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2003年01月11日(土)
『新春浅草歌舞伎』

『新春浅草歌舞伎』@浅草公会堂


新春恒例若手公演。周防さんが貸切のチケット枠があると誘ってくれたので気軽に頼んだところ、会場に着いて驚愕。最前列花道かぶりつき!専門用語でどぶと言うらしい、花道の裏側(下手側)。役者さんが見得を切る方向は全て逆でしたが、それでも近い!近い!近過ぎる!びびりまくる。

演目は『菅原伝授手習鑑 車引』『奴道成寺』『義経千本桜 川連法眼館の場』。1部と2部で主要な配役を変更しての上演だそうで、となると両方観たかったなあ。いやでもこんなにいい席とって貰えただけでも有難いですよ…観たのは1部。年始のご挨拶は中村七之助くん。観客に初心者が多いことを考慮してか、演目の説明などもしてくれたのですが、途中から喋りが素みたいになってきて(笑)同じことを何回も繰り返し、しまいには何の説明かわからなくなっていました…が、その後の七之助くんの奴道成寺の踊りはすごかった!やっぱ役に入るとプロだなあ。登場した時の華やかさには圧倒された。思わず「…きれー…」と呟いちゃったもんね。作品自体の曲とか踊りの振付もすごく格好いい。やまこさんが「グラムロックみたいー」と言っていたのだがホント、そういうエンタテイメントの要素がビッチリ詰まってて!おみやげを投げる姿はギターのピックを投げるポーズみたいーとか。

皆面白かったんだけど、中でもとりわけ印象に残ったのが『義経千本桜』、獅童さんの源九郎狐。もー泣いちゃったよ!鼓の皮にされちゃった両親狐のそばにいたいあまりに、源義経の部下に化けて出てきていた仔狐なんだけどこれがさ!もう!すっごいかわいくてかわいそうでさ!近かった為表情もめちゃめちゃよく見えて、白塗りしてるんだけど切ないんですよ獅童さんの表情が。途中やたら鼻をすすって台詞を言っているのでどうしたの?と思ったらホントに泣きながらやってまして…それに気付いたらもーこっちもだーっと涙が。もーねー「化けててごめんなさい騙してごめんなさいでも鼓のそばにいたいんですう!」って気持ちが入っちゃって入っちゃって、泣けた泣けた。

仕草からなんから狐のかわいさが滲み出ていて、義経から鼓を譲り受けた時のはしゃぎようはむちゃむちゃかわいくて、「ああよかったね!(いや両親死んでるけどね…)はやく山へお帰り!」と最後のシーンではこっちも満面の笑顔で花道を見送りましたよ。

『車引』では勘太郎くんの梅王丸が格好よかったです。この演目は衣装とか隈取りが華やかで、歌舞伎らしさを堪能出来て面白かったー。見得も沢山切るし。2部では源九郎狐を勘太郎くん、奴道成寺のおどりを亀治郎さんが演じるそうなんだけどどうだったのかなー。


終演後は浅草をぶらり。七之助くんの挨拶によると「昨年までは昼と夜の部でしたが、それだと夜の部が終わるのが8時過ぎ。浅草は夜が早く、お店が閉まってしまいます。それでは浅草の町を楽しんで頂けないので、2部が6時には終わるようにしました」そうで。地元とがっちり組んだ行事として提供したいと言う思いも感じて、印象よかったなあ。楽しかったです。