doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 OKI / DUB AINU


今年1/31に東京・浅草で行われた安東ウメ子さんのライヴにおいて、ウメ子さんとOKIは、このような内容の話をしたと記憶している。
「先生が、ここを取る、あっちも取る、こっちもって言うから、『先生、そのままにしておいて下さい。私はごはんがおいしく食べられればそれでいいんですから』って言ったの。病名はね、ナントカカントカ・ナンダラカンダラっていうんだけど、私には難しくて長い病名だから、未だに覚えられない(笑)。去年手術して、2月から5月まで入院したけど、今でも闘病中なの」
「『ウメ子さん、(体のことを考えると)ライヴ活動は出来なくなっちゃったね。これからどうしよう。家の近くで出来るということで、アルバムを作ろうか』。そんなわけで、去年8月にウメ子さんの『ウポポ サンケ』を録音することになったんだけど、本当は、去年はオレ(OKI)のアルバムを作る予定だったんだ」

トンコリ(樺太アイヌに伝わる弦楽器)奏者で、アイヌ文化伝承者の故・安東ウメ子さんのプロデューサーとしても知られるOKIの約2年ぶりの作品となった『Dub Ainu』は、OKIと安東ウメ子さんの過去の音源をダブ・リミックスしたCDである。
収録されているのは全6曲で、OKIの『No One's Land』(2002年)から3曲、ウメ子さんの『ウポポ サンケ』(2003年)と『イフンケ』(2001年)から「イウタ ウポポ」と「フタレ チュイ」、OKIの未発表曲が1曲。全収録時間が約25分であることから、ミニ・アルバム的な作品といえよう。
ウメ子さんのウポポ(アイヌ語で歌)は、大胆にもそのほとんどがカット。打楽器などのリズムを強調したトラックが多く、ベースとごく一部ではキーボードも追加しており、OKIの次回作への布石となりそうな内容となっている。

なお、『DUB AINU』の全国発売は10/17だが、今年8月に北海道で行われたOKIの「ハナシガイツアーPART 2」以降は、OKIのライヴがあった会場で先行発売されている模様だ。

チカルスタジオ
Beats21 Archive - 注目のアイヌ・ミュージシャン、オキ

2004年10月29日(金)



 海童道 〈法竹〉 海童道宗祖


禅の普化宗管長を経て、海童道(わたづみどう)を興した海童道宗祖(海童道祖、1911-1992)。
1986年のカンヌ映画祭で史上初の4賞に輝いた、アンドレイ・タルコフスキーの遺作『サクリファイス』で使用された尺八に似た響きの音楽は、海童道宗祖の音源である。

海童道は、吐く(呼吸)、つかむ(指の動作)、のばす(身体の屈伸)という海童道宗祖が編み出した三つの哲理=「自然法」を実践するために、道具として、山で拾った等の自然の竹を適当に切って穴を開けた法竹(ほっちく)と呼ばれる一管の竹を使用する。
尺八のように楽器としての加工はしていないので、法竹は楽器ではないという。法竹を吹くことも吹奏といわず、吹定(すいじょう)というらしい。
「自然法」の実践として法竹を吹定した結果、発せられたものが、いわゆる音楽と一般的に呼ばれているものになるのだろう。本CDに収録されているのは、霊性(こころ)の作用を旨とした「薩慈」、歓喜と恩愛を表現した「巣鶴」、静観の境地の「山谷」、みそぎの境地「霊法」など全15曲。海童道宗祖による、その厳かで深遠かつ霊妙な響きは、聴き手をも精神の高みへと誘うかのようである。

本CD(UDC-499)は、1968年発売のLP『海童道〈法竹〉海童道宗祖』に1961年録音の2曲を追加して2000年にCD化されたが、すぐに廃盤となった。
2003年、『海童道〈法竹〉海童道宗祖』は、海童道宗祖の『神秘の竹の音』とともに1,000枚限定のCDとして再発されたが、『(株)目白』「海童道」のページでは両作品ともすでに売り切れ。『邦楽ジャーナル』のネット通販では、CD『海童道〈法竹〉海童道宗祖』がリストにあることから、現時点では僅かながらも取り扱っている模様。
ちなみに、今年9月にディスクユニオン新宿本館に行った時、ノイズ/アヴァンギャルドのフロアーにおいて、デッドストックとして超限定入荷したCD『海童道〈法竹〉海童道宗祖』(多分2000年発売版)が、ジョン・ゾーンのTZADIKレーベルのCDが置いてあるすぐそばに陳列されていた。

