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2004年09月26日(日)
『IZO』『茶の味』

プロフェッショナルが好きなことを好きなようにやったら?の2本。どちらにも樹木希林さんと寺島進さんが出演されてました。どちらも印象に残る役だったなあ、いろんな意味で(笑)

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『IZO』@シアターイメージフォーラム2

いやもうここ迄やられたらいっそ清々しい。人斬り以蔵が現代に甦り斬って斬って斬りまくる話です。屋敷で斬る!遊園地で斬る!都庁前で暴れる!Faster, PUSSYCAT! KILL! KILL!(追悼ラス・メイヤー監督。折しもイメージフォーラムのもう1館で特集上映中でした)

刺しても斬っても死にません、と言うか、「メタモルフォーゼしてる!」とか言われていたのでもうそれでいい。そういう生き物です以蔵は。ひとを傷付けるひとはその分自分も傷付いているのだ〜同じくらいツラいのだ〜とか教訓めいたことも言ってますが、もういいですよそんなん…いや、そこに深い意味を感じ取るひともいるのでしょうが。そして最後は何げにいい話になっていた。それがまたエンタテイメントをも拒否しているような三池節。

ゲスト陣が沢山いすぎて役名すら定かではありません。ミッチーが出たら「ミッチーだ」「ミッチーだ」、たけしが出たら「たけしだ」「たけしだ」と客席のあちこちからささやき声が。ははははは。て言うかたけしはまんまたけしだった(笑)ボブ・サップが斬られるシーンは『殺し屋1』で得たノウハウを活かしたなって感じに仕上がっていました。スパッとゴロン。

いろんな昔の映像をサンプリングしたシークエンスが格好よかった。冒頭5分の引き込みっぷりはすごかったです。あ、あと中原中也の詩をまんま唄ったものが使われていてビックリした。死んだ長男のことをうたったものなんだけど(「また来ん春…」)それを唄う友川かずきさんも出演(と言うか、そのまま出てそのまま熱唱している)されてます。

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『茶の味』@シネマライズBF

石井監督の新作!いんや〜こういうの大好きです、よかった〜ぽわーん。以下ネタバレしてます。

大きな流れとしては、春野家の長女・サチコがさかあがりが出来るようになる迄。その周辺のエピソードが細かく、丁寧に、しかしバカっぷり満載で描かれている。意味や繋がりはあったりなかったりする。いや、ひょっとしたら全てが繋がっているかも知れない。だからひまわりはあんなに大きくなって地球を包み込み、宇宙へと拡がっていく。コドモのテツガクはシンプルだけど深い。さかあがりが出来るようになったことで、サチコが見る世界はきっと何かが変わっている。

としみじみ考えつつもニヤニヤクスクスがははははと笑いつつ、最後のおじいちゃんの置き土産にはほろり。これはニクい!登場人物は皆ちょっと変…と言う印象なのだが、あれ?よく考えるとヘンでも何でもないかも?到って普通の家族の風景。以下おぼえがき。

■アヤノおじさんの野グソデビュー。淡々と話す浅野さんがおかしすぎる
■そして頭にウンコ載せた寺島さんの画ヅラがおかしすぎる
■それにしても石井監督はウンコネタ好きだねー(笑)
■来客のちょっとしたお楽しみ・精神科医のおとうさんの催眠ショーが楽しい
■長男・ハジメの妄想劇場(傑作!)、自分の身にも憶えがあるぞ!(笑)
■身に憶えがと言えば、サチコの三角定規。こ、これやってたよちっちゃい頃!こんな私でもネグリジェを着せられていた頃があった…
■教頭先生の朝のポエムが頭から離れません
■しかもその教頭先生が田中星児さんだったと気付けなかった…く、くやしい
■終わった後「どこに出てたっけ?」と訊いて「何言ってんの!教頭先生だよ!」と言われてショックだった…
■そこを観なおしたい!リピートしたい!
■ヤクザの乗ってた車のナンバーが893!(大笑)細かいところにも手を抜きません!
■フラれた元カノと会ってキョドッぷり満載のアヤノおじさん。うわあるあるーこういう気まずさ
■流星警備員のふたり・加瀬亮くんと水橋研二くんのハマリっぷりが最高。水橋くん、こどもへの対応がすんごい優しくて「地か?これは地なのか?」とトキメキました(笑)
■電車内でのコスプレ撮影会に大ウケ
■ハジメ実は格好いいよ!
■バスの扉が閉じる瞬間、傘を投げ入れるシーンは鮮烈。これは惚れるって
■その後雨の中を満面の笑顔で走って行くシーンでは涙ぐんでしまいましたよ!
■きっと帰宅後また妄想劇場を開いたに違いない(笑)
■あのおじいちゃんは我修院さんにしか出来ないよ…
■しかも最後にあんな泣けることを!
■雨の中サチコを迎えに行くおかあさんを、さかあがりの練習をするサチコを見ていたおじいちゃん。それが幸せな変換を経てパラパラアニメになる
■まさか泣かすシーンがあるとは…泣いたー
■リトルテンポの音楽もよかった!風景にハマリまくり

どのシーンにも違和感がない。ハジメの頭に穴を空ける電車も、巨大サチコも、おかあさんが催眠中に見た映像も、頭の中の、思いの風景が自然に具現化されただけだ。適材適所。

石井監督って、画ヅラのぶっとび具合やテンション高めのギャグ要素が取り上げられることが多い(勿論その要素はクオリティ高い!)けど、牧歌的な暖かさが根底にあるのではないかなと思ったりする。『鮫肌男と桃尻女』の森のシーン、『PARTY7』の自転車で田舎道を駆けるエンドロール。今回はそれが凝縮された感じ。

全ては偶然で、全ては必然でもある。真実は誰も知らない。どうにもならないと思っていることも、きっと、どうにかなる。自分がダメだと思っていても、気付いたら世界がどうにかなっている。愛情溢れる映画です。好きだー。

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シネマライズのシリーズ併映『こまねこ』は第3話になっていました。相変わらず撮影が進んでいません。ねこはひとつのことに気をとられるとそっちに夢中になってしまいます。今日は虫に夢中になって撮影用のパペットを壊した…ばかちんが〜!かわいい!かわいいよ!