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2023年11月18日(土)
MANIC STREET PREACHERS / suede DAY 1

MANIC STREET PREACHERS / suede@Zepp Haneda


昨年秋にこの二組の北米ツアーが発表されたとき、日本! 日本来てくれ! と騒いでいたのですが一年経って実現しました。何このカード夢かというツーマン。


マニックスとスウェードといえば粉川さんのこのエピソード。語り継ぎたい。どちらも紆余曲折あれど勤勉、というイメージです。なんたってマニックスは“Libraries Gave Us Power”て唄うバンドだからな! 大好き!

1日目の先攻はマニックス。二番目の柵前あたりにいてどの辺が見やすいかなーと様子を窺ううち、隣の姉さんと話が弾む。ミッチさんとかミッシェルの幕張とかいう話題が普通に通じる(笑)。開演とともにひとが雪崩れ込んで流され、いつの間にか一番前のブロックに。デッカちゃんが多い! 見えねー! どうする! とオロオロしていると、高身長のお兄さんが「俺友達待っててまだ来ないんで先にここ入ってください!」って前の空いてるスペースに入れてくれた。この兄さんも前述の姉さんも初対面。はースタンディング現場でこういうのも久々だったわ…楽しい……。

「日本に来るのはラグビーワールドカップ(RWC)以来だよ〜」とジェイムズ。4年ぶり!

・MANIC STREET PREACHERS THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS' 20th Anniversary Show and More(1日目)
RWCを観に来ていたウェールズ人と一緒に大盛り上がり

・MANIC STREET PREACHERS THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS' 20th Anniversary Show and More(2日目)
ウェールズのラグビースター、ジェイミー・ロバーツがギターで(!)ゲスト参加

・MANICS、Rugby World Cup 2019を行く
ジェイムズがWAL対AUS試合会場のサブトラックでライヴを開催

いやあ、あのときは盛り沢山だった……。RWC2019のキャッチコピーが「4年に一度じゃない。一生に一度だ。- ONCE IN A LIFETIME -」だったんだけど、マニックスの来日公演の歴史から見ても一生に一度ってなお祭りだった。今回のRWCはパリ。こっちの方が彼らの居住地から近いのでウェールズの応援に行っていたのかな。

で、まあ色々と胸がいっぱいなんだが、あの、ショーンがバチカンのエクソシストみたいな風貌になっててえらい貫禄というか迫力のあるルックになりましたね。まずそれにビビった。画像で見てはいたが、実際に見るとお、おう……となりますね。

オールタイムベストではなく、新旧バランスよく組んだセットでした。それであれだけ盛り上がるのはすごいね。濃いファンが多いからか。うれしかったのは一昨年リリースの『The Ultra Vivid Lament』から「Still Snowing in Sapporo」をやったこと! コロナもあってかこのアルバムのツアー来なかったもんね。日本初披露です。ジェイムズの弾き語りコーナーでは『M★A★S★H』の「Suicide Is Painless」が聴けたし感無量です。

で、馴染み深い曲ばっかり、という訳ではなかったのに全体的にずっと盛り上がってた。両バンドともに聴いてるひとが多いってことかな。アナタもワタシも90年代から一緒に生きてきましたってな同志がいっぱいいそうなフロアであった。誰も彼もとハイタッチしたい気分でしたよ。とはいうものの、若い子も結構いて、反応も良かったんだよね……こういうとこ、サブスクやYouTubeでアクセス出来ることの長所だろうなあ。末永く幅広い世代に愛されるといい……。

ジェイムズの息切れMC(ハーハーゼーゼー)が復活してたんだが、まあとにかく火の玉のような唄いっぷり弾きっぷり跳ねっぷりでした。あれよな、対バンってやっぱ燃えるよな……あとワンマンのときより時間が短いので、短距離走のペースでやっちゃうんだと思われる。効率的っていうのもなんだが、歳を重ねるにあたってこういう企画はいいかも。お互いのバンドのファンが新しい扉を開くことにもなるし!(と思ったのは、今回ワタシがsuedeに度肝を抜かれたからです。今かよ!)

と、終始楽しく観ましたが、最後の曲が「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」だったことにはとても強いメッセージを感じて、胸が締め付けられた。素晴らしかった。

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・Setlist┃setlist.fm

01. Motorcycle Emptiness
02. Everything Must Go
03. 1985
04. You Stole the Sun From My Heart
05. Still Snowing in Sapporo
06. Die in the Summertime
07. Walk Me to the Bridge
08. From Despair to Where
09. A Design for Life
10. Suicide Is Painless (Theme From MASH) (Johnny Mandel cover) (Acoustic)
11. Slash 'n' Burn
12. Your Love Alone Is Not Enough
13. Enola/Alone
14. International Blue
15. Stay Beautiful
16. You Love Us
17. If You Tolerate This Your Children Will Be Next

Note: Setlist Quote: "We look at the world once, in childhood. The rest is memory" ~ Louise Gluck

