公演
6/24(金), 25(土), 26(日)カールハインツ・シュトックハウゼン@アートスフィア 天王洲アイル
7/3(日)ジャルー・グルウィウィ@一ツ橋ホール
7/14(木)ドゴン族の仮面舞踊@世田谷パブリックシアター
・7/16(土)オキ『Tonkori』発売記念ライヴ@恵比寿・SPAZIO 2
7/22(金)のMeat Beat Manifesto、7/24(日)のムーディーマン@恵比寿・LIQUIDROOM公演は観に行けず、非常に残念。

「永遠の光に"耳"がふれて・・・シュトックハウゼンの宇宙」(堀内宏公『JAZZ TOKYO』)

7/3(日)のジャルー・グルウィウィの公演を収録したCD、DVDが制作されるらしい。永久保存版の公演パンフレットも近日発売予定。

7/14(木)のドゴン族の仮面舞踊の公演には、国立歴史民俗博物館名誉教授の小島美子さんがいらしていた。今年4月に発売された『日本音楽の巨匠 - Masters of Japan』シリーズの販促用冊子に、小島美子さんの文章(共感を持って読ませてもらった)と顔写真が載っていたため、一目でわかった。
小島さんは、7/20(水)の岩手の秘謡「御祝(ごいわい)」の公演も観に行く予定で、同公演が1991年に国立劇場で行われた際、小島美子さんは(解説者として?)出演されたらしい(小島さんと知人の男性との会話より。私の席とかなり近かったため、話が聞こえてしまう)。
小島美子さんは、とても気さくな方という印象で、「大先生」にありがちな近寄り難いなどのネガティヴな感じは、全くしなかった。
「伝統文化の今 そしてこれから 第2回 小島美子」(日本文化藝術財団インタビュー)

ブートをいくつか購入。Miles Davisの『Deep Brew Vol. 1 - Bitches Brew Recording Session』(1CDプレス盤, Legendaly Collection Series)、『Deep Brew Vol. 1』より1週間くらい後発となった『Unreleased Bitches Brew Session』(2CD-R, So What)、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのブートDVD『The Velvet Underground Anthology』(1DVDプレス盤, 約130分)など。

南インド古典音楽の声楽家、M.S.スブラクシュミ(1916-2004)のDVD『M.S.Subbulakshmi in her Swaralaya Puraskaram Concert』を、東京・渋谷のEL SUR RECORDSでようやく購入。
1997年のチェンナイ公演を中心に収録。日本国内の一般的なDVDプレーヤーで再生可能。

「日本の植民地・北海道から来ました」、「『TONKORI』発売記念“来日”ライヴ」。7/16(土)の第一部のステージに登場した、トンコリ奏者OKIの開口一番のMCより。
別のMCでは、「オレはアイヌの運動家ではありません」とのフォローも。
OKIのトークは、アイヌの伝承曲の説明を中心としながらも、変幻自在で面白い。観客の笑いも常にとっていた。

OKIのMCによると、OKIのアイヌ音楽観を変えた最も衝撃的な曲は、樺太アイヌの伝承曲「Kent Hakka Tufse」とのこと(OKIの『TONKORI』&1stアルバム収録)。

OKIの新作アルバム『TONKORI』からは、安東ウメ子さんが歌った「Rew Rew」、OKI作の「Tonkori In The Moonlight」を除き、全曲演奏したはず。
1970年代までにテープに残されたトンコリの名人たちによる演奏を忠実に再現したと、OKI自ら語るアルバム『TONKORI』同様、ライヴにおけるOKIのトンコリ演奏、サウンドは、クルパルマさん、西平ウメさん、木村チカマさん、藤山ハルさんの演奏スタイルを再現しながらも、OKIの音楽そのものだった。
ライヴ会場(定員約180人)は、20〜30代の女性によって半分くらい(or それ以上?)占められていた。会場のロビーには、床 絵美や居壁 太がいたが、ステージには登場せず。

「radio KISAR staff diary」(2005-07-05付)によると、7/2(土)に北海道・斜里で行われたOKIのライヴが、オンエアー決定らしい(現時点では公開日不明)。
一方、同サイトでは、スペシャル・プログラム「OKI'S TONKORI TALKING」(約33分)を公開中。

7/16のOKIのMCによると、トンコリの名手「クルパルマ」さんは、「白川クルパルマ」さんというらしい(OKIのCD『TONKORI』のブックレットには、「クルパルマ」としか書かれていない)。
白川クルパルマさんと関係があるのかどうかはわからないが、1979年に、白川八重子さんという方のトンコリ演奏を収録したLPが発売されている。現在発売中の『ミュージック・マガジン』誌の中村とうようの「とうようズ・トーク」と、同誌前月号の中村とうようの「アルバム・レヴュー」で知った。
白川八重子さんのLPのCD化は、諸般の事情から難しいだろうが、ぜひとも聴きたい。

