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2006年06月28日(水)
『アンデルセン・プロジェクト』ルパージュ版

『アンデルセン・プロジェクト』@世田谷パブリックシアター

ロベール・ルパージュ版から。日本語字幕付です。

面白かったー!しかし後ろの席で観たかったー!3列目ほぼ中央だったのですが、SePTは5列目辺り迄段差がないんですよね、座席…前の席に大柄な兄ちゃんが……み、見えない。中央が見えない(致命的)。“映像の魔術師”と言われるだけあり、映像と舞台上にいる生身の役者がシンクロして動くと言うトリッキーな演出がキモなので、前過ぎると全体像が見渡せない。2階席中央がベストなんではないかな、この演目を観るなら。

まあ仕方がない(涙)

しかしストーリーもとても興味深いもので。世界的に有名な作家・アンデルセンを、他者を通して浮かび上がらせる作品と言うか…引用されるアンデルセンの作品は『木の精ドリアーデ』『影法師』のふたつ。どちらも暗い、人間の醜さ恐ろしさを感じさせるものです。アンデルセン自身の性癖や抱えていたコンプレックスを描き、それを現代に生きる人物3人に照らし合わせるような構成でした。最後ああなるとは…厳しいーせつないー(泣)

ピーター・ガブリエルのステージを演出したことでも有名な方ですが、音楽にはヒップホップやテクノが主に使われていてちょっと意外でした。勿論ストーリーに沿ってのことで、引用にはきちんと意味があります。終演後のポストトークによると「ロックバンドのヴォーカルのような気持ちで演じている。ステージにいるのは僕ひとりだけど、バンドにはギターやキーボードを演奏する沢山のひとがいる。映像・照明のオペレーターやセットを動かすスタッフ、ステージの向こう側にいるひとたちと一緒に、チームでやっている意識が強い」とのこと。音楽に対して非常に意識的な印象を受けました。

映像とのタイミング等が少しでもズレると困るのでは?と言う萬斎さん(ポストトークの進行)の質問に「でも、実は毎回アドリブを入れてるんだよ。即興的な面は大事にしたい」とのこと。観ていた分にはズレは感じられなかったので、スタッフも阿吽の呼吸で操作しているんだろうなあと思いました。こういうとこもバンドみたい。

白井さんのヴァージョンのことを考えながら観た部分もあったのですが…ルパージュ版には日本語字幕が付いていましたが、実際には英語と仏語が使われています。ストーリーが展開する場所はパリ。カナダ・ケベック出身の作詞家フレデリックが妻に電話する時は英語。パリ・オペラ座のディレクター、アルノーは仏語。欧州で仕事を認められたいとの思いを抱いているフレデリックが、異国へ来て母国語ではない言葉を話す、と言う面白みも感じたので、全てを日本語台詞に翻訳した場合、この部分の機微はなくなると予想されます。他の部分を拡大するのか、違う側面から“stranger”を描くのか。どうなるかな。

あとあれだけ下ネタ(多い。ここも字幕ならではの笑いが出ていましたが、実際日本語で言われると観客のレスポンスが変わりそう)を言う白井さんやヒップホップファッションの白井さんやクラブで踊る白井さんが観られるのか…こ、これは新境地になるやも知れません。楽しみです。

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■ソフバ
え、ソフトバレエじゃないの!?ソフトバンクなの!?(世代差)