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2014年11月23日(日)
『高畠俊太郎 debut 20th anniversary live “'14←'94”』

『高畠俊太郎 debut 20th anniversary live “'14←'94”』@shimokitazawa 440

高畠俊太郎BAND(B:石川具幸、Eg:松平賢一、Drs:松井香趣望)
GUEST:ULTRA POP(Eg:岩崎崇、Drs:片野城、B:石川具幸)
DJ:Naoki Uozumi

15th anniversaryからもう五年かね〜時が経つのは早い。そしてウルトラポップ再結成の告知に気付いたのが二週間前。いや…当日仕事で陸の孤島に詰めっぱなしになるのが判っていたので、行けないかも〜当日券でいいかな…なんて思ってたんですよね……。しかしウルトラポップが出るとなると当日券出ないかもよ? もし行けたときのために前売り買っといた方がいいよ! と慌ててチケットとった。案の定その後前売りは売り切れた。三連休中日と言うこともあり、遠方から来たひとも沢山いたようです。

なんとか仕事を抜けられ間に合いました。十五周年のときは開演時間を間違えると言う大ポカをやらかした(…)ので今回は最初から観られて嬉しい……。開演前ずっとこれ↓+その頃のもろもろ映像が流れていてウケたウケた。



1988年のリハ映像とかもあってこれがもう…俊太郎十代! 若いってか顔が子供! か〜わ〜い〜い〜(笑)。いやーしかしこのひと若いよねー今も。歳上とは思えないわ……。いっつも思うがいっつも瑞々しいなー、このひとは。曲も声も本人も。

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・高畠俊太郎BANDセットリスト(12
01. Time
02. into the sleeping side
03. I just think
04. 花
05. silent
06. beautiful days
07. pev
08. seeing
09. Luky one
10. hum as you go
11. summer rider
12. C-C-C
(俊太郎はVo、04.〜06.Ag、07.はPf、あとはEg)

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出てきた俊太郎はやっぱり瑞々しくて、終始笑ってて、テンパってた。二曲目にしてカポ忘れた! ちょっと待ってて! と楽屋に駆けていき、なかったどうしよう! あれ? あれ? って戻ってきてピアノの上に置いてあったのに気付いて、自分で自分に爆笑してた。その間ずっとアドリブで演奏してたメンバーもニコニコしてた。

バンドを続けていくことはとても難しい。人間関係、メンバーそれぞれの生活や体調の変化。永遠に皆が同じものを目指し、同じ方向を見続けることは出来ない。自分の力だけではどうにもならないのがバンドだ。とても面倒でやっかいなことでもある。俊太郎はソロアルバムもリリースしているし、オールラウンダーなプレイヤーなので、ひとりで出来ないと言うことはない。それでもバンドに拘っている。ソロで活動を始めたのはやむを得ずと言う状況からで、かなり葛藤があったようだった。ウルトラポップのことを、何度も「先輩後輩で結成したバンドだし」「幼なじみから始まったものなので」「体験していることや見ているものが同じなので、笑いのツボも同じ。言葉に出来ない部分の感じ方が同じ」と言っていた。「青春だから」とも。

俊太郎に二十年前何してた? と訊かれた松井さんは、小学一年生でランドセルしょってました。と応えた。そこから二十年にもいろいろあったよね、僕の二十年にもいろいろあった、憶えていることだけでもホントにいろいろあったんで、憶えてないことも入れたらそれはもう。今日来てくれた皆にも、それぞれの二十年があったよね、それを振り返って、いろいろ考えて、今日は楽しんで帰ってください、と俊太郎は言った。

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・ULTRA POPセットリスト
01. ドーパミンの海
02. マリコ
03. メリーゴーランド
04. 退屈と毎日
05. Yellow Body
encore
06. 星ニモ負ケズ
(俊太郎はVo、05.Voのみ(ハンドマイク)、06.Ag、あとはEg)

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「どうせだから思い切りサイケなやつばっかやろうと思って」「二十年前にこんなんやってたら売れないよね〜」「明らかに変わったのが『メリーゴーランド』。もう全然違うでしょ? 何?! 何かあった?! って思うでしょ?」。話す度俊太郎は爆笑していた。メンバーも笑ってた。しかしその「売れない」音楽は、ある種のひとたちにはとてつもない衝撃を与えたのだ。二十年経ってもその衝撃は変わらないし、二十年経った今もその普遍性に驚く。フィードバックの轟音、空間を切り裂くようなカッティング、極彩色が見えるようなリフの絡み合い。バンドにおけるギターの魅力が詰まっている。自分のなかでギターバンド、と言えばやはり今でもウルトラポップとポインターだ。そこに唯一無二のあのヴォーカルがのっかる訳で、いくら本人たちが「大好きな音楽を完コピした」と言っていても、他にはない音とバンドなのだ。そしてそこからオートパイロットの、独自な音作りへとまた進化していった。

当時よりメンバーのたたずまいは柔らかくなった。しかしどんなに笑顔でいても、その演奏には、声には、歌詞には、うっかり触れると指を喰いちぎられそうな殺気がある。それなのにひとなつっこさもある。こんなバンド、他にはいない。今でもいない。

「今日はやること沢山あって大変で。でも始まってみればあっと言う間だね」「ホントはここで引っ込んで、これをアンコールでやるつもりだったの。でも引っ込まなくていいかーって。もう続けてやります!」と「Yellow Body」。インディー時代の初期曲で、「何?! 何かあった?!」の前だ。この屈託のなさ、ニヒルでシニカルな歌詞。同じバンドとは思えない? でも、その両極端を持っているのがこのバンド。ギターを置いて、ハンドマイクで、当時よく着ていたのと似た(まさか同じものでは…ないよな……いやでも体型変わってないしなー)青いシャツ姿で。「リハから唄いっぱなしで、もう喉が…声が出なくてごめんね」なんて言っていたけど、どの口が言うか。真っ青な空をスカーンと抜けていくような声で俊太郎は唄いきった。実質二度目のアンコール、再び「ホント声がもうガラガラ、ごめん」と言って「星ニモ負ケズ」。ハスキーな声でも、それは空へとまっすぐに飛んでいった。

終演後、フロアには沢山の笑顔があった。久々に再会したらしい友人たちや先輩後輩。「来てよかった」「またあるといいね」の声。この歳になると有事や不幸で集まることが増える。入院とか、葬式とか。ライヴで集まることが出来る、ライヴで久し振りに会うことが出来る。なんて嬉しいことだろう。そう、この歳になると「いろいろある」。それでも彼の作る歌と、彼の唄声はいつでも瑞々しい。「ウルトラポップは二十五周年、三十周年とまた集まりたい。そのためにまたこれからがんばります」とのこと。私も日々をしっかり暮らそう。

短い人生、聴ける音楽には限りがある。そのなかに俊太郎の音楽があってよかった。長生きはするもんだ(矛盾)! 仕事の疲れもありふらふらだったけど、なんとなくシモキタを散歩してから帰りました。この街で鳴り続けている音楽に会えてよかった。そして今、聴くことが出来てよかった。

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・MASS: 高畠俊太郎 20周年記念インタビュー 前編
・MASS: 高畠俊太郎 20周年記念インタビュー 後編
ウルトラポップ解散の真相とかさらっと喋ってらっしゃいます。初めて知った話もいくつか。バンドに拘る理由も。「どんな人と一緒に音楽を鳴らすか、それが大きな意味を持っている」。
そしてやっぱり上田現のことは欠かせない。長く短い、二十年

・MCで言及されてたけど今回カメラが結構入ってた。今後記事になるのを期待