樺太アイヌの弦楽器トンコリや、アイヌ民族の口琴・ムックリなどの昔の貴重な音源が試聴できるサイトを、最近あるブログで知った。
「Japan - Listening」の上部にある「Early Japan」がアイヌ音楽関係で、音源の録音年月日、曲名、演奏者などの詳細は不明。
「8. Tonkori」は、OKIの演奏曲だと「Hechiri Rock」や「Sannupista Hechiri」に近いようだが、今を生きるOKIが奏でる洗練されたサウンドとは、まるで異なる。

このサイトは、カリフォルニア大学文化人類学教授のRobert Garfias氏による民族音楽のHP『ETHNOMUSICOLOGY − Robert Garfias Anthropology UCI』で、「Japan - Listening」のページでは、他にも雅楽、能、琴、沖縄などの音楽が聴ける。
特に、「Warring States」の「Moso Biwa」(盲僧琵琶)は衝撃的。「New Popular」には、「Utada」「Kuraki」の名も。
一方、このサイトの「Films」では、映像も視聴でき、インドの超絶技巧のタブラ奏者ザキール・フセインの演奏シーン「Tabla solo in panchamsaveri (15 beats)」(9分46秒)などが見られる。

2005年07月24日(日)



 トップページに掲載した作品 Vol. 10

・先鋭ジャズ・レーベルThirsty EarのThe Blue Seriesの一作として発表された注目作、Meat Beat Manifestoの『At The Center』(5/24発売のUS盤, 7/22代官山&24大阪公演決定, 試聴
・マーク・ボラン / T.レックスの3枚組DVD『Born To Boogie』(6/1発売の日本盤&試聴, 日本盤のみディスク3追加, 349分)
・ヘロインのオーヴァードーズで死去したシンガー・ソングライター、ジュディ・シル(1944−79)が、1974年に録音していた幻の3rdアルバム『Dreams Come True - Hi ・ I Love You Right Heartily Here ・ New Songs』 (5/13発売の日本盤, 2CD, 試聴, 1st2ndはRhino Handmadeにて限定発売済み)
・DJ Shadowの名作『Endtroducing...』のDeluxe Edition(6/7発売のEU盤, 2CD, オリジナル・アナログ盤の試聴
・Miles Davisの『'Round About Midnight』Legacy Editon(6/14発売のUS盤, 2CD, HMV, 試聴
・元ポップ・グループのマーク・スチュワート自ら監修のもと制作された『Kiss The Future - Anthology Of Mark Stewart, The Maffia And The Pop Group』(6/15発売の日本盤, 試聴

・Marvin Gayeの1966年8月録音の未発表ライヴを収録した『At The Copa』(4/29発売のUS盤, Hip-O Selectから発売の20,000枚の限定盤, 試聴
・ブライアン・ウィルソンの2枚組DVD『スマイル』(6/22発売の日本盤, 試聴
・Joe Zawinul & The Zawinul Syndicateの2CD『Vienna Nights - Live At Joe Zawinul's Birdland』(5/23発売のEU盤, 試聴
・CANの代表作の一つ、1973年発表の『FUTURE DAYS』(6/28発売のUS盤, SACDハイブリッド・ディスク, 試聴


・George Clinton & Parliament・Funkadelicの『Live At Montreux 2004』(6/28発売のUS盤, 同タイトルのDVDの日本盤は8/24発売予定)
・ライ・クーダーの新作『Chavez Ravine』(Nonesuchから6/28発売のUS盤, 試聴
・4月の来日公演が蘇る、Atomicの3枚組ライヴCD『The Bikini Tapes』(7/5発売のEU盤, 2,500枚のみの限定盤?, 2004年3月のノルウェー・ツアーと同年7月の南ノルウェーのコンクスベルク・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴを収録, 日本盤は7/27発売予定?)
・ブライアン・イーノの新作で、"歌もの"アルバムの『Another Day On Earth』(7/9発売の日本盤, 試聴
・ダニエル・ラノワのインストゥルメンタルによる新作『ベラドンナ』(7/13発売の日本盤, 試聴
・ミッチェル・フルームのソロ・ピアノによる新作『A Thousand Days』(6/22発売の日本盤, 試聴

2005年07月21日(木)



