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2009年09月10日(木)
“an anxious object”tour

mouse on the keys“an anxious object”tour@Shibuya O-EAST

か、完売。当日券もなくてビックリ。そういやmotkは『Kill Your T.V. '09』に参加しているけど、先週出なかったのは自分とこのツアーもあったからなのかな。

本日スリーマンでして、対バンはenvyとtoe。どのバンドもドラムがよかった。envyの途中から観ました。

envyはドラムの方が怪我してたようで(左手にテーピングしてて、曲によっては右手のみで叩いてた)、いつもより静かめのセットリストだったようですが、それでも音圧がすげー。ベースがハウるハウる。でも耳が痛くならない感じ。そしてヴォーカルがデス声なのになんだか心地よかったなあ、轟音なのにアンビエントにすらなりそうな美しさ。音が濃霧みたいだった。

toeを観るのは二回目か?前回もmotkとの対バンだった。motkの音源はtoeのMachu Picchu Industriasからリリースしてるもんで、山㟢さんが「ここにいる皆がCDを買ってくれたら…マウスには30円ずつ渡して……」とか言ってた(笑)。基本16、シンプルな変拍子(って矛盾してる?)で構成される曲が多いんだけど、柏倉さんのドラムの手数がとにかく多くてテンションが高い。手練が集まってる感じであんまりアイコンタクトとかもなく、それぞれが自分の演奏に没頭しているように見えるんだけど(美濃さんは激しいシューゲの勢いだし山㟢さんはずーっとアンプ向いて弾いてたり)、不思議と織物のように単音が綺麗にからまっていく様が面白かったです。ブレイクもバシッと決まる。1曲だけ歌ものがあった。

で、motk。うひゃー、すごくよかった。誰がどのパート弾いてるかキッチリ観たかったので二階席にいたんですが、関係者席をごく少なめにして開放してくれていたので、オーシャンビューな位置を確保出来ました。そしたらメンバーの親御さんだかご親戚だか、年配のひとたちが集まってきた。スタンディングで長丁場で大変だったでしょうが、なんだか皆さんとても嬉しそう。EASTくらいのハコだったら、年齢高めのひとでも比較的来やすいかも知れませんね。

このハコでやってよかったなと思ったことは他にも沢山ありました。EASTで初めてmotkの全貌が見えた気がしたくらい。今迄はやりたいことがハコに納まりきってなかった部分があったように思う…って程。まず映像が映える。裸舞台で背後の壁面を全部映像に使っていた。天井が高く背面が多くとれるEASTならではです。映像はずっとバンドのコンセプトにあるようで、nest規模でも拘って使っていましたが、やっぱり小さいところだと見えづらかったんですよね(苦笑)。失礼な話、映像がバンドに不可欠とは思えなかったので、何でそこ迄…と思っていたのです。しかし今回、あーこういうふうに見せたかったんだと…nestやQUATTRO規模でのライヴもよかったんですけどね。

とは言え、映像のメンバーはメンチェンを繰り返しているし、今は在籍しているひとはいない筈。この日のMCでも「(川崎、清田、新留)この3人でmouse on the keysです」と言っていたのでまだ試行錯誤中なのかも。

音の面の違いも大きかった。このバンドってとにかくドラムの音がデカいのが特色なんですが(川崎さんもコンセプトとしてそれがあるとインタヴューで言っていた)、今迄はドラムの地音込みの音がモロブチ当たる規模のスペースだったので、本当に音がデカ過ぎて、ピアノの音が聴こえづらいくらいだったんです(笑)それも味っちゃあ味なんですが、今回はPAがしっかりしていて、ピアノもガッツリ聴こえる。それぞれの音が埋もれない。しかも今回すーげえ練習しただろー!ってのがありありと!序盤はすごい緊張感で、それがフロアにも伝わって空間全体がピリピリしてるくらいでした。しかしその緊張感がたまらなくいい!

最新のアー写とほぼ同じセッティング(機材はもっと多いです)。皆が中央を向いて、正面が新留さんだったので、清田さんの運指も川崎さんのドラミングもよく見えました。ドラマーがフロアに背中を向けている構図ってなかなかないので、どう叩いてるかがよく見えてすごく面白かった。贅沢言えば新留さんの手元も見たかったな。でもそうなると全員がフロアに背を向けることになってしまう…どう配置すればいいんだ(笑)

1曲目からピアノのパッセージがキモの「最後の晩餐」。冒頭のコードを新留さんが弾いていて、その間清田さんがウォームアップしてる感じで鍵盤上に指を滑らせていた。そのままあのフレーズを高速で弾き始めた時の格好よさと言ったらなかったですよ。鳥肌たったー!二階席から観ててよかったー!そうそうこの曲、最近マキアージュのCMに起用されていてすっごいビックリした。マキアージュって数年前envyの曲も使っていた。資生堂の着眼点はわからん(笑)

これね。ちょっとアレンジ変えてます。



envyのはこっち。



基本のメロは清田さん、それを支えるのが新留さんと言う感じ。Keyのふたりは二台を積んで使っていて、新留さんはベースラインを上段のKORGで鳴らしてました。川崎さんがドラムとピアノを兼任(同時に演奏)していた格好よさも過去ありましたが、音の面では今の編成の方がずっと安定感がある。負担が減ってよかったのでしょう。そして今回は演奏がよく見えたこともあり、音もよかったこともあり、ラウドなドラミングだけでない川崎さんの巧さもよく判りました。終始スネアやシンバルをスレスレで触れる程度に鳴らしているんですが、その静かな音が何げにグルーヴを生んでいる。静から動への変容が滑らかで、しかしインパクトがある。ドラムがない「dirty realism」では川崎さんもピアノ。これもまたよかった。

アンコールの「the arctic fox」では新留さんが時々笑顔で演奏していて、今迄にない雰囲気でよかったなー。

「the arctic fox」は音源化されてない曲ですが、YouTubeで聴けます。デュオ編成、川崎さんが兼任してる頃の映像です。このDVD即完で入手出来なかったんだよう。



サポートの根本さん(Ss)と佐々木さん(Tp)もいい味出してました。てか今日気付いた、根本さんてZもやってるひとだ。もうここらへんのひとはいろいろやってるから混乱する…そしてZとZUをごっちゃにしていることにも今気付いた……ダメ過ぎる、自分。それはともかく、根本さんはhununhumだと本人言っていた通りハードコアトロピカルブルース(笑)で時々チャルメラっぽくなるんだけど(ソプラノの宿命)、motkではドスの利いた演奏で格好よかったです。佐々木さんのミュート音もよかった。motkの楽曲は結構ガッチリ作り込んであるので、管の部分で自由度が出るのが魅力でもあります。そしておふたりともmotkのメンバーよりMCが長い(笑)なごんだ。

アンコールで、川崎さんが感無量と言った感じで「こんな大きいところでやれるなんて」「しかもこんなに沢山のひとに来てもらって」「結成して3年目なんですけど、今回集大成で」としみじみ話しており、しかもスーツ姿なので選挙に当選したひとみたいだった(笑)親御さん?ご親戚?らしい方々もニコニコしておりました。よかったね!都内でのライヴは今年はもうないそうです。いやーホントによかった、これからもっともっと化けてほしいなあ。次が楽しみです。