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2008年10月26日(日)
『サド侯爵夫人』楽日、『BIG BEAT CARNIVAL』

『サド侯爵夫人』@東京グローブ座

いやーいい楽日だった。雰囲気もですが芝居自体のクオリティがめちゃ高かった。全体的に余裕が出てきたと言うか、いっぱいいっぱい感が抜けて、笑いを誘う場面も多かったです。成程こういう言い回しをするとこういう反応が得られるのか。ここらへんは加納さんがバラエティに富んだものを見せてくれました。これからツアーだけど、これからもっと面白くなるかも。観られるひといいなあ。

やはり二幕が白眉。ルネとモントルイユ夫人の対決は勿論のこと、退廃に生きると宣言し退場するサン・フォン伯爵夫人の堂々とした姿には目を奪われました。そういえば天宮さんは『ハムレット』のガートルード役もよかったよなあ、熟女の死生観を体現するのが得意なのだろうか…と言うか、最初に天宮さんに女性役をオファーしたキャスティングディレクターって誰なんだろう。すごい慧眼。

終演後、近くのお客さんが「ほんっと、これって目で読む台詞だよね、耳で聴く台詞じゃないわ。でもちゃんと耳に入って来た!」と言っていてこっそりニヤニヤしてました。

勝手に推測すると、三島はこの作品を“上演台本”ではなく“戯曲”として書いたような気がする。これを謡いこなせる役者はいるかな?とどこかで待望し乍ら。篠井さんが「とにかく台詞が難しいので役者にとってはとても厳しい作品だし、実際舞台に載せたとしても寝てしまうお客さんが多くて徒労に終わりがち」とインタヴューで言っていたが、今回はかなり…面白い舞台になったのではないでしょうか。

役者のコンディションが如実に出るし(大体あの衣裳…あのコルセット、あの鬘、あのヒール(ドレスに隠れてあまり見えないからぺったん靴履いてもよさそうだけどちゃんとヒール履いてたよ……)で膨大な長台詞の応酬ですよ。しかもそれを140分!気絶する…)、その時その時のちょっとしたタイミングの違いで波に乗ることもあれば、一気にがらがらと崩れてしまう危うさも併せ持っている。これはひとりの力ではどうにもならない。そういう意味では日によって出来に大きな差が出ることもあるでしょう。生身の人間がやると言うのは了解の上で、それこそが舞台の魅力ではあるものの、ああ〜っ(泣)て日しか観られなかったひとは運が悪かったと思うしかないのかしら…難しいですよね……。実際手を抜いてる訳では決してないのだし。

カーテンコールではスズカツさんも出て来ました。豪奢なドレス姿6人の真ん中に、ジャージジーンズ姿で立つと言うとてもシュールな光景(笑)しかも退場時篠井さんのドレスを踏みかけた!ちょ、何すんねん!篠井さんは自分が主役の時でも前面に出ない。共演者、スタッフを労い、自分の挨拶はシンプル極まりない。謙虚過ぎる…今年で50歳なんだよなあ。このひとは役者=女方と言う自分の仕事に誇りを持って、あくまでもストイックに、甘えなど許さず、求道者としての姿を見せ続けてくれます。

女方・篠井英介×演出家・鈴木勝秀@グローブ座のシリーズは、来年の『サロメ』で完結。そのままはやらず翻案上演するそうです。昨年のPARCOトライアウトでは変則リーディングでとても面白い構成でしたが、今度はどうなるのかな。楽しみです。

余談:自らを幽閉する女性、と言うとスズカツさんと戸川純さんの『祈る女』を思い出したりもしました。加納さんも出ていましたね。

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池畑潤二50thアニバーサリー『BIG BEAT CARNIVAL』@LIQUIDROOM ebisu

こちらも50歳ですよー、17:50なんてえらい早い+半端な開演時間だなと思いつつグローブ座から駆け込みましたよ…4時間超のライヴでしたよ……(しろめ)ステージからおにぎりが撒かれる(初めて見たわこんな光景)程の長丁場。まだ筋肉痛は来てないが、石橋さん曰く「明日は筋肉痛だな、40代以上は明後日筋肉痛だ!池畑は博多(でもやった)の後筋肉痛にはならなかったってよ(すげー)」だって…ま、まだ40代じゃないぞ…きっと大丈夫だよ……(自分に言い聞かせる)。

そんなこんなで池畑さんをお祝いするパーティだったのですが、お祝いされる本人がいちばん働くと言う(笑)40曲は叩いたらしい。しかし石橋さんが言ってた通りほんっと「全然ヨレない、萎えない、バケモノ!」むしろ終盤になるにつれパワフルになっていってたような。恐ろしい!バケモノ!

ルースターズのイメージが強いのですが、バイオ見ると私が中学生の時にはもう脱退されてるんですよね。その後もいろ〜んなバンドやセッションに参加されてて、あまりにも多くて把握出来ない。アー写ではいつもいちばん後ろでこわーい顔して写ってて、こわーいイメージです。しかし今日はボーラーハット姿でなんかリリーさんみたいだったよ(笑)でも怖いもんは怖い。池畑ー!と叫ぶ客に向かって山口さんが「呼び捨てに出来るあなたたちが羨ましい」と言っていたが(笑)コワモテですよねえ…しかし演奏は格好いいー素晴らしいー。

あまりにも濃いメンツを書いておく。花田裕之、渡辺圭一、石橋凌、井上富雄、SION with Bun Matsuda、HEATWAVE、ROCK'N ROLL GYPSIES、浅井健一、チバユウスケ、クハラカズユキ、DeeDeeFever。進行はスマイリー原島、DJはHoney Hallのおふたり(川村カオリ、坂田かよ)。あと誰がいたっけか…ルースターズからユダから盛り沢山のナンバーが聴けましたよー!博多では大江慎也も出た(!)そうですが、東京は欠席。大江さんのパートはチバくんが主に唄っていたそうですよひいい恐れ多い。

そんなチバくんですがすごい髪型になっててビックリした。どうなのあれは…そしてキュウちゃんが痩せたような気がしました。痩せたと言うか筋肉がすごく落ちてるような(演奏には支障なかったけど)。二の腕とかひょっとしたら私の方が太いかも知れん(泣)最後全員セッションの「ROSIE」で全員ソロ回しがあったのですが、チバくんにもギターソロが回ってきてヒヤヒヤしたよ!(失礼)弾けるようになってよかったねえ(暴言)

長くやってるといろいろありましたよな思い出もあるようで、感極まってるお客さんが多かったのも微笑ましかったですよ…「花田とSIONが同じステージに立ってるなんて!もう俺は!」と上ずった声で話しているお兄さんとかおった。よかったねえ。

いやー楽しかった。ダレない長丁場でした。