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2013年11月23日(土)
『シダの群れ 第三弾 港の女歌手編』

『シダの群れ 第三弾 港の女歌手編』@シアターコクーン

AFP二日目の前にこちらを先に書く。

岩松了任侠シリーズ第三作。第一、二作はこちら↓
・『シダの群れ』
・『シダの群れ 純情巡礼編』

芝居ものの落とし穴。間を空いたシリーズものは、前の話を忘れている…(ガクリ)。単体で観ても面白いのだけど、会話に名前が出てきてなおかつ今回の舞台には登場しない人物のことが気になって仕方がない!あああのひとは確か死んだよなあ、あのひとは今塀の中…ん?もう出所したんだっけ?今って第一話目から何年くらい経ってるんだっけ?と頭ぐるぐるで観ました(とほほ)。有料パンフには相関図が載っていたそうですが、配布用にもあるとよかったかもな〜と甘えたことを考えてしまいました。配役表はロビーに置いてありましたが、折り込みはされていなかったので気付かないまま帰ったひともいるかも。

しーかーしー一話目でよく吠えるちんぴらだった森本(阿部サダヲ)に、得体の知れない凄みが増していてえらい怖かった!格好よかった!もうあの頃には戻れないんだぜってな哀愁が漂っててせつなかった!このシリーズ、客出し曲が毎回トーキングヘッズの「サイコキラー」なんですが、その真意にじわじわ迫ってきているような気がしてきましたよ…訳詞はwebでも探せますんで気になる方は検索してみてください。いんやそれにしても。二話目には阿部さん出ていないのですが、この一話空けたってのがすごい効果的だったようにも思います。森本にも、阿部さん自身にもこの三年間いろいろあったのだろうなあと思わせられる厚みと年輪が……!森本あんなにかわいかったのに!ん?そりゃ阿部さんのことか?なんて混乱してしまうような危うさすら生まれていました。

岩松さんの意向としては、いちチンピラが組長に成り上がる迄を書きたいとのことなので続いてほしいなー。前の話で出てきた人物は同じ役者が演じているので、キャストも変更なしで続くといいなー。組長になった阿部さんがどんなものを見せてくれるのか…その頃に阿部さんは何歳になっているのか……そういう意味でも楽しみなのです。

そしてあたりまえと言えばあたりまえなのだが、死んじゃった役のひとはもう出ないのよね…さびしいわ。しかし第一、二作ではほんとに死んだんだっけ?ってなぼかし方もあったので、これからまた「実は生きていて…」と出てくる可能性もあるか。そこらへんシリーズものならではでもある。

見えない部分で起こる出来事、階段、液体と言った岩松節も堪能。主語述語のない会話の、空白部分を想像する楽しさと怖さもあります。友達の定義についての会話がすごくよかった…ジーンときた……その後にあんなことになるってとこも容赦がなくてよい。岩松さん怖い。あと女性の見せ方がいつもエロくていい!即物的じゃない、匂い立つような妖気がいい!キョンキョンは身長のこともあるのかも知れないが10cmくらいはありそうなピンヒールで(あれルブタンだよね)、立ち姿がキマることと言ったらなかった。伊賀大介による衣裳もすってきだったわー。最後のヴァイオレットのドレスとか、見とれてポワーとかなってしまいましたよ。あれはふふってひとに見せたくなるよね、あのシーンのジーナ、ちょっとこどもみたいなかわいさあったもんね…なのに結城はさー!こういうとこの男女のすれちがいってさー!せつないわー!

市川さんもかなり高いヒールで、脚のラインのエロ美しさがもうたまりませんでした。今のところだいたいの役が二作で退場しているんだけど、彼女は阿部さん同様二作完投しているなあ。今後登場することもありそう。

と言えば、赤堀さんの役が…いや、ごめん、下っ端のちんぴらみたいな役なんだろうなと思っていたので、そうじゃなくて嬉しかったです…だよねえ、年齢からして下っ端ってことはないわね……なんか今年は作家としても役者としても、いろんな赤堀さんが舞台で観られていい一年でした。ほろり。

エミ・エレオノーラ(pf)、佐藤正治(dr)、横山英規(b)、平田直樹(tp)、ロベルト小山(sax)から成るハウスハンドの生演奏もちょう格好よかったです。