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2003年05月31日(土)
『ハンテッド』

『ハンテッド』@新宿東急

いやーこれ、ほんっと待ったんだよね!撮影中のベニシオさんの怪我とかで、公開1年くらい延びたもんね…。期待も膨らみまくりだったんですが。以下ネタバレしてます。

うーんうーんうーん…これは微妙だ……。どこに主眼を置きたかったかが判らない。アクション?サスペンス?戦争後遺症の問題提起?トラッカーと言う職業の魅力?これだけ詰め込まれている1つ1つは興味深いモチーフなんだが、そのどれ1つとして突っ込んで描かれていないと言うか…。

冒頭聖書からの引用でえらい大仰な…と思ったけど、そこらへんの師弟関係みたいなものはさらっと流されてしまった印象だし(ハラムがL.T.に書き続けた手紙とかも、出した割にはの扱いに感じた)、序盤のハラムがこうなった原因の戦争や、それによるフラッシュバック描写もサクサクし過ぎていて、なくてもいいんじゃと…。ハラムの恋人?や、FBI女性捜査官の怒りの持って行き場とかも、なんだかフェイドアウト気味(おいおいどんどん出るな)

いっそのこと、ナイフ・ファイティングの迫力が見せ場!てな感じでエンディングのボブ・ディランの歌も(これがまた重いテーマでな)カットカットカットでオッケー!くらいの勢いの方が良かったのではと。追跡シーンは結構観甲斐があったので、アクションメインで…の方が面白くなったかもなと。

でもなあ、そうなるとせっかくトミー・リー・ジョーンズとベニシオ・デル・トロをキャスティングした意味がなくなっちゃうしなあ。

ベニシオさんがインタビューで「最初の脚本ではキャラクターに奥行きがなかったので、監督たちと話し合って随分肉付けをしていった」と言っていたので、これが吉と出たか凶と出たか…どちらも中途半端になっていたような気がする。目のつけ所は面白いんだよ!どっちかに転べば傑作になったんじゃないかなあと思ったり。なんだか勿体ない〜と言う感じです。部分で観れば面白い箇所が結構あっただけに、惜しいと言うか。

それにしても全速力で走るベニシオさんと言うとても珍しいものを観た。これを観られただけで満足です(おい)何かいつもぬぼーとした感じなのに(いや、そこがいいんですよ…そこが好きなんですよ…)その気になればあんなにすばやく!ねこのように!動けるのね!ってそらもうビックリしました。そういえばこのひとのおでこは文字どおりねこの額ですわな。ホントおでこせまいよ(笑)あとやっぱ脚がなっが〜い!この脚で走る走るどかどか走る。『太陽にほえろ!』のオープニングに使いたいくらいの走りっぷり(笑)橋んとこ走ってるシーンがすっごい格好よかったー。

トミー・リー・ジョーンズは、以前のようなギラッとした追いかけっぷりではなく、「うーんうーんどこに行ったのかなあ、足跡がここだから〜」ってな感じでした。それがまたしょんぼりした顔でね…思わず「気を付けておじいちゃん!」と言ってしまいたくなり…(失礼)なのに最後のナイフ・ファイティングではあの大男(ベニシオさん)と大格闘ですよ。もう観てるこっちが「ひいぃぃい!」となりそうなとっくみあいで(こりゃ怪我もするわ…足場もすんごい悪そうだったし)これは見ごたえありました。つうかベニシオさんが圧されっぱなしでな。何だろう老人力に気圧されたんだろうか。いやでもトミーさんもそんな、すっごいじいさんって歳でもないんですがね…。

あとFBI捜査官のコニー・ニールセン、『グラディエーター』でしか観たことなかったので雰囲気違って驚いた。格好いいっすー。