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2008年11月23日(日)
『シャケと軍手』

新転位・21『シャケと軍手 ―秋田児童連続殺害事件』@中野光座

これから行かれる方へー。光座は廃墟ギリギリの元ピンク映画館、とても古い建物です。寒い、です!冬場のサッカー観戦用装備くらいでいいかも。ロビーにストーブはありましたが、開演するとドアが閉まり遮断されるので、劇場内に暖房設備はありません。特に底冷えが足にきます。膝掛け等持ってくといいと思いますー。

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カ●丸井がなくなっててビックリした
サ●南口で寒くない待ち合わせ場所なら丸井だろうと思って指定したんだけど、なくなってたね(笑)それにしても変わってなかったわ、転位
カ●私は初見だったけど、イメージ通りだったな。いやむしろ、かなり覚悟して身構えて行ったので、作風がリリカルだったことに驚いた。演出は予想通りだった
サ●こないだ小森(収)さんの小劇場本をたまたま発掘したんでまた読んでたらさ、転位の記述があって、「不要(に見えるところが、そもそも苦しい)な抑圧を自らにかけたかのような役者の演技スタイルになじめなかった」ってあって、そのとおりなんだよ〜と思ったんだよね
カ●私は以前出演した知人に話を聞いたりしてて、演出家の掌握力…と言うか、ぶっちゃけ支配力の巨大さがもたらすものに疑問を感じてて
サ●客演以外の出演者たちの演技スタイルと言うか、型が確立されてるでしょう
カ●あそこ迄徹底してるともはや伝統芸能の域
サ●そうそう、でも、あれって…役者にとっては自己否定自己否定の連続に思えるんだよね
カ●自分が観ている範囲で言うと、山の手(事情社)もすごく特殊なメソッドを持っているじゃないですか。四畳半とか、ルパムとか。でも山の手には滅私奉公さは感じないんですよ。役者の顔が見えると言うか
サ●あの客演以外の役者の演技スタイル…早口で、意図的に棒読みで、声がとにかくデカくて、役者自身の感情を不要とするような…あれはあれで演出の特徴で、狙ってるとも思うんだよ。アヤカのあの発声とか、ホント聴いててイヤ〜な気分になった
カ●うん。聴いてるうちに気分がささくれだってくる
サ●母親がイラッとしてくるのも解ると言うか…実際行動に移すかどうかってのは別として
カ●けなげなところもあるんだけどね。薬持ってきたり
サ●だからあれは演出の狙いだとは思うんだけど…あの発声、動き、すごく特色あるよね。あれを思い出した、第三舞台にパロられてたじゃん
カ●小劇場病?(笑)
サ●そう!(笑)
カ●チクワを表現するんじゃない、チクワそのものになるんだよ!
サ●ジェスチャーゲームやってるんじゃないんだよ!
カ●竹刀持って
サ●着ぐるみ着ればいいってもんじゃないんだよ!
カ・サ●(爆笑)
カ●そこに役者本人の感情などいらん、って言う
サ●ある意味そうではあるんだけどね
カ●でもそうなると、生身の人間を使ってやる演劇の意味って何だろうと思う
サ●そう。山崎さんのカリスマみたいなものに感じ入ったひとが劇団に入ってくるんだろうし、特定のひとにはピーンと来るものがあるんだろうね。若手も途切れないじゃない。そうやって出来た集団…ってのは、ある意味宗教的なものも感じる
カ●ああ。やってるのがたまたま演劇だけど、ってことかな

カ●それにしても、秋田県全否定みたいになってたなあ
サ●風土がそうさせたのだ!みたいなね
カ●まあそういう要素もないとは言えないだろうけど…
サ●あく迄もフィクションです、って断り書きがあるしね
カ●そういえば状況劇場界隈のひとが寺山修司について語る図式は面白かったな。飴屋さんと佐野さんが太宰治の『魚服記』の話をさ
サ●役者の飴屋さん観るのっていつ以来だろう。M.M.M.以来?
カ●私はスーパータンクの『死の棘・1999』以来だから、9年振り
サ●箱に入ってた時(『バ  ング  ント展』)は姿が見えなかったから、実物観たの本当に久し振り
カ●正直、転位を観るのは腰が重かったんだけど、今回は飴屋さんが出ているから…と思って
サ●佐野さんと石川さんもね
カ●状況劇場繋がり。うん、観てよかったですよ。久し振りにアングラな芝居を観た感じ。あの音響がすごいデカいとことか。劇場の雰囲気も合ってたし
サ●そだね。でも、トイレ行くのなんとなく怖くて(笑)
カ●そうそうそう!(笑)劇場出てからトイレ行こうって思った(笑)

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逃げられない状況にあるこどもはどうすればいいのか、と言うのはよく考える。逃げ切ることは決して不可能ではない筈だ、とも思っている。ただ、それは、こどもひとりだけの力では絶対どうにもならない。