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| 2010年05月21日(金) ■ |
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| 『BULLET BALLET/バレット・バレエ』PREMIERE VERSION |
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『BULLET BALLET/バレット・バレエ』PREMIERE VERSION@cinema rosa 2
塚本監督の作品は、出来上がったらまず海外の映画祭に出品して、そこでの反応を見乍ら一般公開迄に手を入れていくパターンが常なのですが、この度その海外上映版が日本でも観られる機会が設けられました。しかも、上映館のシネマロサがあるのは、この映画のロケ地だった(乱闘シーン等)池袋!
・『BULLET BALLET/バレット・バレエ』PREMIERE VERSIONについて
11分長いもの。塚本さんはカットマスターで、短く、ソリッドに作品を仕上げます。苦労して撮って思い入れがあるシーンでも、全体の流れに沿わないとなるとばんばん切る。しかし今回機会があって見直したところ、長いのもいいんじゃね?と思ったそうで(笑)公開してみようと言うことになった、と。上映用のフィルムは今回かかる一本しか現存しないそうです。
長いヴァージョンと言っても98分。冗長な感じは全くしないものでした。増えていたり長くなっていたところは、
・なめんじゃねえぞってバスルームで泣くところ ・クラブのシーン ・発砲→爆発→戦争のシークエンス ・銃密造についてのチャット部分 ・ヤクザ(井筒さん・笑)が殺されるシークエンス ・その後合田が同じ現場で銃を探しているところを中国人マフィアに見付かって、追い返されるシーン ・合田が千里を探すシーン ・合田、警官、後藤の追いかけっこ ・千里が合田の部屋で遊ぶシーン
この辺りかなー。まるっと足されたシーンは少なく、各シーンがちょっとずつ長くなっていた感じでした。その分合田の心の動きが解りやすくなっていた。おえーんまた観たいー。一週間だけの上映じゃ勿体ない。
千里が合田の部屋で遊ぶシーン大好きー。あの部屋、巣みたいなんだよね。
発砲→爆発→戦争のシークエンスはプログレスヴァージョンでも衝撃的で、音と画面のシンクロの迫力は瞬きするのも惜しかったところ。ここが今回強調されていたのも、合田の銃への執着、妄執に繋がりやすくなっている。多分この時点で、合田は実際に銃を手に入れても、そしてその銃を撃っても生きていることの実感を取り戻せないことに気付いている。それは後藤に銃を向けられた時にも変わらないが、工藤と対峙することによって目覚めさせられる。あるいは、千里とアジトへ向かう道行で。
いやーそれにしても、何度観ても工藤=井川比佐志さんが格好いい。序盤のニコニコしたおじさんの本当の顔はこれだった。いや、ニコニコも本当の顔なんだろうな。ああしてしか生きる道がなかった時代、それを経ての今の穏やかな生活。しかし、元の道にはいつでも戻れる。最後は銃でなく、素手で千里と後藤を痛めつけたことも印象深い。結局あの世にもこの世にも、持っていけるのは自分の身体だけ。
前にも書いた憶えあるけど、これ「おっさんが少女とこういうふうになりたーいって妄想を撮ったようなもんじゃん!」と言われてしょんぼりしたことがあったんだけど(自分が撮った訳でもないのに(笑))、観直す度に思いますよ、「いや、その妄想は観る価値があるね!」塚本監督の作品って、どれもが塚本監督の妄想で、その画面、その音をこうやって見せてもらえることはとても嬉しい。
と言う訳で、『鉄男TBM』前に過去作品をスクリーンで観直すことが出来てよかった。いよいよ明日は初日です。
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