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2012年08月11日(土)
『佐渡×シエナ』『To Milkyway Planet』

『佐渡×シエナ』@文京シビックホール 大ホール

佐渡裕さん指揮によるシエナ・ウインド・オーケストラ定期演奏会、今回のテーマは「花」とのことで、入場時花の種を頂きました。私がもらったのは金魚草だったけど皆そうだったのかなー。

序曲『バラの謝肉祭』(J. オリヴァドゥティ)、『リンカーンシャーの花束』(P. グレインジャー)、「音楽のおもちゃ箱」、休憩をはさんで『さくらのうた』(福田洋介/本年度吹奏楽コンクール課題曲)、歌劇『ばらの騎士』組曲(R. シュトラウス)。

いちばん印象に残ったのは『リンカーンシャーの花束』。むっちゃ面白かった!6つの小曲から成り、そのひとつひとつの曲がこれまたユニーク。ちょっと一聴しただけじゃなんとも説明し難い…それぞれの曲調から音階から拍子から不思議な成り立ちだし、それらが曲間もそんなに置かずどんどん演奏されていくので「えっえっどうなってんの?」と思ってる間に終わってしまった……しかしとても人なつこいポップさなのです。うわーまた聴きたい!なんでもイングランド東部リンカーンシャー州の民謡を吹奏楽曲に構成したもの、とのことで、しかも解説によるとこのグレインジャーと言う作曲家は相当な変人だった様子…理論とかが通用し無さげな、天才がそのままの感性で書いたかのような印象でした。民謡によるこぶしやなまり、律動のパターンを全てそのまま楽器に置き換えた、と言う感じ。

絶対音感含めこれらは非常に肉体に沿ったもので、要は能楽や狂言、歌舞伎等の伝統芸能の節回しを楽譜に起こし、管楽器で演奏するようなものですね。伝統芸能の場合はこどもの頃から師匠に台詞や謡をそのピッチやリズム込みで徹底的に身体に叩き込んでいく作業を経て体得していく部分も多いところ、これはそれらある種の“クセ”を、制限のある音階で全て再現する訳で、そりゃむしろ譜面を見て憶えて演奏する方が難しかろうと言う…しかしそこはプロ集団、なんなくこなしているように聴こえてしまう。いやはやすごかった。譜面通りと言ってもそこにはプレイヤーの息遣い、コンダクターのグルーヴを介す訳ですからこれはバンドによって違う印象になりそうだなあ、他の演奏も聴いてみたくなりました。

「音楽のおもちゃ箱」は佐渡さん曰く「ここは僕の好きなもんばっかやるんで」ってことでまずは「サンダーバードのテーマ」。タイトルコール後「Five!」とカウントダウンを自らオフマイクで入れ、「Zero!」とともにあの聞き慣れたテーマに滑り込んだときの格好よさと言ったら。もー鳥肌たちました。ブラスアレンジのこれが格好よくない筈がなかろうもーん!その後サンダーバードのフィギュアやプラモが好きで集めててー、快獣ブースカも好きでー。てな和むお話に続き来ました「タルカス」!このコーナー、事前に演奏曲目が発表されないのですが、「タルカス」に限っては前日シエナのtwitterその他で発表されていました。これは二月公演の反響が結構あったのではないかな…いやーこれ二月のとこにも書いてますがホント格好いいのよ、吹奏楽版!今回はノンストップで十数分間に抜粋構成されたものでしたがエッセンス濃縮!と言う感じでこれまたシビレた。二月の演奏はCDリリースされていたので会場で早速購入。当日ロビーで聴く羽目になった(…)『二つの交響的断章』も収録されてて嬉しい。

ところで半年振りに見た佐渡さん、激ヤセしてて驚愕した。途中ご本人が「痩せたしね…」と言ったとき会場がざわざわ…となったので皆気になっていたと思われる。と言うか最初出てきたときにもちょっとざわっとなったもの。心配になって帰宅後検索してしてみたら「ダイエット」とのことでホッとしましたが、それにしてもな痩せっぷりでした。スーツとかぶかぶかになってたよ。松重さんが激ヤセしたときのこと思い出したわー、長身でガッチリしたひとが急に痩せるとホントビビる…お元気でいてくださいよ……。

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『To Milkyway Planet for faraway girl EP release DE DE MOUSE in Planetarium』@北とぴあ プラネタリウム

シエナ終演後後楽園から王子へ移動、本日南北線の旅でした。偶然とは言えいいコース組めた、丁度開場直前。

暑さでぐってりだったので、プラネタリウムを見乍らデデくんの音楽を聴くとなれば気持ちよ過ぎて寝てしまうのではないかと言う懸念もありましたが、終始目も耳も頭もクリアでした。星のプログラムは会場によって違ったのかな?その施設にあるものを一時間に編集したのではないかと思われます。なので従来だと星座表や数値のアナウンスが入るのであろう線画や座標軸が映し出されても、それに関する説明はありません。聴こえてくるのはデデくんの奏でる音だけ。そこにはシンセの音だけでなく自然物の音がチョップ&エディットされ、夏の夜の暗闇が瞼の裏に入り込む。目に映るのはその暗闇と、プラネタリウムから放たれた星たち。

真っ暗で、でも明るい。星の光と、それを反射する水面や地面、草原が灯りとなって、歩いていくことが出来る。そこには目に見えるものと、見えないものと、かつていたもの、今はどこかへ行ってしまったものがある。集中して観て聴いているのに、頭のなかにはめまぐるしくいろんなことが浮かぶ。それは郷愁であったり、個人への思いであったり。それらは季節の思い出とともに、置いていかなければならないものであったりする。

ここ数年でアベくんやハラカミくんが夏にいなくなってしまったことや、先日の松永さんのことを思い出したりもする。そして個人的にも、夏には別れが多いな、とふと思う。あたりまえだが「次の夏」は「今の夏」とは違って、どの夏もが「前の夏」になっていくのだ。あー、何故か「ENDLESS SUMMER NUDE」聴きたくなった。

投影機が回転すると、天空から退場した星が客席に落ちてくる。自分のところにも星が降ってきた、嬉しかった。

七月スタートのツアーだったこともあり、七夕にちなんでロビーには短冊を飾れるようになっていました。受付嬢は浴衣姿だったし、手づくりのあたたかさもある素敵なイヴェント。それとは裏腹に、デデくんのMCがドクトク毒々くんで面白かった…イイネ!ちなみに帰宅後前述の『タルカス』CD開けてみたらavexからのリリースでウケた(笑)。あとこの施設の職員さんなんだろうなと思われる方と、マネジャーさんの前説が面白かったです。

・セットリストはこちら

・BGMリストはこちら(これがまたよかった。なつやすみの風景)