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2014年12月07日(日)
『夕空はれて ―よくかきくうきゃく―』

『夕空はれて ―よくかきくうきゃく―』@青山円形劇場

休憩込みで80分くらいの作品だったんですが、消耗したー。いやはやこれも今年最後に観る作品じゃなくてよかったと思った…や、こういうお芝居大好きなんですけど! 今弱ってるんで! 穏やかに年末を迎えたいんで!

台所用品(スーツケースの中身、ちゃんと泡立て器とかいろいろ入ってて楽しかった)の販売のため街を通りかかったばっかりに…おもろうて やがてかなしき 仲村トオル(字余りそして敬称略)。前日のイキウメと連続で見ると「話が通じない恐怖」「恐怖とは判らないこと」ってとこに通じるものがあっても〜削られた。不条理ものとしてニヤニヤ観ていたのに、だんだん怖くなってくる。サイコホラーだ。そういえば『象』もそうだったなあ、どうあがいても、ひとは死に近付くばかり。

それにしても仲村さん(の役)が不憫で……。舞台における仲村さんの魅力を引き出したのって松尾スズキさんと言うイメージが強いのですが、思えば松尾さんとの舞台仕事は一作品だけなのだった(確か)。いちばん組んでるのは白井さんか? ケラさんとは二作目かな。二枚目の役柄も素敵ですが、こういう周囲に翻弄される役柄にとても愛嬌があるんですよね。その困惑を引き出す犬山さん、山崎さん、マギーさん。言葉の裏の裏をとる、言葉の真意を測る。濃密なやりとりを軽妙に見せる、不毛な対話を聴かせきるその巧さ。そして二幕から登場(贅沢!)の池谷さん、登場からしばらくその声だけ聴かせる演出がにくい。これまた贅沢。

美男美女を至近距離で観られて眼福でもございました。緒川さんとかほおお…と嘆息しそうなくらいの美貌ですね、立ち居振る舞いといい。奥菜さんはケイティ・ジェーン・ガーサイドみたいでちょー素敵でした、白塗り花嫁。

急遽変更になったにも関わらず、この作品のためにキャスティングされたかのような座組になっている。円形の舞台を取り囲む電柱と電線、その暖色の照明。音響といい衣裳(小原敏博さんだったー)といい、粋を尽くしたスタッフワークも素晴らしかったです。ラストシーン、仲村さんの背中を見詰めて暗転。表情は見えない、円形劇場の醍醐味。別役さんの新作も諦めず待っています、元気になってね。

青山円形、観るのは残り一作品(多分)。