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2009年10月30日(金)
『空気人形』

『空気人形』@シネマライズ2F

ううーこれはヘコんだ…。是枝監督の新作だよーと呼び出されて行ったはいいが。あーでもこれ、原作が業田良家なんですね。予備知識全然入れてってなかったので結構ビックリした。読んでみようかな。

と言えば、私に『自虐の詩』を貸してくれたのってどなたでしたっけ。私てっきりささんから借りたと思っていて、今回ささんが誘ってくれたんで、業田良家繋がりだと思っていた。で、訊いたらそんなん知らないと言われた…。

あーそれにしてもペ・ドゥナさんが綺麗だったーかわいかったー。身体の美しさは勿論だけど、顔がよかった。何せ空気人形なもんで表情にメリハリがないんだけど、そのメリハリのなさがすごいの。無表情の目ぢからがすごい。心を持ってからちょっとずつ表情のバリエが増えていくんだけど、それでも破顔する程笑ったりはしないのね。その分はにかんだりした時のふっとした笑顔もすごーくよかった。だから最後がもうなんかつらくてつらくて。声もよかった。もーなんもかんもよかった。はああ、つらい。

好きな子に会いに行く前、嬉しそうに一所懸命自分で自分の身体に空気を入れるんだけど、それがすごく綺麗だったな。はーヘコむ……。

『誰も知らない』もそうだったけど、是枝さんの作品て誰もわるくないよってことを基本理念として描いてるだけに何とも気持ちの持っていきようがなくていっつも観終わると無言になるんだけど(大概同行者と話がはずまないはずまない)、今回もやっぱりそうだった。唯一岩松了(敬称略が敬称)の役がうわ−おまえだいきらい!と言える役で、それがまたハマッていたのだが(…役者としては素晴らしいってことですな・笑)その直前に彼のフラストレーションが小さく爆発するシーンなんか入れちゃってくれてるんで、そこでまたこっちの気持ちの持っていきようがなくなる訳です。だってそれ迄はとてもいいひとに見えたんだもの。と言うか、きっといいひとでもあるんだもの。そういう薄皮一枚と言うか、いつも薄氷の上を皆が歩いているよと言うか。そういうところが絶対描いてあるので言葉につまるわ…。

だもんでいっつもうがーと思うんだけど、新作が出来上がるとまた観に行っちゃう。なんだろうなあ、私この監督のこと好きなのかな嫌いなのかな、といつも思う。

あとバックホーンの菅波さんはこれ観ればいいんじゃないのと思った。おんなのこのつらさを知るがいいさ。まあおとこのこもいろいろつらいんでしょうけどね。