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2008年06月08日(日)
モーリス・ベジャール・バレエ団 2008年日本公演とか

■下北沢シネマアートン閉館
ええー……こんなことで………いや被害に遭ったひとはお気の毒ですが、映画の現場とは全然関係ないことが原因で閉館なんて………。
山岡大祐監督のところで知りました。『ロストガール』が10月に公開決定、と発表されたばかりだったのに。
公開出来ますように。そしてシネマアートンはなんとか存続してもらいたい。でもこういう時、ただの観客って何も出来ないのが歯痒いな。署名くらいしかないのかな……

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モーリス・ベジャール・バレエ団 2008年日本公演@神奈川県民大ホール

Aプロ、『これが死か』『イーゴリと私たち』『祈りとダンス』『ボレロ』。東京公演は日程が合わず行けないので神奈川へ。海が近いとこに来ると妙にうきうきする盆地育ち。早めに出掛けて散歩。神奈川県民ホールは山下公園の真ん前で景色もとても綺麗。

ツアーは随分前から決まっていましたが、奇しくもベジャール追悼特別公演になってしまいました。ロビーには、笑顔でこねこを2匹抱えたベジャールの大きな写真パネル(これと一緒に撮ったんじゃないかな、ねこが2匹なの)と、愛用の椅子、『リア王 —プロスペロー』で道化を踊った時の衣裳が展示されていました。

レパートリーを継承しまとめていくのはジル・ロマン。Aプロでは『イーゴリと私たち』に出演。ストラヴィンスキーのカウント音声の中でシェフ(=マエストロ)が踊る。ベジャールが2007年4月に着手し、完成を見ないままだったものをロマンが仕上げたものだそうです。ベジャールの素描を活かし、振付には一切追加がないとのこと。日本初演。

肉感的なダンサーが多い。女性ダンサーの腰回りがとてもしっかりしている。ベジャール作品には不可欠のエロティシズムが際立つ。汗が光るのも美しい。生きている。『これが死か』は、ひとりの男性が、今際の際でかつて愛した女性たちに思いを巡らせる。最後のひとり、白い衣裳の女性ダンサーを迎え入れた時に死が訪れる。『祈りとダンス』では中東風の白い衣裳に身を包んだ男性ダンサーの群舞が美しい。日本人メンバー、那須野圭右さんのソロも。ひときわ大きな拍手が贈られていました。

で、『ボレロ』です。どんだけ『ボレロ』好きだあんた(自問)。しかもベジャール振付のばっかり観てるのね…他の振付もいろいろ観てみたいんだけどなあ。今回のメンバーで『ボレロ』を踊れるダンサーは3人(男性1人、女性2人)。当日朝迄誰が踊るか判りません。この日は男性ダンサー、オクタヴィオ・デ・ラ・ローサが踊りました。オクタヴィオ・スタンリー…だったひとだよね……?と話してたんだけど、名字が変わったのかな。

それにしてもダンサーによってほんっと印象が変わる作品だなあ。これ迄男性ダンサーの『ボレロ』は首藤康之さんしか観たことがなかったのですが(ジョルジュ・ドンは映像でしか観れてない)、首藤さんはちょっと人間離れした感じだったので…。デ・ラ・ローサはワイルド。精緻な踊りとは言い難いですが(いや勿論身体がブレるとか荒いとか言う意味ではない)それには生贄的な切迫感がある。3階席迄息遣いが聞こえるようでした。

そうそう、2年半前“最後の『ボレロ』”を踊ったギエムが、ベジャール追悼のために来年2月にまた『ボレロ』を日本で踊るそうです。理由はどうあれ嬉しいな。チケットとれますように。

エロや死を芸術にしようなんて輩は人間しかいない。面白いことです。

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中華街に寄ってお茶とか買って帰りました。久々で楽しかった。