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2009年12月04日(金)
菊地成孔コンサート 2009 第一夜

菊地成孔コンサート 2009『第一夜 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール』@オーチャードホール

オーチャードホールとの3年契約の最終年、第一夜はペペ・トルメント・アスカラール。

最後だから好き勝手やらしてもらうわいと思ったのか、ホールの特性を掴んだか、まず音がデカいのに驚いた。先月末のトークイヴェントでも、参加者から「音は大きくならないか。クラシックホールではアンプリファイに限界があるか」と言う声が出ていて、対して菊地さんが「その通り。パーカッションとハープが同居するバンドなのでバランスが難しい。マイクを使ったり工夫しているのですが…大儀見、田中(Perc)と堀米さん(Hp)を遠ざけて、その間に鳥越くん(B)を配置しているのは、文字通り避難しているんです。ハープの生音が大儀見(の音)とぶつかったらひとたまりもない」と答えていたので、それも尤もな話だなと思っていたのだが。

今回コントラバスの背後にはアンプがあった。マイクも集音用+楽器装着用。しかしハープもすごくよく聴こえたなあ。ハープにアンプを使っていたんだろうか?ちょっとここ、どうやったのか種明かししてほしい(笑)。PTAは来年からクラブでのライヴも積極的に展開していくそうなので、それに向けて試行錯誤しているようです。個人的には運悪く、PTAのクラブライヴは悉く逃しているので(チケットとってるのにな…)来年2月のリキッドは何がなんでも行きたいものです。

音のデカさは、二部「キリング・タイム」〜「キャバレー・タンガフリーク」〜「ルペ・ベレスの葬儀」のハイライトに活きた。特にマサカーの「キリング・タイム」(これ原曲知ってると化けっぷりに腰が抜けるで)。ここで緊張感が解けると同時に肉体も開放的になった。こういう時はクラシックホールで座って聴くのが拷問にも思える。そういえば菊地さんの声もかつてない程よく出てなかったか。「嵐が丘」のスキャットはバリバリに響いてました。NKDSがよりどジャズに驀進している印象がある最近、PTAは混沌が魅力になっているような気もする。菊地さんもサックス、指揮、歌、踊りと忙しいもんね。各ソロを好きに走らせて、アタックやループ等キメの部分で一気に収束させる菊地さんの統率力が鮮やか。DCPRGの発展型を見るようでもある。毎回スリリングでエキサイティングです。どこ迄化けるのか。

本人もPTAでは恐らく初めてと言っていたが、冒頭演奏の前にMCをした。「この夏に次々と亡くなった偉大なダンサーたち ―マイケル・ジャクソン、ピナ・バウシュ、マース・カニングハムに捧げます」。最新作『New York Hell Sonic Ballet』のライナーにもあった言葉だ。演奏は鎮魂に始まり、地上に残る者たちの狂騒とダンス、暴力的な迄の躍動を通過し、温かい抱擁で終わった。

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セットリスト

第一部
1. 即興〜はなればなれに
2. 即興〜映画『アルファビル』〜悲しきワルツ
3. 組曲『キャバレー・タンガフリーク』〜1)孔雀
4. 京マチコの夜
5. 映画『バターフィールド8』〜バターフィールド8のテーマ
6. メウ・アミーゴ・トム・ジョビン
7. 大天使のように

第二部
1. 即興〜プラザ・レアル
2. 即興〜When I Am Laid In Earth(feat. 林正子)
3. キリング・タイム
4. 組曲『キャバレー・タンガフリーク』3〜儀式
5. バンド・ネオンsolo〜ルペ・ベレスの葬儀
6. 映画『8 1/2』〜それから・・・・(ワルツ)より

アンコール
1. 嵐が丘
2. 時さえ忘れて
3. 暗くなるまで待って

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それにしてもゲストのソプラノ歌手、林正子さんがいいキャラクターでビックリしたわ…歌とギャップあり過ぎ(笑)。超男ットコ前でした。2月のリキッドにも出演するそうで楽しみ。