空虚。
しずく。



 診察・血液。

病院に行った。
断る理由もなかったし、
行ったところで何も変わらないと思っていたから。

でも。
病院に近づくにつれて、吐き気がひどくなる。
強いめまいも起こって、視界が一瞬真っ暗になった。
なんだか、嫌な予感がする。
神経をかき乱されるような、そんな、予感が。

待合室で順番を待つ。
もう、精神状態はおかしい。
身体が震えていた。
「切りたい。切りたい切りたい切りたい。」
心の中はそれしかなかった。
悲しくもないのに涙が出てくる。

同じように順番を待つ大勢の人。
それが、怖い。
視線がすべて自分に向けられているような、
そんな、錯覚。
対人恐怖症も、ここまできたか。
と、ちょっと自嘲する。
やっぱり、無理に作った笑いだった。

診察室に入った時には、もう限界だった。
ただただ、抑えるのに必死だった。
あの人たちは、相変わらず、
中途半端な知識を自分なりの解釈で、
"先生"に話していた。

結局、何も解かっちゃいない。
私は一度だって、あなた達に頼った覚えはない。
自分から、"病院に連れて行って欲しい。"
なんて頼んだ覚えもない。
治したいとも思っていない。

もううんざりだ。
私から言葉も奪う気なの?

必死で左手に爪を立てた。
痛みで、痛みを逸らそうとしていた。
爪が食い込んで、皮が剥けて、血が出た。
精神は解離していた。

何も聞きたくない。
「あなた達の語る、"私"なんか。」


診察が終わった後、
何故か検査を受ける事になった。
通院にしても入院にしても、必要になるから。と。

血液検査を受けて、驚いた。
黒かった。自分の、血が。
あんなにキレイな紅だったのに。

やっぱり思った。
汚い。

こうして、私はどんどん汚れていくんだ。

けれど、
悲しくなかった。
虚しくもならなかった。
このまま汚れ堕ちて死ねばいいんだ。

そう考えたら、何故か笑えた。

今週の金曜日にも、診察がある。
まだ、"治る"なんて思ってるのか?
私は、"死にたい"としか考えていないのに。


"死ぬ理由がないから生きてるの?"

"生きる理由もないくせに。"


2002年03月04日(月)
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