11/3追記: 『ZeAmi』のトップページ等によると、海童道宗祖の『神秘の竹の音』が同店に再入荷とのこと。一方、ディスクユニオンのHPの「NOISE/AVANT GARDE」によると、「禅トリップ伝説の名作、待望の再プレス決定!」「海童道宗祖 WATAZUMIDO / 神秘の竹の音〜前衛と古典〜」「11月2日入荷決定!!」らしい。

「尺八を越えて」海童道宗祖 (『尺八吹奏研究会』
Biography: Watazumi Doso Roshi

2004年10月28日(木)



 美空ひばり / ジャズ&スタンダード


美空ひばり(1937−1989)が亡くなって間もない頃、美空ひばりの歌うジャズ・ナンバーを絶賛している記事が音楽雑誌に載っていた。
確か、美空ひばりを超える日本人のジャズ・ヴォーカリストはいないといった内容だったと思う。
本作『ジャズ&スタンダード』(1990年)もしくは『ひばり ジャズを歌う - ナット・キング・コールをしのんで』(1965年)収録のジャズ・ナンバーを指しての記事であったのだろう。
私が美空ひばりに初めて興味を持った瞬間でもあった。


美空ひばりの『ジャズ&スタンダード』はタイトル通り、ジャズおよびスタンダードのカヴァー曲集である。
白眉は、何と言っても「A列車で行こう」(1955年1月5日録音)を歌う美空ひばり(当時17歳7ヶ月)のリズム感の圧倒的な素晴らしさ。同曲後半のスキャットも全く見事に歌いきっており、日本人でありながら、こんなリズム感、スイング感を一体どこでどのようにして身に付けたのかと思ってしまう。
演歌や歌謡曲にはあまり関心のない音楽ファンが、初めて美空ひばりを聴いてみようと思った時の定番アルバムである。

美空ひばり公式ウェヴサイト

2004年10月27日(水)



 『坂本龍一 の日本再発見 - ぼくの未来を探す旅』

10/24(日)16:00〜17:15、テレビ東京(&テレビ大阪?)で『坂本龍一 の日本再発見 - ぼくの未来を探す旅』が放映された。

「坂本龍一が、日本人としての”アイデンティティー”を求める旅に出る。青森県を訪れた坂本は友人の宗教学者、中沢新一と会う。三内丸山遺跡では作った石器で魚をさばくなど、縄文時代の生活を体験。さらに十和田湖近くの山中でキノコを採り、鍋料理を作る。アイヌ民族の聖地と呼ばれる、北海道の阿寒湖へも向かう。アイヌ文化の保存、復活に努めた故山本多助がここで晩年を過ごした。自給自足に近い生活を送りながら、沖縄古来の音楽と文化を伝え続ける男性も紹介していく。」
(4)阿寒湖畔に坂本龍一さん訪れTVロケ(釧根地方ニュースダイジェスト)

青森のおばあさん達による童唄の「お手玉」や、西表島の文化伝承者の石垣金星さんによる三線の弾き語り、アイヌ民族の先祖供養の儀式を始めとして、番組全般に渡り、どの映像も興味深かった。

山本多助『イタク カシカムイ《言葉の霊》 − アイヌ語の世界』(1991年, 北海道大学図書刊行会)アイヌ音楽関係では、アイヌ民族の故・山本多助エカシ(長老)による「イフンケ」(子守唄)が約40秒ながらも聴けたのはかなり貴重。山本多助エカシ(1904−1993)の姪で、アイヌ文様刺しゅう家のチカップ美恵子さん所有のカセットテープからのもので、約40年前の録音らしい。山本多助エカシは、幼い頃のチカップ美恵子さんのために「イフンケ」(子守唄)を歌ってあげたそうだが、チカップ美恵子さんは今でもそのことを覚えているという。山本多助エカシの著書を暗記するくらい山本多助エカシのことを尊敬している坂本龍一のためにということで、チカップ美恵子さんは小さなラジカセでその貴重なカセットテープを聴かせてあげていた。

他にアイヌ音楽関係は、十勝アイヌのエカシ(長老)の川上英幸さんらによる「クーリムセ」(「イヤ コーコー」、弓の舞)の唄と踊り、白糠アイヌ文化保存会によるアイヌ古式舞踏「フンペ リムセ」(クジラの歌舞)とトンコリ(樺太アイヌの弦楽器)、ムックリ(口琴)の実演、安東ウメ子さんのアルバム『イフンケ』から「サラバ」と「フタレ チュイ」の2曲が流れた。

[2005年11月24日 追記] アイヌ民族復権運動の父・山本多助展 十勝に生きるエカシの愛(『十勝毎日新聞社』2005年11月15〜17日)

2004年10月24日(日)



