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2002年12月07日(土)
『六月の蛇』

『六月の蛇』@有楽町朝日ホール


ヴェネチア映画祭・コントロコレンテ部門で特別賞を受賞した作品が、いよいよ日本で公開。第3回東京フィルメックス『世界最速の日本映画』での先行上映。特別招待作品。

作品の構想は『鉄男』の前にあったとのことなので、原点とも普遍的な主義ともとれる。電話での会話、食事、水、ひとりの女とふたりの男。この監督の作品には必ずあるこれらのモチーフから、アングル、ディテール、登場人物のツラ構え迄が完璧に監督の掌握下にある。コントロールフリークな側面がかなり見え隠れする。ワンアンドオンリーの所以だろう。過激な内容であっても不思議と嫌悪感を感じないのは、被写体が明確にデザイン化されているからだ。画面がとにかく美しい。建築物の風景、人物の肉体(ポーズから肌の質感の撮り方、画面構成に到る迄)を見る目に強烈な美意識を感じる。

この監督にしか撮れない、この作品でしか見られない。いちばんそれが顕著なのが、役者の“顔”。どの作品でもそうだ。役者が化ける。神足裕司氏、黒沢あすか氏が素晴らしい!

いやー、しかし泣くとは思わんかった。いい話だった。来年3月からの一般公開、シネアミューズに通います。見極めたいことが沢山ある。考えることが沢山ある。