 安東ウメ子さんが天に召されて一年

安東ウメ子さんの遺作『ウポポ サンケ』(2003年12月発表)ライヴの第一部が終わり、休憩となった。
少し時間が経ってから席を離れ、狭い通路に出たものの、どういうわけか前方がつかえている。
案の定、後ろの人達から強く押された私は、前の人にガツンとぶつかるすんでの所で辛うじて踏み堪えた。我ながらよく踏ん張ったと思ったが、私の手は、前の人の背中にかすかに当たってしまっていた。触れてしまった方は、控え室に戻る途中の安東ウメ子さんだった。

2004年1月31日(土)に東京・浅草のアサヒスーパードライホール4Fで観た、安東ウメ子さんの『ウポポ サンケ』発売記念コンサート。ウメ子さんは、ファンか知り合いに声をかけられ、まだ通路にいたのだろう。客席前方の中央でライヴを観ていた私は、第一部のステージを降りたウメ子さんが、客席を貫く通路後方のそんな所にいるとは、思いも寄らなかった。

ウメ子さんは、程なくスタッフの女性に体を支えられるようにエスコートされながら歩き始める。ステージ上では見せなかった、ゆっくりと、あまりにもゆっくりとしたペースで歩くウメ子さん。大腸がんの手術をされてから約9ヶ月経つウメ子さんは、この浅草でのライヴ以前から、移動の際は車椅子を使っていたらしい。
ライヴ会場後方のエレベーターホールまでの数十メートル間、ウメ子さんの真後ろをウメ子さんと同じペースで歩いた私は、闘病中であるウメ子さんの体の悪さを身を以って実感するとともに、ウメ子さんがこの浅草でのライヴでユーモアに包みながらサラッと告白された、ご自身の極めて悪い健康状態を案じたものだ。

安東ウメ子 - 「追悼抄」 / 2004年8月29日(日)読売新聞朝刊アイヌ文化の伝承者で、ウポポ(アイヌ語で歌)とムックリ(口琴)の第一人者として知られる安東ウメ子さんが、2004年7月15日に大腸がんのため71歳で逝去されてから、早くも一年が経った。

「気力で生きてもらうしかない」。ウメ子さんは、2003年4月に大腸がんの手術を受けたものの、医師からそう言われた。がんは、すでに腸内のあちこちに転移していたという。
アルバム『ウポポ サンケ』の録音(2003年8月)や、浅草での『ウポポ サンケ』発売記念コンサートなどにおいて、ウメ子さんはご自身の近い将来を見据え、覚悟の上で臨まれたに違いない。

「アイヌの歌とムックリを一人でも多くの人に聴いてもらうのが、今の私の使命」と、ウメ子さんは仰っていた。ウメ子さんがこの世に遺して下さった音楽が、一人でも多くの人の心に響き、これからも安東ウメ子さんの思いが叶い続けるよう願って止まない。

安東ウメ子【アイヌ文化の伝道者】(『art random』 - 「人生のセイムスケール」 - age 71 -)
安東ウメ子さん死去 アイヌ楽器ムックリ演奏第一人者(『十勝毎日新聞』2004年7月16日付)
安東ウメ子 & OKIインタビュー アイヌの魂を未来へ継ぐ(『Hotwired Japan』 - Music)

2005年07月15日(金)



 “最後の瞽女(ごぜ)” 小林ハルさんのラジオ番組


4/25に逝去された盲目の女旅芸人・瞽女(ごぜ)の小林ハルさん(1900−2005)を取り上げたラジオ番組が、下記の通り放送予定とのこと。

7/12(火)午前4時台 NHKラジオ第1『ラジオ深夜便』
「仏への道をたどった瞽女(ごぜ)小林ハルの生涯(1)」
7/13(水)午前4時台 NHKラジオ第1『ラジオ深夜便』
「仏への道をたどった瞽女(ごぜ)小林ハルの生涯(2)」他
7/31(日), 再放送 8/7(日)NHKラジオ第2『視覚障害者のみなさんへ』
「最後のごぜ・小林ハルさんを偲ぶ」
放送:  日曜 19時30分〜20時00分
再放送: 日曜 07時30分〜08時00分

7/31(, 8/7再)放送の「最後のごぜ・小林ハルさんを偲ぶ」には、CD『最後の瞽女 小林ハル 96歳の絶唱』(1997年)を企画・制作した元NHKチーフディレクターの川野楠己氏が出演。放送後、番組HP『視覚障害者のみなさんへ』の7/31(, 8/7再)の番組表に、「当日の放送をお聴きいただけます!」が数ヶ月の期間限定でUPされ、ネットで「最後のごぜ・小林ハルさんを偲ぶ」が聞けるようになるはずだ。→[8/7よりネットで公開]当日の放送をネットで聞く

最後の瞽女小林ハルさん死去(新潟日報 2005-04-25-13:08)

2005年07月08日(金)
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