 Bruce Palmer 死去

2003年にCD化されたBruce Palmerの『The Cycle Is Complete』(US盤)
元バッファロー・スプリングフィールドのベーシストで、呪術的かつフリーキーなアシッド・フォークの傑作『The Cycle Is Complete』(1971年発表)等でも知られるブルース・パーマーが、10/1に亡くなった。58歳だった。死因は心臓発作によるものらしい。合掌。

News - Neil Young - Springfield's Palmer Dies(『Rolling Stone.com』)
B・スプリングフィールドのパーマーが死去(『BARKS』)

2004年10月12日(火)



 ジョアン・ジルベルト - 東京国際フォーラム・ホールA公演

会場で購入したジョアン・ジルベルト日本ツアーのパンフ
約3時間50分のライヴ(17:25〜21:15)。ジョアン・ジルベルト来日公演における最長のライヴか。
日本ツアー最終日の本日、会場は約5,000人の満員の観客で埋まった。1曲めから2時間くらいまではボサノヴァ&音楽の神髄に触れるような感動の連続であった。
だが、それ以降は、ジョアン・ジルベルトの意向により、昨年同様、ライヴの最初から空調停止で行われていたため、窓が1ヶ所も開いてない&空調が入ってない満員電車の車内にいるかのような実に不快な環境。暑いばかりでなく、酸素も欠乏しているようで、集中力をそがれ、眠気と気持ち悪さをもよおしてしまった。ただ、パフォーマンスの出来は後半の方が良かったと思う。
ライヴ中盤であったフリーズ(曲が終わった時の態勢を維持したまま身動きせず、固まり続けてしまうこと。ジョアン・ジルベルトによる観客への感謝の意らしい。観客はその間、拍手し続けている)は20分くらい。チケットぴあの先行予約でチケットを入手したが、1階席最後列に近い最悪の席であったのが唯一残念。

2004年10月11日(月)



 帯広カムイトウウポポ保存会 - 8/28熊本公演の記事

アイヌ文化伝承者の故・安東ウメ子さんが所属していた帯広カムイトウウポポ保存会の熊本公演が、8/28に熊本市産業文化会館で行われた。
九州に響いたウポポ 帯広保存会の熊本公演=1=(『勝毎ジャーナル』)

「成功」だったという帯広カムイトウウポポ保存会の熊本公演はもちろんのこと、1955年頃、帯広(十勝)のアイヌ民族の歌や踊りなどを保存・伝承するため愛好会として発足し、1984年には国の重要無形民俗文化財に指定された同会の軌跡を振り返る記事も興味深い。安東ウメ子ファン必読。

2004年10月10日(日)



 マイルスのブート購入


Miles Davis / A Day Before "The Last"(1CD-R, So What! Special Products, SWSP-025)
 Concord Pavilion, California 1991.8.24
1. Perfect Way 2. Star People 3.Hannibal 4. Wrinkle 5. Penetration 6. Amandla
73分51秒。Tr.7&8にシークレット・トラック(?)収録。オーディエンス録音。音質は良好。マイルス生前最後のライヴの前日の公演。

Miles Davis / New Year's Eve 1981(2CD-R, So What!, SW-110/111)
 AT BEACON THEATRE, NEW YORK 1981/12/31
ディスク1 53分50秒、ディスク2 39分22秒。オーディエンス録音。音質は良好。

上から『The Lost Quintet At Central Park』、『Village Gate 1969』、『The Lost Quintet At Duffy's Tavern』
Miles Davis / The Lost Quintet At Central Park(1CD-R, So What!, SW-112)
 LIVE AT CENTRAL PARK, NEW YORK 1969/7/7
1. No Blues 2.Miles Runs The Voodoo Down 3. Masqualero 4. Spanish Key 5. Sanctuary - The Theme
40分08秒。オーディエンス録音。音質は割りと良い。迫力のある音で録れている。

Miles Davis / Village Gate 1969(1CD-R, So What!, SW-113)
 at Village Gate, New York 1969(date unknown)
1. This 2. Footprints 3. Miles Runs The Voodoo Down 4. Round About Midnight(imcomplete)
43分52秒。オーディエンス録音。音質は比較的良好。

Miles Davis / The Lost Quintet At Duffy's Tavern(2CD-R, So What!, SW-114/115)
 DUFFY'S TAVERN, ROCHESTER 1969/3/date unknown
Disc One 1. On Green Dolphin Street 2. So What 3. Nefertiti(imcomplete) 4. Footprints(incomplete) 5. No Blues - The Theme
Disc Two 1. This(incomplete) 2. Paraphernalia 3. No Blues - The Theme
ディスク1 42分54秒、ディスク2 40分26秒。オーディエンス録音。音質はこもり気味であまり良くない。

2004年10月04日(月)
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