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「あれを見て見ぬふりをするなら、次にああなるのは君んところの子供じゃねーの?」。「If You〜」といい、この日のセットリストのクォート(毎回マニックスはセットリストにニッキーの選んだ詩の引用が記される)といい、彼らは現状を嘆いている。いや、ずっとそうなのだ。「If You〜」が発表されたのは1998年。モチーフは1930年代のスペイン内戦。争いが繰り返されることに彼らは心を痛めている。怒りを感じている。だからこそ、今回のツアーの最後に唄う曲として、この曲を選んだのだろう。

・マニックス、"If You Tolerate This Your Children Will Be Next"を無断で使った極右団体を訴えると主張┃rockinon.com
こういうこともあった。

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後攻suede、こちらは7年ぶりの来日だそうです。出順は事前に発表されていたんだけど、転換中にやる気のひとがめちゃ前方に攻めてきて、スエガチ(そんな言葉あるのか)の強さを感じる。思えば観るの初めてだった、確か。いや〜初生スエの衝撃はすごかった。話には聴いていたがブレット兄さんホント客を休ませない。シンギン! クラップユアハンズ! メイクサムノイズ! と何度いわれたか。上手下手中央をテキパキと見渡し、そこ! サボってない! てな感じで指差すし、松岡修造のようだった。熱い。You & Meもちゃんと君!(フロアを指差す)と僕!(自分を指差す。あるいは自分の胸を叩く)とジェスチャーも熱かった。格好いいとオモロいは紙一重。

初見とはいえアナタもワタシも90sサバイバー故トラッシュとソーヤングメタルミッキービューティフルワンズあたりはサビうたえたな…世代……。サブスクはなかったけどワタシたちにはbeat UKと月イチペースで通っていたDJイヴェントがあった! と叫ぶ。しかし知らない曲もブレット先生の指導のもと唄えましたね…熱血指導……。

それにしてもブレット兄さん、ハンサムが過ぎる。ハンサムだった……動きも歌もすごすぎてもはや笑えるレベルであった。こちらもワンマンより時間短いからこんなパワフルなの? と思ったがワンマンでもこれくらいらしい。ヘロイン漬けでベロベロだった時代もあるそうだけど(というかあの辺り聴いてればガチのファンじゃなくても伝わってくるじゃん)、自力で立ち直ったそうじゃないか。超人。やっぱ勤勉なのよな……節制もハンパないと思う。玄米食だったりするそうなので見習いたい。

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・Setlist┃setlist.fm

01. Turn Off Your Brain and Yell
02. Personality Disorder
03. 15 Again
04. Trash
05. Animal Nitrate
06. Killing of a Flashboy
07. Life Is Golden
08. She Still Leads Me On
09. Can't Get Enough
10. Shadow Self
11. The Wild Ones (Acoustic Solo - Brett Anderson)
12. Everything Will Flow
13. So Young
14. Metal Mickey
15. Beautiful Ones

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ソニーさんなんでスエのセトリは載せないのかと思ってたけど、スエはワーナーだからか。というかソニーさんスエにも配慮しててやさしい(てかワーナー、アカウントあるけどこういうのやらないの?)。ライヴ後にセトリをプレイリストで公開するのすっかり恒例だけど(便利)こっちは一緒に出せるからいいですね

(20231212追記:と思ってたら、今スエって日本のレコード会社との契約がないのね!? ミッチさんのツイートで知った。えーなんでや)

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・マニック・ストリート・プリーチャーズ、1994年に行ったスウェードとの共同ツアーを振り返る┃NME Japan
ジョイントツアーは1994年以来。ていうか帰り話してたんだけどマニックスはスエのドラウナーズをカヴァーしてたことあるけどスエはマニックスのカヴァーやるなら何かな〜て。でも世界観が違いすぎて全く思いつかない……そしてこのツーマンってどういう夢のカードよと今更我に返る。

・The Drowners, Manic Street Preachers 1994

suedeにバーニーがいた頃。そしてマニックスにリッチーがいた頃。リッチーはこのとき既に心身を病んでいて、ライヴには出たり出なかったりだった。4人での最後のツアー。

・スウェードとマニックス (2010/06/10) 児島由紀子の「ロンドン通信」┃rockinon.com
丸くなったね、てかイギリス人のジョークはキツい。ちなみにここにリンクが張ってある、マニックスにバーニーが参加した「某チャリティ・イヴェントにマニックスが出演した時のライヴ」のドラウナーズはこの動画ではないですね。この動画にバーニーいないもんね。ていうかホントwebに残ってない情報は多いね〜としみじみする。

(20240304追記)


・Manic Street Preachers - London Clapham Grand - 02/03/1994


なんと4ヶ月後にこんなツイートが。そしてなんとこの日のライヴが全編YouTubeにアップされていたことを今になって知る。公式が反応してくれなかったら気付かないままだったよ!