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2002年11月17日(日)
サードステージ『今度は愛妻家―THIS TIME IT'S REAL』

サードステージ『今度は愛妻家―THIS TIME IT'S REAL』@俳優座劇場


しまった、何で敬遠していたんだろう。こんなにいい作品を板垣恭一氏がやっていたとは!サードステージはもうダメだろう…って先入観がついてたよ鴻上さんのおかげで(毒吐いてますが正直本音です)これからは通います。作者の中谷まゆみ氏にも注目。他の作品は観てはいないがこれは凄く良かった。このシリーズをずっと観ているサガラさんも「ハズレがない」と言っていたから間違いないだろう。

池田成志さんと長野里美さんが素晴らしい。このひとたちはいつでも大概大丈夫なのだが、その確実さと言うか打率の高さが効果的。安心して観ていられる。このストーリーはそうした“あたりまえのことをあたりまえに出来る”ひとが演じないと、こんなに悲しくなったりおかしかったり、最後舞台を去る登場人物を笑顔で見送ることは難しい。

いやーそれにしても成志のことを「いいダンナだ…」と思ったのは初めてだね(笑)「『バカ!』とか『ブス!』って罵倒されたい!(『熱海殺人事件』)」とか「顔にアイスクリーム塗りたくられてベロベロ舐められたい!(『祈る女』)」とか、そういう頭おかしいと言うか、狂気(あのヤバさは説明出来ん。最近そういう役は減ったが、あの怖さは忘れられん)をやらせたら天下一品、しかも色気がある役者。これが夫婦・家庭と言うシチュエーションでも活かされるとは。キャスティングディレクター、有難う!有難う!

高橋長英さんの“ママ”、「嫌なキャラで売ってる」かけ出しの女優・真木よう子さん(このひといい!はすっぱな物言いがハマってた。滑舌さえ良くなればかなり面白くなりそう)、優し過ぎてもう一歩踏み込めない横塚進之介さん。登場人物皆が魅力的でした。そして身につまされました(…)。

ネタバレすると致命的な展開があるのであまり内容を詳しく書けないのだが、まだ始まったばかりなので、観に行けるひとは是非!これはいいです。


それにしても。
かつての演出助手がこんなにいい作品を出しているのに…いい加減にしてくださいよ鴻上さん。いつ迄もリハビリ中かって言われてていいのか。好きだから言ってるんですよ…本当に素晴らしい劇作家だと思っているのだから。来年の『ピルグリム』、最後になるかも知れないけど、行くつもりではある。