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2005年08月21日(日)
『ア ヤ   ズ エキシビション バ  ング  ント展』

『ア ヤ   ズ エキシビション バ  ング  ント展』@P-HOUSE

20日に行ってきました。展示は21日で終了しています。

テーマは『消失』。サ ラギノ さんのテキストも、その消失部分から発信されるオ トモ シヒ さんの音も、そして、ア ヤさん本人も消失している。

オ トモさんの日記にも書かれていますが。ボディブローのようにじわじわ効いてきます。初見のインパクトだけで終わるものではない。

仕掛け自体にも驚かされますが、まずこういうことを考え付いて、それを実行しちゃうってのがすごいですね…しかも突飛ではない。きちんと提案するものがある。会場で、ア ヤさんって宗教になり得るよねと言う話をした。それがギリギリの線でそうならないのは何故かと言う話もした。それは本人のスタンスに因るところが大きいんだろうとも。

しかし相対的に考えれば、ア ヤさん本人にその気がなくても、彼を神として崇め奉るシステムが出来てしまったとしたら?ちょっとしたタイミングで、ちょっとした力がそっちに傾いたとしたら?

そういう意味でも、“ヤバい”エキシビションでした。いやでもこれ、観たらまずア ヤさん本人のことが心配になるもんね…すごいことやってると思うし。で、「ア ヤさんがんばって!」「ア ヤさんってやっぱりただ者ではない!」って面が大きくなり過ぎたらどうなるかってことです。勿論そう言われるだけのインパクトはある。

ア ヤさんが封印されている箱をノックした。返ってきた。リズムを変えてみた。違うリズムが返ってきた。ノイズのような音も聴こえる。中を歩き回っている様子。封印されて23日目。言葉によるコミュニケーションも、光も全く遮断されている。体力は、時間の感覚は、精神的には。どういう状態なんだ?

帰り難かった。3時間以上P-HOUSEにいた。何度も展示を観たり、音を聴いたり、トイレに行ったり、証明写真を撮ったり。

テキストは『デビル・ ン』。音は音楽、ノイズ、雑踏から採取したもの。トイレにも微弱音が鳴り続けている。それが消えるエリアがある。音が消えると不安になる。鏡には自分が映らないようになっている。証明写真を撮っても、自分の顔は消失している。

死亡しているが、所有者名はその持ち主のままの車。ナンバープレートの横に、蜂の巣が出来ていた。もう何年もその状態なのか。持ち主は死んでしまっていても、所有者としてここに存在している。

展示が行われているP-HOUSEが入っているビルも、建設されてから何年もほっぽらかしにされていたビルだ。六本木のド真ん中に、使われていないビルがあったと言う事実。

自分の存在は何で証明出来るのかな?ひととの会話?写真に写った、鏡に映った自分の顔?オ トモさんの音は、自分が装着しているヘッドフォンから聴こえるものだけではない。隣のテキストに触れれば違う音になる。隣のひとに触れれば音が混ざる。

お前の存在は何なんだ。何がお前をお前だと証明出来る?10のセクション全てがそう問いかけて来る。

足許がぐらぐらになった。

最近『他人の顔』を再読していたこともあり、タイミングが合ったなと思った。

介入作品、ハ ヤ   コさんの『フェ リ ファ ン ー』はひっそりこっそり置いてあった。気付かないひともいたかも。かわいい作品でした。これもスクリーンの中にいる小さなひとは、肉眼で観ると消えている。虫眼鏡を使わないと映像が観られない。

それにしてもア ヤさん、タフ!頭も身体も。とにもかくにも、おつかれさまでした。ゆっくり休んでください。