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2022年01月07日(金)
高橋徹也 バースデイ・ライブ『25×50』

高橋徹也 バースデイ・ライブ『25×50』@ニュー風知空知


昨年末散髪に行ったらもみあげを失くされたという話から、「(切った方は)最近の若者がやってる、中を刈り上げる……なんていうんだっけ、ああいう感じにしたかったのかも知れませんが」「失くされて、俺のロックはもみあげにあったんだと気付いた」てなことをいっていたのでした。ショックだったようです(笑)。

ギターと歌。剥き身の高橋さんが伝わるといえば良いか、胸をパンと開いたようなライヴでした。ここ迄素直というか率直な話が聴けるとは、というMCもあり。初めて聴いたシェイクスピアのような曲もあり。後述リンクによると「黄金の舞台」というタイトルで、新曲だそう。

じっくり演奏し、じっくり唄う。ギターはエレクトリック2本とアコースティック1本を使い分け、エフェクトも加え彩り豊かな音色。「ライヴが昨日だったら、俺なら行きたくないなーと思う(笑)」なんて仰ってましたが、前日降った雪がまだ残る道をザクザク歩き辿り着いた場所で、暖かいストーブの灯を眺め乍ら極上の音楽を聴けるなんて最高じゃないですか。

そんな箱舟のような場所で話されたのは、メジャーを離れてから試行錯誤が続いたこと、自分は作品を創り演奏したいのか、聴くだけでいいのではないかと考えたこと、実際一年間楽器に触れず、リスニングだけで音楽に接点を持っていたこと、そして再び楽器を持ち、エポックとなったのが『大統領夫人と棺』だったこと。言葉の重みがありました。こんな冬の日、こんな場所だからこと聞けたことだったように思います。

その『大統領夫人〜』辺りからライヴに通い始めた自分としては、歴史を振り返る時間にもなりました。初めて観たライヴはピアノ/カホンとのデュオ。「ブラックバード」と「Ride On Time」のカヴァーに衝撃を受け、再びライヴに足を運ぶと今度は弦楽三重奏との共演。その次はベースとのデュオ。次々と変わる編成、続々と現れる曲の多面性と詩世界にすっかり魅せられ、今に至ります。

メジャー時代に「天狗の鼻がなくなるくらいへし折られた」と笑っていましたが、私はその「天狗」時代を知りません。ただ、高橋さんが当時放っていた異彩は、日本のポップミュージックを聴いていれば自然に耳に入ってくるくらいには強烈でした。だからこそ小林建樹が出演するライヴの共演者に高橋徹也という名前を見たとき「あ、あのひとだ」「ようやく聴く機会が訪れた」と思ったのです。菊地成孔との関わりも含め、時間はかかったけれど辿り着けてよかった。

それにしても「黄金の舞台」、よかったなあ。『マクベス』や『夏の夜の夢』の名台詞のよう。知命を迎えたから、というには安直かも知れないけど、人生の残り時間を見据える年齢になるに辺りこういう歌詞を書き、そして唄うことにしたのかと思うと、25周年と50歳という時間の深さをひしと感じました。これからも聴いていきたい。ますます今後の活動が楽しみです。

「リスニングオンリーの一年間はひたすらBLUE NOTEのレコードを買って聴いていた」とのこと。昨日の今日でBLUE NOTEというキーワード、ちょっとうれしくなったり。

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・セットリストは物語る┃夕暮れ 坂道 島国 惑星地球
01. 夜明けのフリーウェイ
02. 怪物
03. 八月の流線形
04. The Orchestra
05. La Fiesta
06. ドライブ
07. 新しい世界
08. バタフライナイト
09. 黄金の舞台
10. テーマ
11. 世界はまわる
12. 真夜中のドライブイン
13. 夜はやさしく
14. 花火
15. feeling sad
16. 友よ、また会おう
17. いつだってさよなら
EN1. 犬と老人
EN2. My Favourite Girl


高橋さんのツイート拝借。やっぱりいいハコ、螺旋階段から見える風景も、このテラスからの風景も大好き。ニューになってからの風知空知初めて行きました。施設的には変わりなかった感じ。急遽そうなったのかは判らないけど感染対策のため物販等はなく、今年はツアーに出たかったんだけどまだわかりませんねとポツリ。状況が好転しますように