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2005年10月23日(日)
東京国際映画祭『キャッチボール屋』

六本木でTIFF『キャッチボール屋』舞台挨拶+本編+ティーチイン、移動して渋谷で『胎内』ティーチイン。どれも充実した内容で、濃いー1日でした。全部自分ではチケット逃して、ひとさまのご好意で参加することが出来ましたよ…本当に有難うございました。

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「日本映画・ある視点」部門『キャッチボール屋』@VIRGIN TOHO CINEMAS ROPPONGI HILLS 5

面白かった!脚本も演出も撮影も出演陣も。楽しい現場だったそうで、それが反映されたようなあったかい映画でした。一般公開されたらまた観に行きたいです。以下ネタバレありますのでご注意を。

会社をリストラされた主人公が、ふとしたことから公園でキャッチボール屋をすることになる。10分¥100。一癖ある常連さんたちがちょこちょこやってくる。その“一癖”の理由は、語られたり語られなかったり。サングラスの男のジャージは何故派手なのか。何故球が本気なのか。カープの帽子を被った男は何故フォームがどっかおかしいのか。借金取りに懐かれたようだ。その借金取りが言うには、ベンチにぼんやり座っている男はどこかで見たことがある。そしてお昼ごはんの食べ残しをくれる女は、君は七代目のキャッチボール屋だと言う。何かを知っているようだ。

説明過多ではないけれど、痒いところに手が届く。夜の10:30にレコードをかける理由や、カープのおじさんは何故キャッチボールをしたがるのか。ここの説明にはとてもジーンときた。反面、四代目のキャッチボール屋と女の間にあったことや、七代目が四代目が誰かを言い当てる根拠、七代目が野球チームの監督になった理由などは宙に放られる。そのほっぽらかし具合が何だか心地よい。

派手なジャージの男とベンチの男は、過去のある出来事に決着を付けることになる。それは彼等を前向きにはするものの、過去は取り戻せない。今からプロになれる訳でもない、敬遠した時の悔しさは心に残る。そういうちょっとした寂しさ。脚本の目線がとても暖かい反面、鳥瞰として全体を捉えてもいる。これはすごいなー、面白いなー。

誰とキャッチボールをしているのか、キャッチボール屋とではないのか、それは探している誰かなのか。キャッチボール屋はいろんなひとの球を受ける。キャッチャーとしてスピードボールも捕れる。でも高校時代は3年生唯一の補欠だった、酔っ払ってチームメイトに群馬から東京への電車に乗せられる、目が覚めたら何故東京に来たのか思い出せない。そのまま公園でボールを受けている。

大森南朋さんの究極の受け身俳優っぷりが凄く良くて。この主人公、かろうじてコミュニケーションがとれるイチって感じです(笑)かなりダメなユルいコです。とにかく受け身受け身受け身。が、その受け身がいろいろなことを吸収していって、ちょこっと前向きになる。その過程を少ない台詞(殆どが1〜2センテンスで繋がっていく)と表情、ちょっとした動きの違いでズバッと表現している。いーやーこれはかなり好きだー!あーこーいうとこがあるからこのひとのファンは止められませんなー、観続けていると必ず面白いことをやってくれる。で、その表情をズバッと正面から撮るカメラにも好感持ちました。

奇妙な常連さんたち、寺島進さんや光石研さん、松重豊さんも濃いー面白さ。キタキマユさんのエキセントリックな魅力もステキでした(あとこのひと、声がいい!)。そして久々ぶらり共演、水橋研二さん!あーこの身長差、このやりとり、このテンポ、絶妙です!大森さんと水橋さんのやりとりはホント面白くて、長年つれそった夫婦漫才か!と思うくらいでした(笑)ある意味すごい演技バトル。場内は笑い声の連続。ああ楽しかった。

上映前の舞台挨拶には、大森さん、松重さん、キタキさん、大崎章監督が来場。皆さんステキでございました。現場の雰囲気が良かったことや、撮影していない時でもキャッチボールをしていたこと、直に飽きてサッカーに移行したことなど(笑)面白い話が聞けました。挨拶後にフォトセッションがあったのですが、並んでいる図を見ると平均身長が高い!松重さんは189cm、大森さんは178cmってとこですが、監督がおーもりくんよりおっきかったよ…てことは180はある…?そしてキタキさんもバランスがとれていたので、170くらいはあるのかな?そんで皆さん腰の位置が高いよ!すっごく絵になる並びでした。いいもん観た。

お仕事があった大森さんはここでお帰りになり、残りの3人が終映後のティーチインに出席。これがまた面白かった!明日書きます。

あ、おまけ。会場入口に、『キャッチボール屋』にも出演していらした眞島秀和さんがいらっしゃいました。上映観たのかな?フツーに入口前の花壇脇みたいなところ(笑)に座っていたのですが、明らかにステキオーラが出ていたよ(笑)