doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 福士りつ / 津軽民謡集


純邦楽/日本のルーツ・ミュージックを無性に聴きたくなったのは、アイヌ文化伝承者の安東ウメ子のCD『ウポポ サンケ』を初めて聴いて間もない頃である。
安東ウメ子とOKIのコラボレーションとも言うべきアイヌのポスト伝統音楽『ウポポ サンケ』は、私に衝撃を与えるとともに、私が今まで聴いてきた音楽は、日本人である私のルーツとは繋がりのない「根なし草」のようなものではないかと強く意識させたものだ。
これをきっかけに、純邦楽とか日本の伝統音楽/ルーツ・ミュージックと呼ばれるような音楽も聴く必要性を痛感した私が真っ先に向かったのは、以前から関心のあった次の2つ、盲目の女旅芸人・瞽女(ごぜ)による瞽女唄と、ボサマ(坊様, 盲目の男性の門付け芸人)のホイト(乞食)芸から出発した津軽三味線の名人・高橋竹山であった。
瞽女唄は、日本人としての私との血の繋がりを感じる初めての音楽かつ日本のカントリー・ブルーズというのが聴いた第一印象だった。一方、高橋竹山については、日本にもかつて世界に誇る演奏家がいたことに驚き、音楽的には全く違うながらジミ・ヘンドリックスを想起してしまったのも事実である。

福士りつのCD『津軽民謡集』が6/23に発売された。これは福士りつ40代半ばの1975年に発売された「歴史的名盤」のCD化らしい。伴奏は、津軽三味線の大御所で、夫の山田千里(2004年4月12日死去, 享年72歳)である。
津軽民謡に関しては、津軽民謡の祖・成田雲竹のCDしか聴いたことがない私だが、誰もが圧倒されるであろう福士りつの熱唱、歌と三味線の緊張関係および絶妙のコンビネーションなど、福士りつのCD『津軽民謡集』には惹かれるものが多い。

福士りつと山田千里は海外進出にも意欲的で、1976年にはハンガリー公演、1985年のドイツ、1988年のブラジルなど、他にもいくつかの海外公演を行っている。
なかでも1985年ドイツの「メールス・ジャズ・フェスティヴァル」での福士りつの歌声は名唱と絶賛され、語り草となっているらしい。山田千里は1982年にニューヨークでジャズ・ドラマーの故エルヴィン・ジョーンズとの共演もあるという。

津軽民謡の第一人者福士りつさん、夫婦の集大成CD発売!(『津軽藩ねぷた村』)

2004年08月10日(火)
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