空虚。
しずく。



 とらわれ。

外はどしゃ降りの雨。
窓を閉めて、カーテンを閉じても響く雨音。
・・・多分、今夜は眠れない。
きっと夢を見る。
また"彼女"の夢を見る。
身体は眠りたい、とサインを送る。
私はそれを無視する。
身体なんかどうでもいい。
今は精神を護るので必死だ。

必要ならば自傷もする。
首吊りの真似事もしてみる。
雨に打たれたりもする。

それでも、"彼女"そして"あいつら"からは逃れられない。

今までも。そしてこれからも。

*********************

また、雨音がひどくなった。
以前なら拒否反応を示したものにも、何の反応も示さない。
表情は固まったまま動かず、
その唇から声が漏れることも無い。

自分で自分を試す。
かつてあれほど拒否した映像。
泣き叫んで狂いかけた記憶。
そのどれもを引き出して、瞳の前に提示する。

それでも、何の反応も無かった。

「もう彼女の事は愛していないのね?」
即座に帰る、答え。
「愛が解からなくなった。」

どちらも私の言葉だ。
私を傷つけているのも、
私を護っているのも、
同じ、自分だ。

・・・やめよう。
考えても答えなんて出ない。

全てが望んだとおりになった。
ただ、それだけだ。

*********************

私には、顔がない。
私には、声がない。
私には、心がない。

私には、何もない。


奪われた?
違うね。
消し去ったのは、"私"だよ。

*********************

2002年03月05日(火)
初日 最新 INDEX MAIL HOME


My追加