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2009年07月20日(月)
『ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開』

『ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開』@原美術館

最終日にすべりこみ。マイクロポップとは今回のキュレーター松井みどり氏の造語で、「様々な情報やイメージの断片を組み換えて、新たな視点や行動の方法を構成し、時代遅れで凡庸な事物や場所に新たな用途を与えてその意義を再生させる芸術表現の方法」とのこと。

先日観た『ネオテニー・ジャパン』に出展されていた作家たちの次世代と言うところかな。アダルトチルドレン的な視点や方法論も感じられました。と言うか、単純に個人的に同世代〜次世代感を強く自覚させられる作品が多かった。それが興味深くも気味悪くもありました(笑)

気になっていたのは無人島プロダクション所属の作家、八木良太とChim↑Pom。八木さんの『VINYL』は今回の展示の目玉にもなっていました。型取りしたシリコンに精製水を流し込み、氷のレコードを作る。それをポータブルレコードプレイヤーで鳴らす作品。映像でもその様子は流れていたのですが、丁度実際にレコードをかける時間に当たったので実物を聴くことが出来た。これが結構鮮明に鳴るんです。冷凍庫から出した時点でもう融け始めるレコードの命は数分。じわじわとノイズが増え、隣同士の溝が繋がってしまい針が飛び、最後には曲の判別がつかなくなる。音を保存するメディアである筈のレコードが、その一瞬にしか存在し得ないものになってしまう不可思議さが面白かったです。映像では12インチのものだったけど、今回は7インチでした。5分くらいしかもたないので、音の変化は7インチでも充分感じられるものでした。

毎回物議を醸す作品を提供し続けるChim↑Pomが今回展示していたのはDVD作品の『イケてる人達みたい01』。着火マーン。もともとシンプルな発想で、だが誰もが実際に手を出さない事に身体を張って首を突っ込みエラい目に遭う集団ですが、「ここ迄やるか!」が笑いに行くか怒りに行くかは紙一重。基本ひとには想像力と言うものがあり、そこは決して他者から口も手も出されることのない個人だけの領域で、だからこそ完璧に自由であるものだが、Chim↑Pomはその頭の中でしか成し得ないことを実際に形にして他者に晒してしまう。正直恐怖感も感じます。世代の違いなのかもなあとは思うものの、無視出来ない存在でもある。

あとは以前森美術館の『六本木クロッシング』で観た『トランクと血と光』が妙に記憶に残っていた田中功起の作品『Light My Fire』『Cause is Effect』が面白かった。あと落合多武のねこものはモチーフがモチーフなだけにもう釘付けでした。ちょ、ほんもののねこ使われたら(いや映像ですけど)もうデレデレ観てしまうがな!