空虚。
しずく。



 無題 二。

一人で繁華街に出かけた。

頭がおかしくなるかと思った。

電車の中もそうだった。

とにかく、落ち着かない。


あの人の香りがした。

振り返った。・・・いるはずもない。

駆け出した。いられなかった。


『嫌だ!』

ふらふらと足がホームに向く。

前から来た列車が突風を起こして髪を揺らした。

飛び込まなかった。

階段を駆け上がって、胸を抑えた。


覚えたてのドイツ語を呟きながら、

うろ覚えた知識のファシズムにすがった。

生体実験の場面を想像して、笑った。


少し、落ち着いた。


父親の会社の、もっとも大きな取引先がつぶれた。

とても大きな、罪悪感が湧く。


私は働ける歳だというのに。

働きもせずに家に塞ぎこんでいる。

無駄に生きるばかりだ。

死んだほうがいい。


出来ない自分に苛立ちが増す。

気持ち次第で出来ることなのに、

その気持ちにどうしてもなれない。


生きているのが申し訳ない。

だから、死にます。


そう誰かに伝えれば、

まるで不幸自慢じゃないか。

止めて欲しいみたいじゃないか。


自分がしっかりしなければいけないのに。

他人に、救いを求めてはいけないのに。


誰かに、言葉を口にしたいのに。

言葉を口にする事は、いけないことなのに。


・・・どうしたら、いいんだ。

2002年06月08日(土)
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