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2013年01月15日(火)
『鈴木勝秀(suzukatz.)-130115/セルロイドレストラン』

『鈴木勝秀(suzukatz.)-130115/セルロイドレストラン』@SARAVAH Tokyo

これ↑はどこからどこ迄がタイトルなの…まあ自分のはんこ捺すの好きな方ですから全部込みですかね……。

配役はヤマダマナブ=伊藤ヨタロウ、ヤマダキョーコ=千葉雅子、カワシマキヨシ=中村まこと、スガノシューイチ=永島克。テキストはこちらからダウンロード出来ます

1996年に上演された舞台の出演者は6人(古田新太、渡辺真起子、佐藤誓、大石継太、藤本浩二、田中哲司)。この辺りどうするのかなーと思いつつ、テキストを読まずに観に行くことにしました。自分の記憶力の検証もしたく。スズカツさん史上随一男女がいちゃいちゃする作品だったと記憶しております…いやあ、愛に溢れた舞台だったよね……。で、出演者が発表された時点で自分はマナブ=まことさん、キョーコ=千葉さんと思い込んでいたのでちょー喜んだのだった。キャーラブいまことさんと千葉さんよ!どうしましょうこっちが照れちゃう!なんてなー。その後マナブはヨタロウさんだと判明しちょっとしょんぼりしたのだった。いやヨタロウさんが嫌な訳ではありません、昔の仕事をやろうぜ〜と誘うわるいともだち(笑)キヨシがヨタロウさんにピッタリ!と思ってた訳でもありません。そんなこんなでえーどうなるの?と大雪の翌日つるつる滑る坂を下ってサラヴァへ。

今回のリーディングは、出演者4人用に編集されていました。マナブとキョーコの経営するレストランに集い、常連客たちが呑みつつとりとめのない話をするシーンがまるっとなくなり、キヨシとシューイチのやりとりにまとめられていました。このシーン、舞台版ではセッション的に作っていった部分なのかも知れませんね。

スズカツさんご本人がコメントされている通り、意識的に“編集された演劇”として構成されているのは舞台版と同じ。ほぼ一場ではありますが、時間がジャンプし、突然会話の流れを分断する台詞が飛び出すので気が抜けません。何度か同じ台詞が時間を置いて語られますが、一度目と二度目ではその言葉のニュアンスが違って伝わる。登場人物の心情が明らかになるにつれ、意味を計りかねていた言葉にぱっと光が差し、見えてくるものがある。今回その“ジャンプ”のきっかけを照明が出しており、登場人物の過去が文字通りフラッシュバックしたかのような表現になっていました。フロア全体が白くなるくらいの強い光。

そしてリーディングの場合、基本的に出演者がその場を離れると言うことがあまりないので、場面転換後台詞を発していない人物が果たして実際そこにいるのか、と言う判断が必要になる。今回それがいい具合に機能していました。台詞を発して初めて「あ、このひとこの場に最初からいたんだ」と気付く人物が、黙っている間何をしていたかを終演後テキストで確認する面白さもありました。興味深かったのは千葉さんのみ「視線を合わせない」と言うルールから自由だった(ように見えた)こと。キョーコ=ミューズの立ち位置としても興味深かったです。

ラストシーンの印象がかなり違いました。銃声と言う効果音は、シューイチが店に入って来る、上着の内側に手を入れる(舞台版はここで暗転し、音楽が大きく流れる)と言う視覚から知る動作を一歩前に進めていた。上着の内側にあるのは銃なのだろう、と予想はしても、その後のシューイチの行動を見せずに舞台は終わるので、ひょっとしたら…と言うちいさな望みを持つことが出来る。銃声はその望みを無にする分、絶望感がより強く残る。音響オペはスズカツさん自ら務めておりました。今回席の右斜め後ろにあったスピーカーがすごく近く、他のスピーカーからの音を全く拾えなかったのですごい不思議なバランスで、音が妙にうねうねして聴こえたのが面白かった。

以下おぼえがきと言うか自分用メモ。話がどんどん逸れますので読んでくださる方がいたら、まあ、お気軽に。

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・あのいちゃいちゃはやはり古田力であった(笑)いやリーディングでスキンシップは出来ませんから了解してますから
・しかし言葉で交わされる誓いであったり、祈りであったり、呪いであったりはやはり強く恐ろしく、痛切なものだったなー
・あとスズカツさんの構成もので際立つ「翻訳調」も言葉そのものをより強固なものにしている感じがしました

