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2010年09月24日(金)
シエナ・ウインド・オーケストラ 第33回定期演奏会

シエナ・ウインド・オーケストラ 第33回定期演奏会@東京芸術劇場 大ホール

『華麗なる舞曲』『吹奏楽のための第2組曲』『音楽のおもちゃ箱〜佐渡裕のトークと音楽〜』『リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲』『交響詩 ローマの祭り』、アンコールに「アフリカン・シンフォニー」「星条旗よ永遠なれ」。指揮は佐渡裕。

思えばプロの吹奏楽を聴くのは初めてでした。ああ、プロってこういうことなんだ……。

パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団来日公演のフライヤーにも書かれていましたが、“管弦楽の代替物”と思われることも多い吹奏楽。しかし水準が高いとこうも響きが違うんですね。吹奏楽は独立した音楽芸術なのだ。なんかもうすごいショック。

今迄聴いていた『ローマの祭り』とか、なんだったんだろうかってくらいぜんっぜん違った。吹奏楽コンクールの自由曲でやたらとりあげられるローマ三部作ですが、自由曲なのにこれだけ複数の学校が演奏したら、審査的には差が明確に見えるからいいかもしれないけど、演奏する側としてはどうなんだろう?そんなんでいいのかな?なんて思うことも多かったのです。しかし今回プロが、フル編成で演奏した『ローマの祭り』を聴いて、ああそんなことじゃないんだと思った。曲自体がいいから演奏したいんだなーと…それだけ魅力的な曲なんだ。演奏しがいがあるとも言えるけど、吹奏楽の魅力が詰まっている曲なんだ。それに気付かされた。

アマチュアと言うか、部活には制約がある。予算の都合上楽器が揃わない、演奏者のスキルも未熟。その中でやれるベストな状況を引き出すのが顧問の先生。スコアをアレンジして、編成や構成を変える。ウチの学校もオーボエやファゴットなかったからいろいろやりくりしたなあ。ティンパニも手動チューニングで4台しかなかったから音を間引きしたり(苦笑)。そうなって出来上がった曲はいびつなものだけど愛おしくもあって、記憶にもしっかり残ってる。

でも、レスピーギの頭の中で鳴っていたのは、それをスコアに起こしたのはこの音、この響きなんだ。プロフェッショナルが最高の水準で演奏して、パーカッションは10人いて、ピアノもパイプオルガンも入ったこれなんだー!聴けてよかったよ……。

あとすごかったのは『華麗なる舞曲』。これいやがらせとしか思えない(笑)スコアで、息継ぎの箇所がないよ!あと音域広過ぎ!それをあたりまえのように…吹きよるよ……(しろめ)。てか息継ぎどこでしてんの。それこそアマチュア楽団だと、1stと2ndで手分けしてこっそり交互に吹いたりするそうなんだけど、なんなく(に見えた)吹いてたよ!か、かんどうした……。

『音楽のおもちゃ箱』では佐渡さんが吹奏楽に親しみやすいトークと、ポピュラーな曲を数曲。「マンボ No.5」とか「翼をください」とか。で、「『ローマの祭り』でパーカッション10人いるので皆つれてツアーまわってる、曲によっては暇なひともいるのでここで演奏します」なんて言ってパーカッションのメンバーが素手でリズム演奏とか。楽しいー。そのほんわかさ加減と演奏の厳しさのギャップがすごすぎました。アンコールの「アフリカン・シンフォニー」も迫力!あんな速いの初めて聴いた(笑)。

そして「じゃあ最後にスーザのマーチやるよ、楽器持ってるひとは来て!」ええ?恒例らしいです。そういえば楽器持った制服の子が沢山いたな…部活帰りかと思っていたけど……笑顔で楽器を取り出してきぱき組み立て走っていく。みるみるステージがいっぱいに。「場所によっては客席の方が人数少なくなったりする(笑)これのために60歳超えてから楽器始めたひともいるそうです。嬉しいことですね」だって。

年齢も所属もバラバラ。個人持ちのユーフォニウムを抱えたひとも、たまごマラカス持ったひとも。指揮者はちっちゃな小学生も含め8人いました(笑)。なのにすごくまとまった、立派な「星条旗よ永遠なれ」でした。楽譜って素晴らしい発明だなあなんてここでちょっと感動したりした。楽譜を手にして、ひとりで家で練習して出かけていけば、初対面のひとと合奏出来るんだ。それが曲として完成するんだ。

うわーなんかすごくよかったよ…また観に行きたい!