doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 樺太アイヌの太鼓カチョの音源 & 『瞽女と瞽女唄の研究』

樺太アイヌの太鼓カチョ。カチョは、楕円形の枠に皮を張った片面太鼓で、樺太アイヌの儀礼用の打楽器である。アイヌ語でシャーマンの意のトゥスクルが、病気の治癒や災いの排除などの巫術(ふじゅつ)を行う際、カチョを用いた。
トゥスクルは、祈願の依頼があると儀式用の冠を被り、煙を充満させたチセ(家)の中で、片手に持ったカチョをレヘニ(バチの意)で叩きながら巫術を行う。カチョは、アイヌ音楽一般においては使われていないはずだ。

2年ほど前、東京・板橋区立郷土資料館で開催された収蔵品展「樺太アイヌ民族誌 - 工芸に見る技と匠 -」で、カチョの実物を見たことがある。その時から今までカチョの音源の存在については、想像すらしたことがなかったが、最近知った下記のサイトでは、樺太アイヌのトゥスクル(シャーマン)と思われる者によるカチョの貴重な音源が、僅かながら聴ける。

樺太アイヌの太鼓カチョの写真と「演奏音源」(約26秒)『日本フレームドラム協会』の「日本のフレームドラムについて」より】
参考:樺太アイヌ民族誌 - 工芸に見る技と匠 -(『doo-bop days』2005年02月19日)

『瞽女と瞽女唄の研究』(名古屋大学出版会, 全2冊)が、3月に出版された。著者は米国出身の山梨大学教授、ジェラルド・グローマー氏。盲目の女旅芸人・瞽女(ごぜ)と瞽女唄を20年間も研究してきたという。全1,756ページ(!)。著者自身がすべて日本語で書いたらしい。価格は31,500円(!)。あまりにも高価なので、瞽女唄のCDが何枚か付いているのかと思いきや、1枚もない模様。

瞽女唄に関心のある者としては、入手したいのはやまやまだが、買えそうにない。敬服に値する労作であるのは間違いないだろう。

2007年03月23日(金)
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