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2006年06月02日(金)
『ナイロビの蜂』

『ナイロビの蜂』@新宿文化シネマ4

わああ私が結びのレポですみませんみぃ♪さんリネさん…そして、こ、こんなんですみません…やっと観に行きました…ら、もう新宿文化の中でもいちばん小さい、キャパ50ちょいの4上映になっていた…しかもギリギリ駆け込みだったので2列目だった…そして手持ちカメラでブレるシーンが多くて気持ちが悪くなった…。

が、それでも画面から目が離せない。手持ちカメラもドキュメンタリー的な手法として効果大でした。ジャスティンとテッサのラブストーリーでありながら、しっかりと告発するテーマ、そして決して失くしてはならない希望を描いています。しかしそれが、正義を振りかざすような大仰なものになっていなかったのはイギリス資本だからか?爽快さはないけれど、好感が持てる結末でした。悲しいけどね。

フェルナンド・メイレレス監督の『シティ・オブ・ゴッド』は公開時逃してしまった!と思った作品でした。銃を持ちひとも殺す、ブラジルのスラム街で生きるこどもたち。そうせざるを得ない環境がある。しかしそこにはとてつもない熱と生命力が感じられました。「ここではないどこかへ行けば何かいいことある」なんて言ってられる状況ではない、ここで生きるしかない、それならここで笑顔を持てるかどうか。

今回の作品にもそれはあります。「いらない薬はいらないひとにやる」「ここのひとの命は軽い」と言われるアフリカの現状。そこにいるひとたちの生活はとても悲惨な状況です。しかし、ケニアの自然はとても美しい。錆色の土、雪のような塩床。そして、原色の服を着たこどもたちの笑顔は屈託がない。それがとても残酷に見える反面、希望への願いのようにも感じられました。

とは言っても、自ら飛行機を降りたあの子のことが忘れられない。これが現実です。『ホテル・ルワンダ』の「この状態をTVで見せたからと言って、視聴者は『まあ、怖い』と言ってディナーを続けるさ」と言う台詞を思い出しました。

庭いじりが趣味(この映画の原題は『THE CONSTANT GARDENER』)の穏やかなジャスティン。妻の人生には干渉しないと言った彼が、その妻テッサの死から、どんどん行動的になっていきます。最初は疑惑から。テッサの死因は、彼女と行動を共にしていたアーノルドとの痴情のもつれかも知れない、そして死産だったこどもの父親は自分ではないのかも知れないと言う不安を抱え、彼は真相究明に乗り出します。そのうち彼は妻が命を賭けて追究していたもの、そして守ったものを知ります。ジャスティンは事件を追い続けます。真相究明の旅は、途中で目的が変わったように思えます。テッサを一瞬でも疑ったことに対する懺悔、そして彼女の道程を追う巡礼の旅へと。

テッサの従兄弟ハムが語った弔辞は告発になった。ふたりは誰にも知られずに葬られた訳ではありません。

…とまあヘヴィー級な作品だったのですが。そう、当初の目的はレイフ・ファインズを観ることだったのですよ…じ、実はファインズさんの第一声がヴィクター@ウォレスとグルミットを思い出させて(そりゃ声は同じだからね…)ニヤニヤしてしまいました…わああすみませんすみません。

しっかっしっ!うわーそうだよこれファインズさんが主演なんだよね!レイチェル・ワイズのオスカー受賞が話題になって、ファインズさんはあんまり…だったから、ね……(泣)いや賞が全てではないけど、そしてレイチェルも素晴らしかったけど!ファインズさん素晴らしくよいではないですか!いやもともと巧い役者さんですけども!…もっと、もっとさあ、もっと評価されてもよいんではないですか…話題になってもよいんではないですか…。

慟哭しないのに伝わる悲しみの深さ、黙って相手を見つめるだけの大きな怒り、自分の死期を悟りながら妻の幻を見つめる静謐な表情。どれをとっても素晴らしかったですわよ…。珍しいカーチェイスシーンも観られたし。確かに今迄カーチェイスって…あったか?『アヴェンジャーズ』くらいか?でもあれは優雅にふんふんふ〜んてなドライヴ、て感じだったからなあ。

要は素敵だったと言うことです、はい。ピンクのTシャツも似合ってましたよ…。