・ジュリアン・レノンのことを考えちゃうよ
・と言えば舞台上演当時開催されたトークイヴェントで、やっぱりジョンとヨーコの話になったんだけど、その際トーク出演者の横川理彦さんがヨーコ、マドンナ、ビョークってどう?みたいな話を観客に振って挙手を求めたんですよ。そしたらマドンナとビョークは比較的好き嫌いはっきり分かれたんだけど、ヨーコに関してはよく知らない、興味ないってひとが多くてスズカツさんがショック受けてたのを思い出した(笑)
・まあ世代もあるでしょう……

・個人的にはカートとコートニーのことを思い出すわー
・サイバラと鴨ちゃんのことも思い出しちゃったよ……

・ついでに言うと『ザ・タウン』のダグとジェムのことも思い出しちゃったわー(泣)
・過去を清算出来るかって話。なかったことには出来ないって話。相手の傷は絶対に癒えることはなく、罪も消えないって話
・「代償を払わなければならない。道は長い。でも、また会おう、ここか、あちら側で」

・ヨタロウさんが女性に優しい(役な)のが気味悪い、とサさんが言った(笑)私が言ったんじゃないから!
・しかしDV歴あるって役だからね…ははは……(ヨタロウさんがDVだと言う意味では決してないですよ!)
・マナブの年齢設定は35歳なんだけど、そっからすると不思議な感じはしつつ、しかし若い頃無茶やったひとは見掛けおじいちゃんになってたりもするわね…と思ったり
・そうそうこの辺り、古田さんだとまた何かきっかけあったら戻っちゃうんじゃない?って不安定な危うさがあったな。で、戻ったら戻ったでデキそうな感じ。ヨタロウさんの場合、もう戻らないだろうな、仮に戻っても身体がついていかないだろうなと言う感じ
・ヨタロウさんがおじいちゃんだと言いたい訳ではない…あのー体力と気力に対して時間は絶対的なものですよと言いたい……

・DVとか、スピリチュアルとか、ホモソーシャルとか、今はあてはめられる言葉があるもんですね。良い悪いは別として
・名前があると便利だけどそこで零れ落ちるものもあるなあと思ったり
・と言えば「女の電話番号がぎっしり書き込まれてる手帳」って今はレトロな響きを持ちますね。キヨシ意外とマメ(笑)
・そして終演後ポケベルの話などをする

・極端な話キョーコとキヨシでマナブをとりあう図式なとこがいろいろせつない
・千葉さんとまことさんのやりとりの緊迫感と言ったら!
・でもキヨシ、マナブは戻って来ないってちゃんと判ってるよね…それがまたせつない

・書くひととして、千葉さんはこのテキストをどう思ったのかなー
・雅子素敵だよ雅子
・靴はルブタンかしら?とMIOさんが。雅子素敵だよ雅子
・それにしても千葉さんの語る「そこから進んで楽観的になり、人生に耐えていける」台詞はきた。危うく落涙するところだった
・これはあく迄見た目の話ですが、千葉さんの唇ヨーコに似てた

・まことさんが悪くてたいへん(役が)
・まことさんが小物でたいへん(役が)
・それにしても声がよくてたいへん
・前回の『HYMNS』同様上下黒装で格好よくてたいへん
・指が乾燥して台本の頁をめくりづらかったのか、椅子の後ろに紙おしぼりを忍ばせていたのになごんだ
・でもそのおしぼりも乾燥しちゃったのか最後は指嘗めて頁めくってた。おっさん!(笑)素敵です

・ロシアかぶれ中なのでロシアンマフィアとか言われたら
・最近話題になったこれも思い出してなあ
・ニヤニヤしてブルブルした…拷問だった…地獄だった……
・最近はEテレのロシア語講座とか迄見てますよ。言葉はともかくロシアの文化紹介が楽しいの
・そしてロシアと言えばプーチンが秋田に贈ったシベリアねこ。秋田知事がめろめろです。はやく見たい!

・そういえば舞台版って物販Tシャツあったんだよね。今でも持ってる。部屋着で相当着たんだけど肌触りいいままでプリントもかすれたりしてないしいいものでしたわ

・キヨシの苗字、カワシマだったなあ。ちょっとドキリ。この日は川島さんの手術日。当日朝迄ツイートしていた。意識は戻っただろうか、これから加療、リハビリの日々だ。ひたすら吉報を待っている