空虚。
しずく。



 無題 四。

立ち上がるたびに、貧血を起こす。

もう、慣れた。

どこか柱につかまって、目を閉じる。

すぐに、おさまる。


・・・床に倒れこんでいた。

さっきまで壁を見ていた目が、今度は天井を見ていた。

「立ち上がれるか?・・・無理だ。」

耳に届く音に合わせて、詞を口ずさむ。

こんなことは前にもあった。すぐにおさまる。


「1、2、3、4、5、6・・・。」

手で床を打ち鳴らしながら、数字を数える。

目的など何もない。何故か口をついて出てきた。

「14、15、16、17、18、19、・・・20。」

そこで、止めた。


まだ、身体は言うことを聞かない。


ハーケンクロイツ旗を、見上げる。

「・・・Sieg Heil」

口にする。

「Sieg Heil Sieg Heil Sieg Heil」

何度も、口にする。

「Sieg Heil! Heil Hitler!!」

叫びに近い、声。笑い。

しなだれた手を、口にあて抑える。

まだ、理性はある。


何分、そうしていただろう。

再び立ち上がり、笑んだ。


まとった白衣を、脱ぎ捨てて。

2002年06月10日(月)
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