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2007年10月30日(火)
『レインマン』初日

『レインマン』@PARCO劇場

危ない、グローブ座に行くとこだった…(初演時の劇場)。折しもポンチさんが『キャバレー』@青山劇場をPARCO劇場と間違えたって話聞いたばかりだったので焦った!あれ混乱するよねーPARCO制作だから。ちなみに『犯さん哉』上演時のPARCO劇場入口には「『キャバレー』は青山劇場です」と言う看板が設置されていました。PARCO→青山は走れば何とか…だけど、PARCO→グローブ座はきっと何とかならないぞー(笑泣)

と言う訳で、劇場も変わってスピード再演。スズカツさんの言う通りロングランと捉えてもいいかも。プレヴューや地方公演も経て、この東京公演はツアー最後の地。初日と言っても随分こなれた初日でした。しかし初演をなぞると言うものでは全然なかった。理想的な再演だと思います、以下おぼえがき。

・脚本、結構変わってます
・椎名さんの演技プランがかなり変わってる。それに合わせて脚本を書き直した様子
・チャーリーの衣裳がカジュアルになっており、怒りの表現がより表に出ている
・美術も、かっきりプロセニアムの舞台に合わせたものに
・グローブ座は横に拡がる舞台なので、ギュッとした空間作るの難しいんだよね。死角も多いし

・椎名さんと言えば、久々の舞台出演だった『BENT』の時は台詞が聴き取りにくいところがあったんだけど、最近は全くそんなことがないなあ
・でも、舞台用に声を「張っている」、と言う訳ではない。声が「通る」んですわ
・室内で会話するシーンで、普通に話しているように聴こえて、不自然さがない。なのに言っていることはハッキリ伝わる
・これは椎名さんだけでなく、全員がそう
・いやすごくいいバランスの4人芝居です
・翻訳劇における「自然」、と言うのは実はなかなか難しい。翻訳調のいかにもお芝居的な口調は、どうしても慣れが必要になる
・その自然さは、役者が「演じている」、と言うことを忘れさせる。チャーリーが、レイモンドが、「いる」と言うところ迄行く。これは初演時もそうでした

・体感時間が短かったー!テンポいい!
・あの兄弟が会っていなかった時間を埋める過程として、さまざまな誤解を解いたり、葛藤を乗り越えたりの要素が沢山組み込んであるのに、詰め込み感が全くない

・序盤の父親の訃報を伝える電話の声は、初演同様エンケンさんでした

あー他にもいろいろあるが今思い出せるのはこんなとこ。両隣が30〜40代の男のひとだったんだけど、どちらもガン泣きしておりました。もう嗚咽が出そうな勢い。それを我慢するから鼻がふごふご鳴るの(苦笑)客席は暗いんだし、我慢しないでどおと泣けばいいじゃないーと言いたくなりましたよ…。決して近頃流行りの「泣ける!」「泣かされた!」と言うような嫌な涙の流され方ではないんだから。まあいいじゃん、たまには。思う存分泣いてもさ。

あーでもチャーリーって、泣きたくても泣けなかったひとだよな。だからこそレイモンドに頭をなでられた後のチャーリーがこどものように泣くシーンは悲しいけれど、その感情を引き出せるようになってよかったな、と言いたくもなった。チャーリーは半袖のシャツを着るようになる。水泳もきっと始めてる。

あと「何から何迄無駄!」と言われるレイモンドだけど(笑・このシーン大ウケ)、無駄って素晴らしいことだよなあと思ったり、さわる、ってのはとても大事なことだよなあと思ったり。

いやそれにしても、かつて誰にでも…と言うか、「このひとなら大丈夫だ」と判断せずに(笑)勧められるスズカツさんの芝居があっただろうか。いや、ない(暴言)舞台のマジックを信じることが出来る、素晴らしい作品です。